私事ですが、実はもうすぐ第一子が誕生します。以前のコラムで、宮崎県に移住してきたという話を書かせていただきましたが、ここ１、2年で人生が劇的に変化しました。10年ほど前から「将来は子どもと田舎暮らしを楽しみたいな」、「キャンプ場まで車で30分以内の距離に住めたら最高だな」とぼんやりと考えていたのですが、まさに今、理想とする生き方が実現できている。この働き方を認めてくれた会社に本当に感謝ですね。

私がカケハシで働き続ける理由は色々ありますが、一番は自分が望むライフプランを実現できているから。私にとって仕事は「収入を稼ぐ手段」である以上に、「自分らしい人生を生きるための手段」。つまり、仕事の一番の報酬は給与よりも、「融通が利きやすい環境」だったりするんですね。めざすライフプランが実現できている限り会社を辞める理由がありません。

ここで、ある調査データを2つほどご紹介したいと思います。SHIBUYA109lab.がZ世代約400名を対象に実施した仕事に関する意識調査の抜粋です。

「Q.あなたにとって理想の職場は？」という問いに対しての回答は、1位が「休み・有休が取りやすい（59.9％）」、3位が「プライベートの時間も確保できる・残業が少ない（53.3％）」といった回答がある一方で、「達成感のある仕事ができる」と答えたのはたったの22.4％。「仕事のやりがい」より人生の「生きがい」を重視している傾向が見て取れます。


もう一つ、

「Q.あなたの理想の働き方は？」という問いに対しての回答も、1位が「好きなことでお金を稼ぐ（38.9％）」、2位が「場所にとらわれず働ける（38.7％）」、3位が「週休3日制（34 .3％）」と、ワークライフバランスに関する項目が上位に来ました。私生活や自分らしい生き方を重視する価値観がやはり広く浸透しているようです。



こうした結果を受けて、「何を甘いこと言っているんだ」と一蹴してしまう企業は、近い将来確実に人手不足という壁にぶち当たるでしょう。Z世代は昔と比べて価値観が変化しただけで、中には優秀な人材もたくさんいます。彼らの価値観を受け入れて自社をアップデートしない限り、採用や優秀な社員の離職に苦労する未来は目に見えています。

先日、日本の株式市場において時価総額成長率トップを誇る、東証プライム上場企業の方に取材をしたのですが、非常に印象的な話をしてくださいました。

「うちは福利厚生が整っているかというと、全然です。その人のやりたいことをお互いに対話しながら、できる限り叶えていこうという考え方なんです。例えば小さなお子さんがいる方なら、クライアントとのアポを減らしたり、朝の定期MTGの参加を一定期間免除したり。家庭の事情は本当に多種多様なので、画一的な制度に人を合わせるのではなく、人に合わせて環境や働き方を変えていく。優秀な人に長く働いてもらうためにはそれがベストだと思っています」

私と同様に、仕事を「自分らしく生きるための手段」として捉えているメンバーがいたとしたら、キャリアプランについて議論するだけではきっと足りない。彼らが、将来どんな場所でどんな生活を送りたいのか。理想のライフプランを把握し、そうした人生を歩むためには今どんなスキル、経験、実績を積み上げるべきなのか丁寧にフォローアップしていく。そこまでやって初めて、理想の人生を共に歩むパートナーとして、会社は社員に選んでもらえるのではないでしょうか。

みなさんはどうですか？辞めてほしくない部下のライフプランを、しっかりと把握できていますか？