4月、新入社員受け入れと併せて、2024年度の新卒採用活動もピークを迎え、人事担当者の皆様は大変忙しい日々を過ごされていることと存じます。そんな中、一息ついて考えていただきたいのが今回のテーマ「ターゲットごとに中途採用プロセスを細分化できているか」ということです。

まず、多くの企業では、採用活動を「新卒」と「中途」で区別しています。新卒採用が、新規卒業者の採用なのに対し、中途採用は、既に職業経験を持つ人の採用ですから、観点が違います。

新卒採用は、経験値としては「正社員として働いたことがない」という意味で横一列なので、
例えば
・どのような業界に属しているのか（インターンシップ、業界研究セミナー）
・どのような会社なのか（会社説明会）
・どのような仕事をするのか（リクルーター、OB・OG訪問）
・どのような人材が望ましいのか（面接・適性検査）
...というプロセス設計をします。

一方で、中途採用の対象者は、既卒者・第二新卒・微経験・未経験・ハイクラスなど、幅広い人材が含まれているにもかかわらず、ターゲットごとに細かく丁寧に、採用からオンボーディングまでのプロセスが設計されている企業は決して多くはありません。

中途採用でターゲットを絞りプロセスを設計する例として、業界未経験者を採用する場合、面接前にどのような業界なのかをオンデマンド動画コンテンツを用意して応募者に事前に閲覧してもらうことで、ミスマッチを防ぐことができるかもしれません。また、業界経験・職種経験ともに有している方を採用する場合は、自社でどのような仕事をするのか、どのような働き方なのかを伝えるカジュアル面談で選考前の情報授受の機会を設けることが有効でしょう。

中途入社の場合、前職や前々職での経験・働き方を自社に持ち込むことになりますので、オンボーディング期に一時的にモチベーションが下がることもあります。そのタイミングで、同じく中途入社した先輩社員にメンターを任せる、1on1を実施するなどの手法が考えられます。新たな環境に適応しやすくするためのフォローが、定着率に直結するのです。

人手不足で人材採用が非常に困難な時代です。そして、AIの台頭で採用活動も大きな変革期を迎えています。そんな時代だからこそ、「新卒採用」「中途採用」という二項対立の発想を捨てて、従来の「中途採用」を実情に即して細分化することが求められているのだと私は思います。

日々の雑多なノンコア業務は、アウトソーシングやHRツールを駆使し、より大きな発想の転換に時間を使い、人事として知恵を絞ることに最大限のリソースを割くことで、筋肉質な採用力を身に着けていただければと思います。