「什（じゅう）の掟」をご存じでしょうか。

江戸時代の会津藩では、6歳から9歳までの会津藩士の子供たちが地区ごとに「什」と呼ばれる集団をつくり、「什の掟」という約束事が定められていました。

１．年長者の言うことに背いてはなりませぬ
２．年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
３．嘘を言うことはなりませぬ
４．卑怯なふるまいをしてはなりませぬ
５．弱い者いじめをしてはなりませぬ
６．戸外で物を食べてはなりませぬ
７．戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ

時代が全く違いますので個別の文言の是非はさて置き、
組織の一員としてどうあるべきか規範がわかりやすく端的にまとめられています。そして最後は、「ならぬことはならぬものです」という一文で締められています。言葉として事細かに説明していないけれども、その行間にも大切なことがある、という毅然とした姿勢に強い信念が感じられます。

良し悪しを明確にすることと、細かく説明をしないという割り切りが素敵だと思います。

昨今、個の尊重へと時代の流れが大きく変化しています。連日ニュースでは有名芸能人の事務所退所のニュースが流れています。芸能人に限らず、フリーランスに副業に時短勤務などなど、個人がライフプランに応じて多様な選択肢を持つようになりました。

従来型の組織人の私であっても、コロナウイルスを契機にリモートワーク化が進むなど個としての活動が強まっています。

このような多様な個の出現と、一方で物理的に分断された環境において、会社組織として団結していくこと、そして、そのうえで成果をあげるためのコミュニケーション負荷が飛躍的に増大しています。

その状況を補完するためのビジネスチャットなどのITツールも続々と出ていますが、
その手軽さから、流通する情報量を増やしすぎてしまい、何でも把握できるかわりに、取捨選択と対応負荷が増えている現実があります。

これまでを、各所に均一に、丁寧に、頻度高く、行間をなくすべく、「コミュニケーションの足し算」をしてきたとするならば、これからは「コミュニケーションの引き算」を意識すべきだと思うのです。

削れるものを削って、生まれたエネルギーを企業成長のパワーとスピードに注ぐことが重要だと思うのです。

「コミュニケーションの引き算」を効果的に実践するには、自社・自部門・自チーム・自分、それぞれの単位で何が望ましいのか、そのために何をやらない（やる）のか規範の明文化が肝になります。

そして、規範に基づいて様々な状況下でいかに行動すべきか、社員の判断軸を醸成することで、組織の生産性と発揮価値が向上するのではないか。

4月に新入社員を迎え、自社を鑑みて、そんなことを考えました。

大切な規範な明確にしているからこそ、完璧な把握とすり合わせに執着しない。
不完全を許容することでパワーと推進力を得る。
中小企業こそ、思い切りが必要だと思うのです。

新入社員の入社は、振り返りと動き出しのきっかけを作ってくれる素敵な機会だと思います。
皆さんはどんなことを考えましたか？

コロナウイルスをきっかけに世の中のいろいろなことが変わりました。それらを踏まえて新人とその育成に関わる人に何を指し示していくのか。私たちと一緒に考えていきませんか？