ビジネスコラム
「売手よし、買手よし、世間よし」の「世間よし」とは。

海外事業部 グループマネジャー 三上富士雄


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「これからは、社会に必要とされる会社として認めてもらえるように努力しなさい。」
6年前、弊社がスタートした時に、長くお付き合いさせて頂いているお客様の社長からいただき、私が励まされた言葉です。

このお客様は、地域に根差して30年以上、健康とおいしさにこだわったお惣菜を自社で製造・販売されている、地域の優良企業様です。地元で食をテーマにしたセミナーや食育・農業を学ぶイベントを開催するなど、地域社会に貢献する様々な取り組みに注力されています。

このように地域に根差した事業を展開し、地域への貢献を理念にかかげる企業様は多くあります。この考えに触れ、近江商人の有名な言葉にもある「売手よし、買手よし、世間よし」の、三方よしの考え方が思い浮かびました。

近江商人は昔から、世の中や社会、地域といったシステムに自分たちが支えられていることの意味や関連性を、その商売を通じてしっかりと理解していたのでしょう。日本を代表する上場企業の中には、近江出身者が起業した会社が多くあります。「三方よし」の経営の考え方が教えとして引き継がれ、現在の事業へと紐づいているのだと思います。

近江商人の「三方よし」は商売の考えとして伝えられてきましたが、一番難しいのは「世間よし」の部分のバランスです。

地域社会の調整、整備を担うのは地方自治体ですが、実際には自治体がすべての問題を解消できるわけではありません。財源やマンパワーの負担問題もあり、解決策を生み出す力も不足しているのが地方自治の現状です。

その分、自治体ではなかなか取り組むことのできない施策を民間企業が担うケースは多く、企業としての実績や専門知識、アイデア、コスト調整力、実行ノウハウなどが地域社会の課題解決に力を発揮します。それぞれの企業の強みが地域貢献へと繋がれば、さらに企業価値も高まるでしょう。

企業が地域貢献に取り組む際、そこで企業価値を発揮するために重要なのは、自治体や地域社会からの期待に、着実な実績と継続性で応えられるようにスタートすることです。

現実の事業活動では、景気変動や市場競争、技術革新による業務変革やスピード化への対応のために自社の利益確保を優先しなければいけないこともあります。また、天災などの緊急時には地域における企業の役割が変化するなど、貢献活動のあり方を見直す機会もあるでしょう。

大事なのは、自社の事業運営力、体力から考えて、地域に対してできることとできないことを見極め、自社の実力と背丈にあった事業に取り組み、その継続性を担保することです。

「三方よし」には企業の地域貢献のあり方のヒントがあります。

自社と顧客の満足だけを見て、社会を忘れてはならないこと。あらゆる事業には世間へ、地域への貢献、その満足が必須であることを再認識し、自社の地域貢献活動のテーマ、規模、継続性を考えてみたいと思います。


2017.05.24 KSN 142

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