10月1日に多くの企業で内定式がおこなわれましたね。ここ数年、特に今年は就職観や働く意識の変化が進みました。2021年度卒向けのマイナビ社による学生モニターアンケートでは、「自分が成長できる環境がある」という項目が入社先選びで重視する項目の第1位になり、入社後に育成環境が整っている企業への志向の強さが伺えます。

入社後にキャリア研修などで成長イメージの具体化を支援する企業はあっても、内定者時代から一人ひとりと丁寧に向き合って成長イメージを描く支援をしている企業は少ないと思います。

今年の傾向を踏まえると、他社と差別化をするために従来の内定者フォローに工夫を加えることが重要です。例えば下記のような施策はいかがでしょうか。

現状おこなっている内定者フォローの取り組みを作り変えるのではなく、少し「成長イメージ」や「キャリア」についての要素を入れ込むだけでも内定者に与える印象は変わります。入社前から内定企業が個人の成長について丁寧に関わってくれたという体験は、入社後の育成環境への期待を高め内定者の志望度を上げることに繋がりますので、ぜひ取り入れてみてください。

一方で、入社後の成長イメージを持ってもらうためには、実際のOJTの体制をしっかり伝えることも大切です。内定者にありのままのOJT体制を見せるために、まず自社のOJTの質を上げることと、時代に合わせてアップデートすることが必須事項として挙げられます。

コロナ禍で進んだリモート環境での育成難易度はこれまでと比較して格段に上がりました。いままで順調にOJTで育成をしてきた企業もリモート化の波に苦労しているという声を多くお聞きします。

＜OJTの質を高めるためのステップ＞
１．人事がOJTの現状把握をする（OJT満足度、指導する側の悩み）
２．適切なOJTトレーナーを再任命し、意識付けする
３．職場の育成力を上げる
　・管理職（育成責任者）から職場全体で育成する方針を伝える
　・職場ぐるみで新入社員を育てる意識を高める
　・OJTトレーナー（育成推進者）の育成スキルを高める

OJTトレーナーが常に同行して様子を察知することが難しくなった遠隔型OJTが予測される2021年度新人教育においては、「職場の育成力」のばらつきが新入社員の伸び悩みを起こしかねません。純粋に入社後の育成を考えても、職場のOJTの現状を早期に確認して必要な知識やスキルを補完したうえで、4月までにできるだけOJTの質を高めておくことは新入社員の即戦力化のカギとなります。

自分が成長できる舞台を求める傾向が強い内定者には、入社前から自分が働く職場が自分たちの受け入れ準備をはじめているという情報が、後手になりがちだった2021年度採用で不安を感じていた内定者にとっては安心材料になるに違いありません。

受け入れ体制を整えて強化するために秋から人事が現状把握をはじめ、年末までにはOJTトレーナー任命を完了させる。そして年明けにはOJTトレーナー研修に着手するくらいのスピード感で動き、万全の体制で受け入れる用意があることを内定者に示しましょう！