コロナショックをきっかけに、オンライン就活の促進、OfferBox・キミスカなどのダイレクトリクルーティングサービスの台頭、ONE CAREERを代表とする口コミサイトの普及といった変化が、新卒採用市場に生じています。

その他にも様々な変化がありますが、2022年度採用と2023年度採用を比較した際の最も本質的な変化は、「冷静さを取り戻した学生」と「本当の意味での就活の早期化」にあります。

１．冷静さを取り戻した学生

コロナ以前も多くの学生がインターンシップ時期から活発に活動していましたが、半ばパニック状態だったことや、オンライン就活の利便性が絡み合い、接触数の異常値を叩き出していたのが2022年度新卒採用でした。

実際に一人当たりの平均説明会参加社数は
8.4社（21年度）→21.6社（22年度）と大幅に増えています。

2023年度新卒市場では、そのパニックが落ち着き、学生が冷静にかつ客観的に活動をおこなうようになったのです。
例として、マイナビの11月開催イベントの数値を見てみても、22年度卒向け同時期のイベントでは参加学生数約8,500人対して、今年のイベントでは約5,000人と大きく減少しています。
同時期の21年度卒向けイベントの参加学生が約6,500人ということを踏まえるとやはり、昨年がコロナによる異常値という見方が正しく、パニックが落ち着き平常運転に戻った、と言えます。

とにかく無作為に企業と接触をしていた学生が、冷静に企業の情報を吟味し、接触するか否かを判断するようになったのです。

２．本当の意味での就活の早期化

もう一つの変化が、本当の意味での就活の早期化です。
これまで同様6月の動きが最も活発であることは変わりませんが、グラフの通り、その差がより顕著になりました。


?※マイナビ2023 プレサイト 11月度 月次レポート
マイナビサイトデータ 2022 6/1～11/30

さて、ここでお伝えしたい「本当の意味での就活の早期化」とは、学生の初動のさらなる早期化を指しているわけではありません。

これまでは、とにかく早く動き出すという色が強く、多くの学生にとっての就活の本番、つまり、選考フェーズは少し先だったのですが、23年度採用においては、その様相が変わってきました。

23年度卒向けダイレクトリクルーティングサービスの始動が2021年4月であることも踏まえると、大きな流れとして、4月から6月の段階で企業選定を終了させ、7月以降は、それらの企業に対してインターンシップの参加や、選考参加へ時間を割く学生の比率が高まることが推測されます。もちろん、その先にもエントリーの小さな波はありますが、例年ほどの波の大きさにはなりません。本当の意味での就職活動（＝企業選び）の早期化が起こっているのです。

23年度採用は3月-4月が内定出しのピークになるため、内定出し時期を6月に設定されている企業様には、スケジュールの見直しを検討することを強くお勧めします。

大手企業の採用活動が終了してから、という考えで意図的に夏秋採用を実施している企業様も今年の波のタイミングは5-6月に早まることを念頭において活動する必要があります。もちろん、企業様ごとの事情があると思いますが、選考ステップの省略や、選考ごとの期間の圧縮、一度の接触を濃密な機会にするための施策など変化への対応策は多数あるので、ぜひ模索してみてください。

時代の変化をキャッチして、採用活動に反映する。
自社の魅力をターゲットに伝え興味喚起する。
そして、出会った学生を全力で魅了する。

時代の変化が貴社に及ぼす影響について、冷静に見つめてみましょう。