クリエイティブ事業部のゼネラルマネジャーという役割はそのままに、宮崎県に引っ越してきました。クリエイティブ事業部は一度目の緊急事態宣言からずっとリモートワークを継続しており、マネジメントも制作業務もリモートで問題なくできるということがわかったため、会社のみんなも快く送り出してくれたのです。もちろん、対面のアポイントの際は九州から飛んでいきますのでご安心ください。

価値観の多様化が進む今の時代において、「働く場所を選ぶ自由」は採用活動上も圧倒的な強みになる。社員が働き続ける理由にもなると思います。物理的にオフィスに出社しなければ業務を進められない会社は難しいでしょうが、それ以外の会社はすべてリモートワークを推奨すれば良いのに。でも、そうもいかないのが日本企業なんですね。

レノボ・ジャパン合同会社が2020年5月に世界10か国を対象に実施した「コロナ禍における働き方の変化に対する意識調査」によると、日本人の約40パーセントが「在宅勤務の生産性はオフィス勤務に比べて低い」と回答したそうです。一方その他9か国で同じ回答をしたのは、日本に次いで高かった中国が16％。アメリカは11％。インドはわずか6％です。

「リモートワーク中、部下がサボっているんじゃないか？」と管理職が感じるのと同時に、一般社員の中にも一定数、上司の監視がないと緊張感がなくなると感じる層がいるのかもしれません。リモートワーク中の社員のPCの稼働状況等を監視するサービスが複数登場し、一時ネット上で話題になっていましたが、実に日本的なサービスだなと思ってしまいました。

テレワーク中に部下がサボっていようが、私はあまり気にしません。仲間や取引先に迷惑をかけることなく、求められた目標に対してしっかり成果を出してさえいれば。その日のタスクを4時間で完了したら残りの時間は好きに使ってもいい。そうした働き方を許容するカルチャーの方が、全体の生産性は向上するのではないでしょうか。

私にとって怖いのは、サボらないように目を光らせる上司ではなく、コピーや原稿の「締め切り」と、アウトプットの成果が出るかどうか。リモートワーク中、緊張感がなくダラけてしまうという人は、期待される成果と期日が明確になっていない、あるいは上司から明確に提示されていないのかもしれません。

?「好きなことで、生きていく」。2014年から不定期でおこなわれている、YouTubeのCMキャンペーンフレーズです。YouTubeが流行し始めた当時、まだ小学生だった子どもたちはもう就活生になりました。リモートワーク中の稼働を監視するような会社や、他社がリモートワークする中で出社を強制するような会社は、多様性の受容を求めるZ世代からは見放されていくでしょう。

今や、「働き方の選択の自由」は求職者が企業を選ぶ際の重要な指標の一つとなっています。企業側にこそ、新しい働き方への適応が求められているのです。もし、自分の部下が「地方に移住したい」と言ってきたらどう対応しますか。どんな組織ならその希望を実現させられると思いますか。ぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか。