2011.07.12配信
安田佳生コラム「自分のことは自分で」
白状します。私は、私以上に
自分のことが出来ない人間を見たことがありません。
自分のことが出来ない大会があったら、
間違いなくチャンピオンになります。
今さらこんな告白をするのは、別に開き直っているからではありません。
もう社長ではなくなるのだから、
自分のことは自分でやらなくてはならないなと、反省しているのです。
いや、本来、社長であったとしても、
自分のことくらいは自分でやらなくてはならないのです。
会社でも、プライベートでも、自立することが大事なのです。
私は恐ろしくものぐさな人間で、
ポストなど三ヶ月に一回くらいしか開けません。
仕事で使う鞄の中にも要らない書類が山のように入っております。
鞄には詰め込める限り詰め込みます。半年に一度くらい、
もうこれ以上は無理だというくらい鞄が膨れてから、
仕方なく整理をするのです。
整理すると、三分の一くらいの軽さになります。
そんな重いものを毎日持ち運ぶ方が大変だろうと、よく言われます。
でもそういうことを言う人たちは、
ものぐさの本質を分かっていないのです。
いや、熱く語ってしまいました。
自分のことは自分でやろうと決意したものの、
ものぐさ人間として言いたいこともあるのです。
だいたい、ものぐさなんて言いますけど、
みんな本当に自分のことは自分でやっているのでしょうかね。
私は、はなはだ疑問なのですよ、そこが。
いったいどこまでが自分でやらなくてはならないことなのでしょう。
そしてどこからは人を頼っても許されるのでしょう。
毎朝彼女に起こしてもらわないと起きられないとか、
自分では部屋の掃除もできないとか、
そのあたりがものぐさ駄目人間の境目でしょうか。
あるいは引越しのときに梱包まで引越屋さんに頼んだり、
ダスキンの人に掃除をしてもらったり、
自分で洗濯できる衣類までクリーニングに出すのも駄目なのでしょか。
「お金を払っているのだからいいんじゃないの」
という意見もあるでしょうし、
「そのくらいは自分でやらないと駄目だ」
という人もいることでしょう。
要するに、その基準は人それぞれだということなのです。
自分よりもものぐさでない人から見れば、
みんなものぐさ人間なのです。
開き直るわけではないのですが、
「自分のことは自分で」なんていうのは
ちょっと傲慢ではないかと思うのです。
人間誰しも自分のことを全て自分でできるわけではありません。
荷物を配達してもらったり、ゴミを回収してもらったり、
人が育てた植物を買ってきて
あたかも自分が育てたように喜んだりしているのです。
泥棒を捕まえたり、信号の色を変えたり、
石油やレアアースを確保したりと、
生活に不可欠なことを誰かが代わりにやってくれているから
人間は生きているのです。なので、
「自分のことは自分ではできない」というところから出発するのが
正しい大人の考え方ではないかと思うのです。
自分よりも上手な人に歌を歌ってもらい、
自分よりも運動神経のいい人に野球やサッカーをやってもらい、
自分よりも面白い人にしゃべってもらい、それを見て楽しむ。
人はそのほとんどを他人に依存して生きているのではないでしょうか。
自分で出来ることなど、ほんの少ししかありません。
自分を楽しませることも、自分を立ち直らせることも、
自分を笑わせることも、
みんな誰かに頼ってやってもらっているのです。
だから「自分のことは自分でやります」などという、
おこがましいセリフは口にしてはいけないのです。
やっぱり自分のことは自分では出来ないのです。
これからも、人を頼って生きていこう。
そう自分を納得させるための、長い長い言い訳でした。
安田佳生
----------------------------------------------------------------------
■仕事のお悩み相談所
読者のみなさまからの、
仕事の悩みについての相談をお受けしてます。
お気軽にご相談ください。
「安田佳生に相談してみる」
→ merumaga@kakehashi-skysol.co.jp
※相談についてメルマガ上で回答する際は匿名掲載となります。
----------------------------------------------------------------------

