薬剤師の平均年収は低すぎ？最新データでみるリアルや1000万円を目指す方法

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「他の薬剤師の年収は、いくらなの？」
「自分の年収はもしかして低すぎる？」

薬剤師として働きながら、自分の年収に疑問や不安をもつことはあるでしょう。厚生労働省発表の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、日本の薬剤師の平均年収は約583万円です。

ただし、ドラッグストアや製薬会社、調剤薬局、病院・クリニックなど職場や業務内容によって平均年収は大きく変わります。

この記事では、薬剤師の年収をあらゆる角度から分析・解説すると同時に、今より高い年収を目指す方法もあわせてご紹介します。

この記事でわかること

• 薬剤師の平均年収は583万円(※1)
  • 平均年収の最も高い職場は製薬会社（平均年収は約720万円）、2番目に高い職場はドラッグストア（平均年収は約500〜600万円）
  • 都市部より地方の平均年収が高い
  • 転職した人の約42%が平均77万円の年収アップに成功している(※2)
• 高年収の求人が多いおすすめの薬剤師転職サイトランキング
  • 1位：マイナビ薬剤師（年収1000万円以上の求人あり）
  • 2位：薬キャリAGENT（高収入求人数：8,413件）(※3)
  • 3位：ファルマスタッフ（年収700万円以上の求人数：2,460件）(※3)

※1：厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より算出
※2： ネグジット総研との共同調査（2019年実施）より
※3：2024年4月時点

この記事では、薬剤師の年収を他職種や海外とも比較。これから薬剤師を目指す受験生や保護者が知りたい薬剤師の新卒年収や昇給率、生涯賃金もまとめて紹介しています。

おすすめの 転職サイト	求人数	高年収求人数	おすすめ度
マイナビ 薬剤師	46,338件	13,064件	◎
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薬キャリ AGENT	22,545件	8,413件	○
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薬剤師の平均年収は？最新情報と基本データ

薬剤師の平均年収はいくらなのでしょうか？　厚生労働省が発表している最新データを元に、薬剤師の平均年収や直近10年間の年収の推移について解説していきましょう。

【最新データ】薬剤師の平均年収

薬剤師の平均年収は、約583万円（※）です。

厚生労働省は毎年、主要産業に雇用される労働者の賃金を調査し、賃金構造基本統計調査として発表しています。

最新データとなる令和4年の賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均月収が41万4,600円、年間賞与（ボーナス）が85万8,700円で、平均年収を割り出すと583万3,900円となります。

昨年と比較すると、約3万円ほど平均年収が上がっています。

※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より

【過去の推移】直近10年間の薬剤師の年収推移

薬剤師の平均年収は毎年少しずつ変化しています。近年10年間の薬剤師の年収推移を見てみましょう。

調査年数	平均年収	平均年齢	年収前年比
2022	￥5,833,900	41.1	増加
2021	￥5,805,400	41.1	増加
2020	￥5,651,300	41.2	減少
2019	￥5,681,000	39.8	増加
2018	￥5,651,300	41.2	増加
2017	￥5,481,400	39.3	増加
2016	￥5,187,200	37.8	減少
2015	￥5,361,600	39.1	増加
2014	￥5,358,800	38.8	増加
2013	￥5,341,600	39.2	減少

平均年収を見ると基本的に増加傾向にあることがわかります。

2013年と2022年を比較すると50万円以上増加しており、薬剤師の年収は上昇傾向にあるといえるでしょう。

しかし、新型コロナウイルスの流行による雇用の減少や、都市部の薬剤師数が飽和状態であることも手伝い、薬剤師の平均年齢は上昇しているのに、近年は年収の上昇率が若干鈍っています。

【職場別】薬剤師の平均年収と求人例

薬剤師が活躍できる職場は多岐にわたります。調剤薬局や病院、ドラッグストア、製薬会社など、自分のやりたい仕事内容に合わせて職場を選べます。各職場の平均年収を見ていきましょう。

職場	平均年収（※）
製薬会社	約720万円
ドラッグストア（一般職）	500～600万円
ドラッグストア（管理薬剤師）	550～700万円
ドラッグストア（エリアマネージャー）	650～1000万円
調剤薬局（一般職）	450～550万円
調剤薬局（管理薬剤師）	500～650万円
調剤薬局（エリアマネージャー）	550～800万円
病院（一般職）	約380万円
病院（薬剤師主任）	500万円前後
病院（薬剤師部長）	600～700万円

※いずれも薬剤師専門転職エージェントへのヒアリング結果により算出（2022年8月現在）

製薬会社の平均年収は720万円

製薬会社にはMR・研究開発職などの営業職、学術やDI職などさまざまな職種が存在します。職種によって異なりますが、平均して年収は約720万円程度です。

製薬会社の職種別の年収相場は以下の通りです。

職種	年収相場（※）
1. 管理薬剤師	600～900万円
2. MR（Medical Representative）	500～1,000万円
3. 研究職	700～900万円
4. 開発職	500～600万円
5. 治験コーディネーター（CRC）	500～800万円
6. 臨床開発モニター（CRA)	500～800万円
7. 薬事	500～1,000万円
8. 企業内診療所の薬剤師	400～500万円
9. 学術／DI（Drug Information）	400～800万円

※いずれも薬剤師専門転職エージェントへのヒアリング結果により算出（2022年8月現在）

製薬会社勤務の薬剤師の年収は、他の職場と比べてかなり高い職種もあります。MR・研究職・薬事職では年収1,000万円を超える人もいます。

一方で、企業内診療所の薬剤師や開発職、CRC・CRAは年収が低めといえるでしょう。ただし、CRC・CRAは未経験可の求人が多く、入社後の昇給が期待できる職種です。

製薬会社の職種別求人例

実際に製薬会社の求人にはどういったものがあるか、いくつか求人例をご紹介しましょう。

求人	給与	企業名
【東京都千代田区】品質保証業務（GQP）／マネージャー候補	【月収】41.0万円～55.0万円以上（35歳～40歳） 【年収】727万円～978万円（35歳～40歳）	旭化成ファーマ株式会社
【大阪】医薬品の広告・プロモーションツールの提案営業	【年収】550万円～800万円※年収に関しては前職の経験を考慮致します。	法人名非公開
総合職（東京都青梅市）生産ライン・研究開発部門のマネジメント職候補	【月収】32.0万円～41.0万円 【年収】300万円～450万円	法人名非公開
クリニカルエデュケーター職★未経験歓迎★	【年収】460万円以上（25歳～45歳）	法人名非公開

マイナビ薬剤師より（2023年9月現在）

製薬会社の求人には、以下の特徴があります。

• 職種によって年収差が500万円以上ある
• 企業名を非公開としていることが多い
• 年収は低いものの未経験可の求人が多い

製薬会社におすすめ薬剤師転職サイト

製薬会社への転職を希望している方におすすめの転職サイトは、マイナビ薬剤師です。

もともと企業、それも製薬会社の求人は数が少なく、とても希少です。その中でマイナビ薬剤師は、母体となるマイナビが総合転職大手のため製薬会社をはじめとする一般企業の求人に強いためおすすめです。

転職サイト	企業の求人数
マイナビ薬剤師	4,617件
薬キャリAGENT	166件
ファルマスタッフ	57件
ヤクジョブ	289件

*2024年4月時点

薬剤師転職サイトおすすめ人気ランキングの上位5社の企業求人数を比較したのが上の表となります。マイナビ薬剤師が保有する企業求人数が圧倒的に多いことがわかります。

製薬会社をはじめとする企業への転職を考えている方は、まずマイナビ薬剤師への利用を検討してみましょう。

＞＞＞マイナビ薬剤師について詳しく知りたい方はこちら

ドラッグストアの平均年収は500〜700万円

ドラッグストアに勤務する薬剤師の平均年収は500〜700万円が相場となります。

ドラッグストアは急速に店舗展開を拡大しており、慢性的な人手不足に陥っています。そのため高い年収を出してでも薬剤師を採用する必要があり、給与水準が他の職場と比べて高くなっています。

例えば、大手ドラッグストアチェーンの年収相場は以下の通りです。

ドラッグストア	年収相場	福利厚生
イオン薬局	～800万円	◎
ウエルシア薬局	～700万円	〇
マツモトキヨシ	～700万円	◎
ツルハドラッグ	～600万円	〇
クオール薬局	～600万円	◎
スギ薬局	～600万円	〇

※2022年8月現在

大手ドラッグストアの求人例

薬剤師転職サイトで公開されている大手ドラッグストアの最新求人例を紹介しましょう。

企業名	求人	給与
イオンリテール株式会社	【三重県四日市市】 大手GMSの調剤併設店／ライフスタイル支援制度で自分に合った働き方が可能！	【年収】425万円～798万円程度 【時給】2,600円～
ウエルシア薬局株式会社	【倉敷市】≪福利厚生&教育制度充実の大手チェーン≫高待遇が魅力/年収515万円～！調剤併設店舗の募集です♪	年収515万円～646万円 月給355,000円～420,000円 ※経験や選択コースにより異なります
株式会社マツモトキヨシ甲信越販売	【福井県福井市／JR北陸本線】ドラッグストア業界のリーディングカンパニーでの薬剤師募集	【年収】505万円～700万円程度 【時給】2,000円～
株式会社ツルハホールデングス ツルハドラッグ	【和歌山市／JR紀勢本線】福利厚生充実！調剤未経験の方も安心のフォロー体制です！	【月収】28.0万円～60.0万円程度（24歳～45歳モデル） 【年収】430万円～700万円程度（24歳～45歳モデル）
クオール株式会社	【大阪市中央区／南海各線】駅直結／全国規模で展開する大手調剤薬局にて薬剤師の募集	【月収】26.0万円～40.0万円 【時給】1,800円～2,500円
株式会社スギ薬局	【東京都中央区】大手ドラッグ企業にて土日祝休みが相談可能になります。	【年収】450万円～600万円（26歳～40歳モデル）

※2023年9月現在

大手ドラッグチェーンの場合、給与体系が全国一律のケースが多く、都市部・地方の年収格差がほとんど生じないのが特徴です。

Uターン、Iターンで転職する際、大手ドラッグチェーンなら年収を予想しやすく、現在の生活水準を落とさず転職できる利点があります。

ドラッグストアにおすすめ薬剤師転職サイト

ドラッグストアに転職希望の方におすすめの薬剤師転職サイトは、以下の3社です。

転職サイト	ドラッグストアの公開求人数	特徴
マイナビ薬剤師	12,453件	企業に強い人材紹介大手で、ドラッグストアの求人数は最多規模。20代、30代の薬剤師におすすめ
ファルマスタッフ	3,468件	地域密着型でドラッグストアの求人が多く、面接時の転職者満足度は96.7%（※）。じっくり相談しながら転職したい薬剤師におすすめ

※お客様満足度調査アンケート/2022年7月14日〜8月22日実施より
*2023年8月時点

ドラッグストアへの転職を考えた場合、自身の年代と希望する転職スピードに加え、大手チェーンなのか地域密着型なのかによって転職サイトを選ぶといいでしょう。

＞＞＞マイナビ薬剤師、ファルマスタッフについて詳しく知りたい方はこちら

調剤薬局の平均年収は約450〜800万円

調剤薬局に勤務する薬剤師の平均年収は、約450〜800万円です。調剤薬局勤務の薬剤師の場合、新卒時は平均より高めの年収を得られますが、ずっと一般職のままだと年収の頭打ちしてしまう特徴があります。

薬剤師が一人のみの調剤薬局や、他の薬剤師が働かない時間帯に働くなどすれば平均よりも高い年収を得られます。平均年収でもっとも大きな差が出る要因として、勤務先が都心か地方かの違いもあります。

調剤薬局の求人例

薬剤師転職サイトで公開されている調剤薬局の最新求人例を紹介しましょう。

求人	給与	企業名
＼高額求人／年収500万円可能！〈三郷市〉【年間休日120日】総合診療科応需！調剤求人です◎	年収～500万円 ※あなたのご経験、能力を考慮して決定いたします。	法人名非公開
【川崎市幸区】2023年7月OPENの新店です。	【年収】500万円～700万円程度	株式会社リンクス
【上天草市】≪年収750万円も可能≫管理候補募集！早番は17:30終業、有休取得率90％以上の働きやすい薬局です。	年収650万円～750万円 ※経験考慮	法人名非公開
【仙台市若林区】＜年収500万～550万円＞頑張りを重視！モチベーション高く働けます！★残業代もしっかり支給！	年収 500万円～550万円	法人名非公開

※2023年9月現在

調剤薬局には、病院・クリニックの門前薬局なのか、それともさまざまな処方箋が持ち寄られる調剤薬局なのか、ドラッグストア併設型なのかによって業務がガラリと変わります。

年収を優先するのか、働き方や業務内容を優先するのかによって、求人を選ぶポイントが変わってくるでしょう。

調剤薬局におすすめ薬剤師転職サイト

調剤薬局への転職を希望する薬剤師におすすめの転職サイトは以下の4社です。

転職サイト	調剤薬局の公開求人数	特徴
薬キャリAGENT	21,005件	薬キャリAGENTだけが保有する独占求人や、年収600万円以上の高年収求人などが豊富。すぐ転職したい全年代におすすめ
ファルマスタッフ	41,995件	日本調剤グループのため調剤薬局に強く、業界最多規模の求人数を誇る。じっくり相談しながら転職したい全年代におすすめ。
ヤクジョブ	39,702件	取引企業・医療機関は7000社以上。20代、30代で初めての転職、第二新卒の方などにおすすめ
マイナビ薬剤師	26,936件	大手調剤薬局の求人が多く、こまめな職場訪問による求人先の内部情報にも精通。スピーディーに転職したい40代以上におすすめ

※2024年4月時点

調剤薬局はもっとも求人数の多い職場なので、どれが自分の望む求人なのか選ぶのが難しいでしょう。薬剤師転職サイトそれぞれの特徴を踏まえて登録・利用することで、求人紹介がスムーズに進みます。

＞＞＞薬キャリAGENT、ファルマスタッフ、ヤクジョブ、マイナビ薬剤師について詳しく知りたい方はこちら

国公立病院・民間病院の平均年収は約380〜700万円

病院勤務の薬剤師の平均年収は、経験や地位・担当によって幅があります。一般職で約380万円、薬剤師主任は500万円前後、薬剤師部長で600〜700万円が相場となります。

平均すると年収は450万円程度と、他の職種と比べると低いです。医師などの他の医療事業者に対する人手不足の方が深刻でそちらに給料を多く出す構図ができているからといえます。

年収は低いですが、先進医療を扱える・患者に寄り添った医療を提供できるという点からやりがいを感じられるという意見が多く、新卒・既卒問わず人気がある職場です。

病院薬剤師の求人例

代表的な病院薬剤師の求人を以下にピックアップいたしました。求人を探す際のひとつの目安としてください。

求人	給与	企業名
【神奈川県川崎市宮前区】東急田園都市線沿い！17時半まで勤務！託児所利用可能◎	【月収】21.4万円～26.4万円程度（諸手当込） 【年収】380万円～450万円	法人名非公開
【三原市】≪薬局長候補募集≫三原市内の地域密着型の病院となります。周囲のサポートを受けながら勤務が可能です。WEB面接の対応も可能◎有休取得率100％です。	年収500万円～600万円 月給278,000円～400,000円	法人名非公開
＼高額求人／年収510万円可能！〈岡山市中区〉未経験OK♪はじめてでも安心して働ける環境です！マイカー通勤OK◎毎日の通勤もらくらくできる！【年間休日110日】	年収390万円～510万円 ※あなたのご経験、能力を考慮して決定いたします。	法人名非公開

※2023年9月現在

病院・クリニックの公開求人は、ほとんどの場合、法人名が非公開となっています。転職サイトに登録すれば、どこの病院・クリニックの求人かを教えてもらえます。

また、病院薬剤師は、夜勤の有無によっても年収が大きく変わるので、求人票でチェックしましょう。

病院薬剤師におすすめ薬剤師転職サイト

病院薬剤師に転職希望の方におすすめの薬剤師転職サイトは、以下の3社です。

転職サイト	病院・クリニックの公開求人数	特徴
薬キャリAGENT	1,501件	医師の転職支援や情報サービスを提供するエムスリーキャリア株式会社が運営し医療業界との太いパイプが強み。すぐ転職したい全年代におすすめ
マイナビ薬剤師	3,227件	大手マイナビグループは医師転職サイトも手がけているため病院へのコネクションが強く、求人は最多規模。20代、30代の薬剤師におすすめ
ファルマスタッフ	3,382件	医師の転職支援サイト・ドクタービジョンと同じ運営で、薬キャリAGENTと同等の求人数を保有。じっくり時間をかけて転職したい方におすすめ

*2024年4月時点

いずれも運営会社が医師転職サイトを手がけており、医療機関と太い繋がりがあるため、病院薬剤師の求人が集まりやすい背景があります。

病院・クリニックに強い転職サイトから自分に合ったものを選び、活用してみましょう。

＞＞＞薬キャリAGENT、マイナビ薬剤師、ファルマスタッフについて詳しく知りたい方はこちら

【年齢・男女別】薬剤師の平均年収

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査を元に、薬剤師の年齢別、男女別の薬平均年収をご紹介します。

20代・30代・40代・50代と年代別の平均年収

薬剤師の年代別平均年収は以下の通りです。

※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より

大学院卒の新卒平均年収が約320万円に対し、薬剤師の新卒平均年収は約380万円とかなり高い水準です。

ただし、40代以降の年収上昇率は鈍化しており、20代、30代の時のような昇給は期待しにくいことがわかります。

その理由は、40代・50代は正社員を募集している求人が減ってくるため、パートや派遣で働く薬剤師が増え、その分平均年収も下がってきてしまっているのです。

そのため50代以上での転職で「年収を維持したい・あげたい」という方は、正社員採用を狙うことが秘訣といえるでしょう。また利用する転職サイトも、転職サポートが手厚く、正社員求人に強いサイトを選ぶことも大切です。

男女別の平均年収

薬剤師の平均年収を比較すると、以下の通りです。

• 男性薬剤師 約637万円
• 女性薬剤師 約540万円 （※1）

女性薬剤師の方が約100万円ほど平均年収が下回っています。その理由として、女性は妊娠・出産・育児によるキャリアのブランクや、パートや時短勤務などが考えられます。

ただし、一般男女の平均年収では、男性が約545万円に対し、女性は約302万円（※2）とその差は250万円近くもあります。薬剤師の場合は、男女の年収格差が比較的少ないといえるでしょう。

参考：※1 産労総合研究所「2021年度 決定初任給調査」／厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和３年２月分」
※2 国税庁「令和3年分　民間給与実態統計調査」

【都道府県別】平均年収ランキング

このデータからわかることは、「都市部より地方の方が年収が高い」ということです。一般的な職業の場合、東京などの都市部の方が給料は高くなりますが、薬剤師の場合は逆です。

その理由は、都市部で薬剤師の数が過剰になっているのに対し、地方では不足しているからです。

給料は需要と供給のバランスで決められます。そのため不足している地方の、特に中小の調剤薬局では薬剤師を確保するために高い給料を払わなければなりません。

地方の薬剤師が不足しているのは、薬学部が都市部に集中しているためです。薬学部が6年制になるのに先駆けて新設の薬学部も増え、薬剤師の数の将来的な過剰も予想されていますが、まだ地方では人が足りていないのが現状です。

また、一口に地方といっても地域によって平均年収は異なります。東海エリアや九州では比較的高い傾向にありますが、東北地方や南関東は低くなっています。
薬剤師が働く地域も、年収に影響を与える要素の一つなのです。

1000万円も夢じゃない？薬剤師が年収をアップさせる方法

ここまでで「自分の年収、低いかも…」と感じた方も多いのではないでしょうか。

年収を上げるためには昇給や副業などさまざまな選択肢がありますが、「転職」をして年収が上がる可能性もあります。

ネグジット総研と共同調査（2019年実施）をしたところ、転職した人のおよそ42%が年収をあげることに成功しています。さらに平均年収アップ額は77万円という結果も得られており、年収をあげるために転職が有効であることがわかります。

年収に不満がある方は、一度転職を検討してみてはいかがでしょうか。

年収の高い求人が多い転職サイトに登録する

年収が高く条件の良い求人を希望する場合は、薬剤師専門の転職サイトに登録するのをおすすめします。

高年収の求人は競争率が高いため、自分で探してもなかなかみつけることができません。薬剤師転職サイトの中には、1,000万円以上の高年収求人を保有しているところもあります。そういった希少な転職先は、転職サイトを利用して探してもらうのがおすすめです。

年収1000万円・2000万円以上の求人がある転職サイト

年収1000万円以上の求人がある薬剤師転職サイトは、以下の2社です。

マイナビ薬剤師は、大手薬剤師専門転職サイトの中で唯一、年収の検索項目に「1000万円〜」があります。2023年9月時点で、1000万円以上の年収を提示する求人は62件。

それ以下の年収も50万円ごとに細かく区切って検索でき、高年収の一つの目安となる600万円以上の求人も１万3,510件も保有・公開しています。

マイナビ薬剤師の評判について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ファーネットキャリアは調剤薬局の求人が全体の7割を占め、そのうち8件が1000万円以上を提示する求人です（2023年9月時点）。それらはおもに、経営幹部やマネージャー薬剤師、管理薬剤師の求人となります。

また、ゆくゆくは年収1000万円以上の昇給を提示している求人も50件以上あり、高年収の求人が多いといえるでしょう。

ファーネットキャリアの評判について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ただし、残念ながら2000万円クラスの求人は公開されている中からみつけることはできませんでした。1000万円よりも高い年収を目指したい方は一度、高年収の求人が多いマイナビ薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか？

年収600万円・700万円以上の求人が多い転職サイト

薬剤師の平均年収は約583万円。そのため、薬剤師で高年収といえる目安は600万円、700万円以上となるでしょう。薬剤師転職サイトの中で、高年収の求人が多い転職サイトは次の4社になります。

2024年4月時点

薬キャリAGENTは、「年収600万円以上」で求人が検索でき、8,413件もの高年収求人を保有しています。（2024年4月時点）

薬キャリAGENTの評判について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ファルマスタッフは、調剤薬局の求人数の多さが特徴の薬剤師転職サイトです。

求人は、自身で年収額を設定して検索できる仕組みとなっており、最高700万円以上で検索が可能。2023年9月現在、600万円以上の求人は1万5,651件、700万円以上は2,432件あります。

ファルマスタッフの評判について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ヤクジョブは、業界最大級の保有求人数を誇り、特に求人数が3万件以上にものぼる調剤薬局に強い転職サイトです。

ヤクジョブのサイトでは年収や月収、時給といった給与額で求人は検索できませんが、「高収入の薬剤師求人」特集のページを設けています。2023年9月現在、1万5,937件の求人が掲載されており、時給換算の非正規求人も多数網羅されています。

リクナビ薬剤師は、総合転職大手リクルートのグループ会社が運営していることから、年収が高い傾向にある企業求人に強い特徴を持っています。

求人は「高額給与」で検索可能で、年収600万円以上を目安に検索でき、スキル・経験によっては800万円を提示する求人も多数保有しています。

リクナビ薬剤師の評判について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

現在の職場・働き方と同条件の求人を探して比較・交渉する

転職サイトの求人をチェックする際は、現在勤務している職場での業務内容や働き方・雇用形態などと同条件の求人と比較しましょう。

いくつかの求人と比較した結果、現在の年収が低いと感じるようなら、転職する意味が大きいといえるでしょう。

また、現在受け取っている年収の方が高いけれど別の理由で転職したいと考えているなら、現在の年収額を提示して条件交渉を担当キャリアアドバイザーにお願いできます。

転職の際の自身の市場価値を知る

転職の際は、最新の薬剤師の転職状況や市況を考慮したうえで、自身の市場価値を知ることが重要です。

薬剤師専門のキャリアアドバイザーによると、現在の薬剤師転職市場は売り手から買い手優位に変化しており、年収アップなどの条件はほとんど通らないといいます。

そのため、薬剤師が引く手数多だった頃の意識で転職活動をして失敗するケースが多いとか。自身の現在の市場価値を、まずは担当アドバイザーに確認することから始めましょう。

薬剤師の年収は低い？他の職種の給料と比較してみた

薬剤師の年収は低いのでしょうか？　同じ医療職や一般の他職種と比較し、転職の際にどういった点に注目すべきかも合わせて解説していきましょう。

医療職の年収ランキングでは男女ともに4位

医療職の中で、薬剤師の年収はどれくらいの位置にあるのでしょうか？厚生労働省発表の最新データを元に算出すると、男女ともに4位であることがわかりました。

職業	男性の平均年収	女性の平均年収
薬剤師	￥6,370,700	￥5,401,000
医師	￥15,148,100	￥11,383,700
歯科医師	￥7,937,800	￥8,781,200
獣医師	￥7,354,500	￥5,711,200
看護師	￥5,227,200	￥5,063,800
准看護師	￥4,270,300	￥4,170,900
診療放射線技師	￥5,641,000	￥4,781,300
臨床検査技師	￥5,609,900	￥4,816,400
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士	￥4,478,000	￥4,122,400
歯科衛生士	￥3,777,800	￥3,824,500

※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より

薬剤師の年収は医療従事者の中でも高いようです。

実際、平均年収で比較してみると男女ともに医師職に次いで4位となっています。 また年収が高い医師職と比べて男女の年収の差が狭いことも特徴の一つといえます。

医師は400万円近い差があるにもかかわらず薬剤師は100万円ほどとなっており男女の差が比較的少ない職種といえます。

他職種の年収と比較ランキング

薬剤師の年収は、一般的な職種と比べてどれくらいなのでしょうか？厚生労働省令和4年賃金構造基本統計調査を元に、いくつかの職業をピックアップして算出・比較してみました。

職業	平均年収
薬剤師	￥5,833,900
研究者	￥8,627,200
弁護士など法務従事者	￥9,713,900
高等学校教員	￥6,775,000
総合事務員	￥4,899,500
郵便局員など運輸・郵便事務従事者	￥4,847,800
販売店員	￥3,577,100
銀行員など金融営業職業従事者	￥6,070,900
理容・美容師	￥3,301,400
鉄道運転従事者	￥5,931,400

※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より

平均年収で比較すると、薬剤師は銀行員や電車などの運転士とほぼ同じ、販売店員や理容・美容師の約倍であることがわかります。

年収より昇給率と生涯賃金が重要

転職の際は年収で比較してしまいがちですが、それよりも昇給率や生涯賃金で比べることが重要です。

薬剤師は、新卒の初任給が高いため高収入と思われがちですが、キャリアアップした先に用意されているポストの数や種類が限られているため、昇給率が低いのが特徴です。

「20代・30代・40代・50代と年代別の平均年収」で紹介した通り、年代別で平均年収を比較した場合、薬剤師は年齢が上がるにつれ昇給率は鈍化しています。

例えば、新卒年収が薬剤師（約380万円）より低くても生涯賃金が大きく上回るのは以下のような職業があります。

職業	新卒年収（※1）	生涯賃金（※2）
薬剤師	約380万円	約2.3億円
研究者	約340万円	約3.5億円
弁護士など法務従事者	約300万円	約3.9億円
高等学校教員	約350万円	約2.7億円
航空機操縦士	約310万円	約6.4億円

※1　厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」の20〜24歳平均年収より算出
※2　厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」の平均年収×標準勤続年数より算出

薬剤師は、新卒入社した際の年収は高い傾向にありますが、生涯賃金では必ずしも高収入ではないことがわかります。

実は、「医療機関における賃金引上げの状況に関する調査」（※）でも取り上げられていますが、薬剤師に限らず医療職全体で昇給率の低さは問題視されています。

※日病・全日病・医法協「医療機関における賃金引上げの状況に関する調査」

薬剤師を目指す受験生必見！新卒薬剤師の平均年収は？

薬剤師は新卒でどれくらいの年収が得られるのか？薬剤師は働きやすい職業なのか？など、薬剤師を目指す受験生やその保護者が知りたいお金のことをまとめて解説しましょう。

新卒薬剤師の平均年収

新卒薬剤師の平均年収は、約380万円です。

他の新卒の平均年収と、薬剤師の平均年収を比較すると、次の結果となりました。

学歴／職業	新卒の平均年収
薬剤師（※1）	約380万円
大学卒（※2）	約270万円
大学院修士課程修了（※2）	約300万円
医師（※1）	約510万円
歯科医師（※1）	約220万円

※1　厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」の20〜24歳平均年収より算出
※2　厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果（初任給）の概況：1　学歴別にみた初任給」より算出

薬剤師の新卒年収は、一般的な大卒や大学院卒より100万円前後高いことがわかりました。医療職でも、医師に次いで2番目に高給です。

学歴による年収差は生じにくい

薬剤師は、どこの大学の薬学部卒かといった学歴の優劣で年収差が生じることはほとんどありません。

なぜなら、国家資格に合格して薬剤師免許を取得した時点で条件はほぼ横並びとなり、その後薬剤師として働くのに学歴は関係ないからです。そのため、出身大学によって年収が変わることはありません。

ただし、各大学によって国家試験合格のためのカリキュラムは異なるため、志望大学の合格率や自分に合ったカリキュラムかどうかは精査する必要があるでしょう。

国家公務員や企業への就職には学歴が大きく影響

薬学部出身者で一部、国家公務員になったり一般企業へ就職したりする場合があります。その場合は、学歴による年収差が生じる場合もあるようです。

• 国家公務員薬剤師：国家公務員薬剤師の職場は、自衛隊病院や消費生活センター、衛生研究所などがあります。年収は、国家公務員関係法令（人事院規則九－二）が定める「医療職俸給表(二)」に基づき決定。
• 企業薬剤師：薬剤師資格を生かし、企業で管理薬剤師、MR、研究開発職、CRC、CRA、薬事申請、企業内診療所の薬剤師、DI、PVとして働くのが企業薬剤師です。平均年収は「薬剤師の企業転職におすすめ厳選９職種｜仕事内容・年収・難易度・転職成功のポイントを徹底紹介！」をご参照ください。

参照：人事院「人事院勧告」

自由度の高い働き方ができる点がメリット

薬剤師として働くメリットとして、働く場所や勤務形態、雇用形態などが選べ、自由な働き方ができる点でしょう。

薬剤師の場合、働く場所は病院・クリニック、調剤薬局、ドラッグストア、企業など幅広く選べます。さらに、雇用形態も正職員、パート、契約、派遣などがあり、国家資格のため全国どこでも就職できる利点があります。

特に、妊娠・出産・育児などライフイベントの多い女性にとって、多少ブランクがあっても再就職しやすい薬剤師はおすすめの職業といえるでしょう。

薬剤師の年収に関するQ＆A

薬剤師の年収に関するよくある疑問について、Q＆A方式でご紹介しましょう。

海外（アメリカ・韓国）と比較して日本の薬剤師の年収は低い？

海外と日本で、薬剤師の平均年収を比較してみましょう。

国	平均年収
日本	約580万円
アメリカ	約1,100〜1,200万円
韓国	約600万円
スイス	約800〜900万円
オーストラリア	約500万円

参照：HOP!ナビ薬剤師「薬剤師がアメリカで働くには？資格の取り方と日本との違いを徹底解説」／ファーネットキャリア「薬剤師は海外でも働ける？求められる要素・給料相場・働くメリットも」／ファーマボックス「薬剤師平均年収の高い国TOP10と世界の薬剤師事情」

薬剤師の平均年収を比較すると、ダントツでアメリカが高給であることがわかります。その理由として、まずは薬剤師の人数自体が少なく、その地位の高さからこの年収となっているようです。

一方、お隣の国・韓国では、日本の薬剤師とほぼ同じ平均年収となっています。韓国でも薬剤師の人数が飽和状態で、特に多い都市部での給料が下がり、地方ほど年収が高い逆転状態が日本と同様に起こっています。

パートやスポット、フリーランスの働き方で得られる年収は？

薬剤師は、正職員ではなくパートやスポット、フリーランス、いわゆる短時間労働の場合、基本的に時給換算となります。

薬剤師の平均時給は、2,903円（※）です。この金額をベースに、パートの月収や年収を算出してみましょう。

短時間労働の全体平均時給は、男性1,631円、女性1,290円（※）。薬剤師の時給の高さがわかります。

※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より

薬剤師の年収まとめ

薬剤師は高収入というイメージが強いですが、平均年収は約583万円。新卒時の平均年収が約380万円と比較的高給与ですが、昇給率は低いのが特徴です。

薬剤師の平均年収は職場によって幅があり、一番高給といわれる製薬会社で約720万円、一番低いのが病院の一般職で約380万円となります。

もし、現在の年収に不安や不満、疑問を持っているようなら一度、薬剤師転職サイトの求人をのぞいてみてはいかがでしょうか？今と同じ条件で、もしもっと高い年収が望める求人が出ているようなら転職のチャンスです。

薬剤師の転職市況や自分自身の市場価値と照らし合わせて、よりランクアップを目指してみてはいかがでしょうか。