2024/9/11 vol.317 KAKEHASHI SKY NEWSは、第二・第四水曜日配信 “私は採用担当者のみなさまにエールを送りたい!” 取締役副社長 土井祥康 採用ご担当者のみなさま、お世話になっております。土井(土は「土」に「、」が入る漢字が正式名)と申します。この6月で在職3年が過ぎ、新生キャリア採用事業本部の本部長も兼ねることになりましたので、ご挨拶も兼ねて本日は中途採用についてのお話をさせていただこうかと思います。
誤解を恐れず言います。私は思うのです、採用担当者受難時代だと。みなさまはその渦中の大変な時代に採用任務を担っているのだと。今日の困難な採用活動において担当者として大変な状況に置かれながらも、日々精進されているのだと。「本当にお疲れ様です!」と言わせてください。 まずみなさまを四苦八苦させる、その事訳を一緒におさらいしてみたいと思います。 今どきの中途採用担当者が大変な理由
求職者の数が少ない:求職活動をしている人数の割合は少なくなっていないが、絶対数は人口比例で見ると減っているため、欲しい人材を見つけることが難しくなっている。特に若年層の採用は量・質とも採用するのに年々困難になっているのは明白な事実。 深刻な人手不足は教員採用でも変わらない。2024年度の公立小学校の採用試験の採用倍率は2.3倍しかないと言う。ちなみに2000年度の倍率は13.3倍である。 (参考:文部科学省 令和5年度公立学校教員採用選考試験の実施状況) 量もそうであるが質的に満足できない:上の倍率を見てもわかる通り、数が少ないということは、採用できても質的に満足出来ない採用を余儀なくされることも多くなるということだ。結果として、早期退職につながってしまう場合も多い。 競合他社との争奪戦:少ない数のターゲット求職者を多くの企業が奪い合っているため、採用条件の提示や魅力的な企業PRなど、競合企業との争いが激化している。 ミスマッチを防ぐ難しさ:求職者の数も少なく、競合企業も多いことから、採用活動の期間も短縮されているため、入社後のミスマッチを防ぐことが難しくなっている。 多様な働き方のニーズへの対応:求職者の働き方に対する意識が多様化しているため、それに対応した採用戦略を立てることが求められている。 採用活動の効率化:少ないリソースで効率的に採用活動を進める必要があり、新しいツールや手法の導入が求められている。 このような状況下で中途採用担当者が抱える課題への対応
ターゲットを絞り込む:すべての求職者にアプローチするのではなく、自社の求める人物像に合致するターゲットを明確にし、効率的に採用活動を進める。 多様なチャネルを活用:求職者の目に触れる機会を増やすため、従来の求人広告ルートだけでなく、SNSや転職サイト、地方都市・町村への折り込み広告、細分化されたポスティングなど、多様なチャネルを活用する。当事者だけでなく親・家族・親戚の目に触れる施策も意識する。 企業の魅力を発信:自社の魅力を最大限に伝え、求職者の目に留まる企業となるために、企業文化や働きがい、福利厚生などを積極的に発信してみる。 スピード感を持った対応:求職者の意思決定が早まっているため、スピード感を持って対応し、内定(合格)から入社までの期間を短縮する。 データ分析に基づいた採用活動:過去の採用データなどを分析し、効果的な採用戦略を今一度考え、それを基に気づきを具現化してみる。 社員を辞めさせない:採用と並行してここを考えるのが重要。一言でいえば社員が会社に居やすい環境を作ってあげること。採用しても人が辞めれば差し引き0となり、担当者の努力が無駄になる。既存社員のことも同時に思いやる施策がトータルで力を発揮する。 女性、高齢者の採用強化:2012年から2022年にかけ生産年齢人口は600万人も減っているが、逆に女性・高齢者の就業者数は400万人も増えている。女性や60歳以上の労働参加が進んでいる事実がある。採用の幅を広げるには、この層をどう活かして戦略化できる会社にするかも考えていく。 (参考:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」) 以上のように人材採用難の時代において、中途採用担当者は非常に忙しい状況に置かれ、考えなければいけないことも、実行しなければならないことも多いのです。本当にご苦労様です。 しかし同時に新たなチャレンジの機会でもあります。少なくとも上記のような対応をまだおこなっていない企業は、実行することで厳しい状況を少しでも乗り越えられるかもしれません。 一方で「何を言っているんだ、既にほとんど実行しているし、言われなくてもそんなことはわかっているよ」と指摘される方も多いと思っています。 そうであれば、他にも視点や発想を変えた採用活動も考えてみましょう!というのが本日のお題でもあります。 一度退職した社員を再雇用する「アルムナイ(卒業・同窓生)採用」という言葉を耳にしたことはあると思います。 ここ最近その手法を導入する企業が増えているようです。 大手就職情報サイトのマイナビが発表した転職活動に関する調査によると、転職経験者の3人に1人、32.9%が「過去退職した会社に戻りたいと思ったことがある」と答えています。理由としては「育児などの家庭の事情で転職したが、環境が変わった」「退職前に気がつかなかったよい面に気づいた」などの回答が寄せられています。 そして元の職場の人間と大小頻度関わらず連絡を取っている人の割合は半数を超え、57.5%にのぼります。さらに頻繁に現社員と連絡をとっている元社員ほど、元の会社に戻りたいと思ったことがある比率が高いようです。 マイナビキャリアリサーチラボの担当者は「退職者が戻りたいと思うような環境整備が企業に求められる。退職者と連絡が取れる環境を作ることだけでもプラスの影響があるのではないか」と話していますが、私はそんな単純なことでもないだろうとも思っています。 (参考:マイナビキャリアリサーチLab「【2024年最新調査】アルムナイ採用の現状とは」) 利便性のあるデバイス機器が発達し、口コミサイトやSNS等を通じて、いつどこにいようが退職者の口コミが簡単に閲覧できる時代。 在職社員にとっても、一度「退職」の道を選択した人にとっても、「そこがよい会社であったのか」は、人材流動性が高い時代においては重要な要素だと思います。 だからこそ退職した社員を再雇用するには、「退職者側がどんな辞め方をしたのか」「企業側はどんな送り出し方をしたのか」が重要であるのではないかとも思うのです。 人生100年時代で一人ひとりの就業年齢も長くなっている中、若手社員から熟練社員まで、あらゆる会社員にとって「戻りたいなぁ」と思った時に戻れるよう、そう思われるような企業を目指すことも肝要になってきているのです。それがあるべきアルムナイ採用だと私は思います。 しかしながら実際のところ、求職者がカムバックしたくなるような会社の多くは、大手企業、3Kのない企業、時流にのっている人気企業、中小零細でもクリエイティブな企業、そして生成AIが騒がれている世の中における先端デジタル分野の企業など、比較的求職者からも人気がある企業が多いとも思います。 ですから、仮に歴史があっても、利益をあげていたとしても、「ウチはその範疇に当てはまらない企業群だから、一度退職したらカムバックしてくれるのは容易ではないでしょ」と思われる方がいるかもしれません。 しかし、転職経験者の3人に1人の32.9%が「過去退職した会社に戻りたいと思ったことがある」と答えたことも事実ですから、なおさら、少しでもカムバックしやすい門戸を開いておく方策を考えることが重要なのではないでしょうか。 あるメガ銀行では自行の退職者を対象とした人事採用枠を設け、書類選考を原則なくし、年齢制限も付けず、再入行時の職種も選べるようにすると言います。人材の獲得競争が激化する中、過去に働いていた人を即戦力として重視する制度の導入に踏み込んでいくそうです。 また、アルムナイとは異なりますが、イオンモールは2025年、新卒学生が同社の内定を辞退しても3年以内なら最終選考だけで採用を決める制度を始めます。他の会社で働いた後、転職を希望する時に即座に採用できるように。新卒の採用も益々厳しくなる今後、従来にはない「つなぎ留め策」が他社にも波及してくるのは必至でしょう。 そんなアルムナイ採用に「興味がある」、「今後取り入れたい」と思った採用担当者さまには、私どもが提携しているマイナビの「企業が自社の退職者とつながるコミュニティサービス『YELLoop』」と言う、アルムナイ活用支援サービスも採用手法の参考のひとつとして覗いてみてもいいのでないかと思います。 (参考:アルムナイコミュニティサービス「YELLoop(エーループ)」) 終わりになりますが、言うまでもなくアルムナイの話ひとつで今の採用課題の全てを解決するとは全く思っていません。 そして採用も重要ですが、その前に辞めないようにするにはどうするべきか?という視座も重要です。気づけば私もバブル時代から35年にわたって採用ビジネスに携わってきましたが、そんな私が今思っていることをもっともっとたくさんみなさまにお伝えしたいと思っています。ここには書ききれない話を、どうかいつの日かお邪魔させていただき、その機会をいただければと願います。 私のみならずカケハシ スカイソリューションズの社員全員でみなさまと共に採用戦線を一緒に考え、戦っていければ幸いです。 カケハシ スカイソリューションズでは、採用と定着の両側面から貴社が抱く課題の解決策を討議する無料相談期を随時開催しています。この採用戦線を勝ち抜き、優秀な人材を採用、定着させるためにどうすべきなのか、最善策を一緒に模索しませんか?ぜひお気軽にご参加ください。 [NEWS]土井 祥康、取締役副社長就任のお知らせ Pick up Seminar Articles |