ビジネスコラム
悩むなら、採ってからより採る前に。

ヒューマンリレーション事業部 マネージャー 大塚 哲平


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OECD加盟34カ国中、日本の労働生産性は2005年以降続けて21位。主要7か国の中では19年間も連続して最下位を記録しています(OECD調査)。日本を基準に考えると、アメリカは1.63倍、フランスは1.35倍、イタリアは1.31倍、ドイツは1.29倍、カナダは1.19倍、イギリスは1.16倍という結果になります。

少子高齢化が世界一のスピードで進んでいると言われる今の日本で、仕事の生産性を向上させるために注目されているのがAI(人工知能)やビッグデータ分析を用いた「HRテクノロジー」の分野です。

HRテクノロジーがすでに活躍している場面は様々あり、主要なものは人材採用、育成、労務管理の最適化や単純作業の自動化などです。企業にとっては待ったなしで進んでいる政府主導の「働き方改革」も拍車をかける要因となり、IOT技術で計測したデータを使い、人事業務全般を支援するテクノロジーが活躍しはじめています。

2016年に行われた「第一回HRテクノロジー大賞」でイノベーション賞を受賞した日立製作所は、個人と組織のパフォーマンス最大化に向けた診断や予測をするシステムを自社開発。AIを活用して社内のハイパフォーマーをデータ分析し、浮かび上がった共通因子を採用に活かしています。

企業や職種ごとに文化や求められる人材やスキルが異なるため、一般的かつ抽象的な判断軸に基づく採用ではなく、自社(あるいは自部署)ごとに活躍人材を分析し、オリジナルの指標を作ることはとても効果的です。採用の手間を縮小化し、効率的に自社に合った優秀人材を採用することで会社の生産性をあげていく取り組みとして、今後も注目度が高まるでしょう。

企業全体ではなく、個人にフォーカスしたHRテクノロジーもあります。
少し前に注目された「Fitbit」などのフィットネスに関わるウェアラブル端末活用をご存知でしょうか?エクササイズの頻度と仕事の生産性には相関関係がある、というデータに基づき、エクササイズの時間を設けていない人が少しずつ体を動かすようアプリが告知してくれます。努力の量や成果がすぐにフィードバックされ、モチベーションを維持できるよう工夫されており、継続的に社員の生産性を上げていくことができるようです。

また、企業内のビッグデータ分析だけでなく、個人から得られるデータを活用した生産性向上の取り組みとしてのHRテクノロジーの活用も増えています。個人的には、ウェアラブル端末を求職者に配布し、行動履歴から自社にフィットする人材を見出だしていくなどの使い方ができるようなHRテクノロジーがあれば面白いと思っています。

かつて日産自動車の企業改革を成功させたカルロス・ゴーン氏も、「優秀な人事は数字で話をする」と社内人事へ言い聞かせていたそうです。人事分野にAIやテクノロジー??と思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、人を採ってから悩むより、採るべき人を根拠に基づいて採用することが、生産性の向上への新たなアプローチになるのではないでしょうか。


2017.04.26 KSN 140

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