ビジネスコラム
OJT研修という名の丸投げが、新入社員の成長を阻害する。

ヒューマンリレーション事業部 グループマネージャー 岡部 謙太


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4月になり、弊社にも10名の新人が入社してきました。社内もにわかに活気づき、若手社員がはりきって研修プログラムを運営しています。

弊社では4月1か月間の集合型研修を実施し、その後の仮配属期間を経て、6月より晴れて本配属となります。経営方針のひとつに掲げて人材育成に注力しており、スローガン「Do it together!~全速で成長する。全員で成長する。~」のもと、育成方針を明確にし、自身の成長とメンバーの育成に一丸となって取り組んでいます。

アメリカのリーダーシップの調査機関であるロミンガー社の発表データによると、人の成長を促すのは、OFF-JT研修や書籍が10%、上司や師の薫陶が20%、職場経験が70%と言われており、人材の成長と職場環境は切っても切れない関係だと言えます。OFF-JT研修で成長のきっかけを得て、そこで学んだ知識や視点を実践する場として職場が機能しているかどうか。OFF-JTとON-JTの接続が、育成においてとても大切です。弊社が育成方針を明確にし、ハンドブックとしてまとめているのも、OFF-JTの集合型研修とOJT研修を接続するための取り組みの一環です。

しかしながら、様々な企業を見ていると、4月の新人研修こそしっかりとプログラムが組まれているものの、その後のOJT研修は‘現場に丸投げ’となっていることが多々あります。忙しい現場では、育成は後回しになりがちです。また、そもそも何をどのように教えればいいのかわからず、結果‘背中を見て育て’という指導となっているケースも少なくありません。

OJTという名の丸投げ、場当たり的な育成を、きちんと制度化することで、人材の成長速度、度合は大きく変わります。では具体的に何に取り組めばよいのでしょうか。

ポイントは4つあります。

1.育成推進者を明確にする
新入社員を職場に受け入れるにあたって、現場の中心となって新入社員の成長を促す育成推進者をはっきりさせることが体制づくりの第一歩です。

2.育成計画書を作成する
本人の意向と会社の期待を踏まえて理想の姿を描く。そして理想と現状のギャップからポイントを明確にし、成長ポイントを伸ばすためにどのような経験を積ませるのか、経験のデザインと目標設定をおこなう。これらを育成推進者、上長、新入社員で作り上げます。

3.周囲の巻き込み方のデザインと育成計画書の共有
人には得手不得手があります。育成推進者だけが育成を一手に担うのではなく、周囲の仲間の得手不得手を踏まえて、誰に、どのような分野で、どのような関わり方をしてもらうのかをデザインし、周囲を巻き込むことで育成力が高まります。その際、育成計画書があることで、ベクトルのズレを防ぐことができます。

4.育成スキルのトレーニング
目標の立て方、ティーチング・コーチング・モチベートなど、育成にもやはりスキルが必要です。基本スキルを押さえることで、育成推進者と新入社員の日々の関わり方の質が変わります。


これらの取り組みは、新人の育成スピードを速めるだけではありません。良くも悪くも、上司の関わり方は連鎖します。背中を見て育てという指導を受けてきた人が教える立場になった時、同じ教え方をするのは珍しい話ではありません。育成者を育て、良質な育成支援を準備することで、それが下の世代へと引き継がれていき、育成文化として醸成されていきます。

間もなく今年のOJTが始まります。貴社のOJTはどのようにおこなわれるでしょうか。


2017.04.12 KSN 139

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