若年労働者の離職は、多くの企業で頭を悩ませている人材課題ではないでしょうか。
厚生労働省によると、新規学卒者の3年以内の離職率は3割をこえており、3人に1人は3年以内に離職しています。
離職防止のための取り組みに着手しなくては、とお考えの方も多いでしょう。離職防止の取り組みをおこなうためには、まず離職理由を知ることが肝心です。
本記事では離職理由を大きく4つに分類し、実際の離職防止事例の中で、特にユニークな取り組みを離職理由別にご紹介していきます。
これから離職防止施策を検討される方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
離職防止のユニークな取り組み事例を離職理由別に解説!
離職理由は、大きく以下の4つの分類に分けることができます。
- 労働条件
- 帰属意識
- 仕事内容
- 成長実感
それぞれの離職理由について、その詳細を解決するための取り組みをご紹介しましょう。
離職理由1.労働条件
勤務地や休日休暇、給与と言った労働条件に対し不満があり、もっと条件の見合う転職先を求めて離職するケースです。
とりわけ、ワークライフバランスを重視する傾向にある若年層にとっては、残業時間や業務過多が離職の原因となることが多いでしょう。
離職防止の取り組み:残業時間0社員に対する手当支給
大手アパレル販売店H社では、2017年より「月間の残業時間を0にした社員に1万5000円の手当を支給する」という取り組みが開始されました。
これにより、残業時間は15%削減され、売上も1人あたり3.2%増加、新卒採用への応募も約4倍に増えるという成果を生みました。
残業をした社員にお金を支払うのではなく、残業をしない社員を称賛し手当を与えるというのは、いかに企業が離職防止に力を入れているのかをうかがうことができます。
離職理由2.帰属意識が低い
企業理念への共感欠如、職場の人間関係の不和といった、労働環境に対し不満があり離職するケースです。
人間関係によって離職するケースは、特に周囲との調和を重んじる若手世代には非常に多いと言えます。
離職防止の取り組み:リバースメンター制度
大手化粧会社S社では、「若手社員が上司のメンターになるリバースメンター制度」を導入しています。
社長や執行役員を含めた上司に、若手社員がメンターとして業務指導や育成を行います。若手社員のコミュニケーション力や営業力の向上とともに、相互理解を深める画期的な制度として浸透しています。
ジェネレーションギャップの打破や、育成方法のヒントを得るうえでも効果的な施策と言えるでしょう。
離職理由3.仕事内容
仕事へのやりがい欠如、業務レベルの不一致など、業務自体に対し不満があり離職するケースです。
少し昔の世代には「石の上にも三年」という言葉があるように、「まずは3年働いてみろ」が通説でした。
しかし今では人材の売り手市場化の波もあってか、「思っていた仕事と違う」と感じてしまうと、早期に離職を決意してしまう傾向にあります。
離職防止の取り組み:社外ジョブローテーション制度
スマホアプリ企画開発会社D社では、「他社に社員を留学させる」というジョブローテーションを実施しています。
他社にジョブローテーションに出向くことで、社内では見つけることのできなかった自社の強みや弱みを俯瞰的に知ることができ、改めて自身の仕事のおもしろさややりがいに気づくきっかけを与える、画期的な取り組みです。
離職理由4.成長実感
職場のロールモデルの不在、キャリアステップの不透明さなど、成長環境に不満があり離職するケースです。
新入社員に関しては、初めは下積み的な業務が多いため、
「この業務は何の意義があるのだろうか」
「この業務を通して自分は果たして成長しているのだろうか」
と、今の業務内容に対し疑問を抱くケースも多いでしょう。
離職防止の取り組み:ぴあボーナス制度
情報通信会社M社では、称賛を賞与に還元できる「ぴあボーナス制度」を導入しています。社員同士で日々の仕事の成果や行動を賞賛し、賞与や成果品を付与できる制度です。
「ぴあ」とは「pia=仲間・同僚」のことであり、「仲間の行動に対する称賛」というのがぴあボーナスの由来です。
業務上の設定目標に限らず、良い行動をした人は小さなことでも褒め合おうという称賛文化を醸成する取り組みとして、昨今広まりを見せている制度です。
離職防止の取り組みのカギは社員の求めることを正しく把握する
ここまで若年労働者が離職する原因とそれぞれに対する実際の離職防止の取り組みを事例も交えてご紹介しました。
貴社でも導入できそうな取り組みはありましたか?
ただ、お伝えした離職防止の取り組み例も、「これを導入すれば自社の離職防止は完璧だ!」というものでは決してありません。
職場の人間関係に問題を抱えている会社に対して、休日手当の改定に乗り出してもあまり効果は期待できるとは言えないでしょう。
大切なのは、自社の社員が本当に求めているものは何なのかを正しく把握すること。
やみくもに離職防止施策を打つのではなく、下記3つを正しく把握することがポイントです。
- 自社で働く社員の特徴(何に満足していて何に課題を抱えているか)
- 自社で働き続ける上での最大のネックは何か(4つの離職理由の中でどれに分類されるか)
- 社員の理想の働き方とは何か
そのためには、日常的に社員とコミュニケーションを取り、リアルタイムで現状把握を行うことが求められます。
日々の現状把握ができるようなツールはHR業界で広がりを見せており、弊社でも「HR Ring」というツールを提供しています。
HR Ringは、社員の不満や不安を早期発見し、働くモチベーションを高める、社員の定着支援ツールです。
HR Ringには、社員の職場に対する満足度を定期的に調査するアンケート機能があります。
やりがいや方針理解、成長実感、人間関係など、社員が今何に満足していて、何を不満に思っているのかを分析することができます。
その結果を得て、会社としての大々的な取り組みのみならず、個々人へのこまめなフォローにも活かすことが可能です。
付け焼刃ではない、社員が真に求める離職防止施策を知るために、まずは部下の声を聞くところからはじめてみてはいかがでしょうか。
実際に使用してみた感想が気になる方は、弊社中途入社者が『HR Ring』を使ってみて感じたメリットやデメリットをまとめた、以下の記事も合わせてご一読ください。
今回は離職防止施策の中でもユニークな取り組みをご紹介しましたが、もう少し実現しやすそうな取り組みを知りたい、という方は以下の記事をご一読ください。
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