離職防止

帰属意識はどうすれば高まる?高めるメリットと具体的ノウハウを伝授

労働人口の減少により人材獲得が難しい現代において、従業員の「帰属意識」の重要性が高まっています。

帰属意識の低下は、モチベーションや生産性の低下につながるため、帰属意識の向上に努めることが喫緊の課題です。

今回は、帰属意識についての基礎知識や帰属意識を高める方法などを成功事例と併せて紹介します。

帰属意識とは

帰属意識とは、「特定の組織や集団に属し、順応している」という意識のことです。組織や集団とは、家族や信仰、コミュニティ、企業などさまざまで、企業における帰属意識は「企業の一員として組織に順応している」意識を指します。

企業への帰属意識が高いということは、企業に対して愛着を持っている状態であるため、業績への貢献が期待できます。

しかし、従業員の帰属意識が低いと、生産性の低下や周囲に馴染めないことによる離職につながる恐れがあります。

少子高齢化や労働人口の減少などにより人手不足が叫ばれる昨今において、従業員の定着率を上げ、人材の流出を防ぐためにも企業が従業員の帰属意識を高めることは重要です。

所属意識との違い

帰属意識と混同しやすい言葉に所属意識があります。

どちらも組織や集団に属している点では同じですが、組織や集団に「順応している」という意味合いが含まれているかいないかという点が異なります。

所属意識の「所」は特定の場所を意味する度合いが高く、企業への所属意識には「企業の一員である自覚」がある状態だけを意味し、企業に順応している意味合いは含まれません。

エンゲージメントとの違い

エンゲージメントも帰属意識と似た言葉です。直訳すると婚約や誓約という意味で、ビジネスにおいて「企業と従業員の関係性」を表す際に使われます。

帰属意識が「従業員から企業に対する一方的な関係」であるのに対して、エンゲージメントは「従業員と企業間の双方向の関係」を表すものです。

そのため、従業員が一方的に抱く帰属意識とは異なり、エンゲージメントは企業と従業員の相互関係が築かれなければ成立しません。

エンゲージメントを高めることは、結果として帰属意識を高めることにつながると言えます。

従業員満足度との違い

従業員満足度とは、ES(Employee Satisfaction)とも言い、従業員の企業における業務内容や職場環境、待遇などに対する満足度を表す指標です。

従業員満足度が高い状態というのは、従業員が企業に対して「居心地がよい」と感じて満足している状態です。

つまり、従業員満足度は、従業員に帰属意識を持ってもらうためのベースであり、帰属意識を高める上では必要不可欠な要素と言えます。

従業員に「この企業の一員でありたい」と思ってもらい帰属意識を高めるためには、企業はまず従業員満足度を高める必要があるのです。

帰属意識が注目されている背景・メリットとは?

近年深刻化する労働人口の減少や高まる人材の流動化などにより、企業は慢性的な人手不足に陥り苦戦を強いられています。

その中で、少しでも人材の定着率を上げて人材の流出を防ごうと「帰属意識」に注目する企業も多いです。

帰属意識を高めることは、企業にとって主に以下のようなメリットがあります。

帰属意識を高めるメリット
  • 離職率の低下
  • 採用・育成コストの削減
  • エンゲージメントの向上
  • 強い組織が作りやすい
  • 組織のシステム、オペレーションを駆動させやすい

帰属意識が高まると、「この企業で働き続けたい」と思う従業員が増えるため離職率の低下が期待できます。離職率が下がれば、欠員による人員の確保も不要となり、採用や育成コストの削減も可能です。

また、企業への愛着心は「企業に貢献したい」気持ちを醸成し、エンゲージメントの向上にも役立つでしょう。業務にも積極的に取り組むので生産性が向上し、結果として業績アップにも貢献します。

献身的な姿勢は、他の従業員にもよい影響を与え、強い組織づくりを支援してくれるでしょう。従業員が企業と足並みを揃えて前向きに働き続けるには、帰属意識の向上は重要と言えます。

帰属意識を高めるノウハウ4選

帰属意識を高める具体的なノウハウを4つご紹介します。

働き方や福利厚生など待遇の改善

取り組みやすい施策の一つとして、労働環境や福利厚生など待遇の見直しがあります。

ライフスタイルや働き方に対する価値観の多様化などにより、ワークライフバランスを重視する人が増えています。

従業員が仕事と生活の両方において調和の取れた状態を最善とし、ストレスを抱えることなく働ける環境の整備が必要です。

フレックスタイム制や在宅勤務、時短勤務などさまざまな勤務体制を導入したり、福利厚生の充実やインセンティブなど給与面を改善したりして、従業員満足度の向上を図り帰属意識を高めましょう。

コミュニケーションの活性化

社内でのコミュニケーションの活性化を図ることも、帰属意識の向上に効果的です。

身近な同僚や上司に対して親しみを持つことは、自社に対する愛着形成の一助となります。ワークショップやシャッフルランチなどで業務外での会話の機会を増やしましょう。

チームや部署内に限らず、他部署や経営層と関わる機会を設けるために社内イベントの開催や部活の設立などもよいです。

普段接することのない他の従業員の働き方を知るよいきっかけにもなり、組織に一体感をもたらしてくれます。

インナーブランディングを実施

インナーブランディングとは、自社の企業理念やビジョンなどを従業員に理解してもらうための活動です。

一般的に社外に対しておこなう企業ブランディングを社内向けに実施して自社理解を深めることで、自社への愛着を深める効果が期待できます。

インナーブランディングは帰属意識の向上のみならず、自社ブランドに一貫性を持たせるため、企業パフォーマンスの向上にも効果的。

企業が目指すゴールを共有してビジョンを掲げることで、従業員全員が目標を見失うことなく一丸となって取り組めるようになります。

従業員のフォロー体制を充実

帰属意識の向上には、従業員が抱える悩みや不満への適切な支援も大切です。

定期的にアンケートを取ったり面談をおこなったりして、従業員の声にしっかりと耳を傾けて支援する体制を整えましょう。

従業員に寄り添いフォローすることでエンゲージメントが高まり、企業と従業員の良好な関係が築けます。

離職リスクを下げるためにも、従業員のささいな変化を見逃さないことが重要です。

帰属意識が低下してしまう原因

働き方の多様化が進む中、仕事に対する目標ややりがいを重視する従業員が増えています。

在籍期間よりも成果主義を導入する企業も増える一方で、未だに年功序列を優先している企業も少なくありません。

終身雇用から転職が当たり前の時代に変わる現代の日本社会において、「この企業でずっと働きたい」と思える動機づけができていないと、帰属意識の低下を招いてしまいます。

企業が確固たるビジョンや経営方針を従業員に示し、共感を得て初めて従業員も納得して企業に貢献しようという意識が芽生えるものです。

従業員に不信感を与えないことが帰属意識を低下させないための最低条件であることを、頭に留めておきましょう。

帰属意識を高めることに成功した事例

ここでは、帰属意識の向上に成功した実際の事例を紹介します。

住設メーカーのLIXILでは、2019年11月国内事業の活性化に向けた人事プログラム「変わらないと、LIXIL」を打ち出し、ショールーム改革に取り掛かりました。

従業員のエンゲージメント向上に取り組み、在宅勤務の導入や月1回のエンゲージメントサーベイなどを実施。結果、開始当初に比べエンゲージメントスコアの改善が見られました。

エンゲージメント向上に伴い、帰属意識の向上にも成功した事例です。

株式会社サイバーエージェントでは、人材を経営資源と捉え「採用・育成・活性化・適材適所」を重視した経営をおこなっています。

従業員が自社で安心して長く働き続けられる人事制度や福利厚生を実施。年齢や性別、経験を問わず管理職への登用も積極的におこない、女性管理職は20%を超えるなど、人材育成に取り組んでいます。

その結果、離職率を8%に留め、87%以上の従業員が働きがいを感じていると回答。従業員の高い帰属意識の表れと言えます。

化学メーカーの信越ポリマーは、フレックスタイム制度や短時間勤務制度を導入して従業員の働きやすさの実現に取り組んでいるほか、50歳以上を対象としたキャリア研修を実施して、シニア層のモチベーション維持にも取り組んでいます。

2020年の時点で、離職率は0.9%、2017年4月新卒入社者の3年後定着率は100%と、帰属意識向上の施策に取り組み、成果を出している企業です。

まとめ

ここまで、帰属意識についての基礎知識や帰属意識を高める方法について紹介しました。帰属意識を高めることは、企業にいくつものメリットを与えてくれます。

しかし、施策に取り組んだからといって一朝一夕に効果がでるとは限らないため非常に難易度の高い課題の一つです。

この記事で紹介したノウハウや事例を参考に、自社に合った施策を検討・実施して帰属意識の向上に取り組んでみてください。

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知恵袋編集部
「人と組織の成長を加速する」というミッションのもと、採用、育成、定着を支援する様々なソリューションをワンストップで提供するカケハシ スカイソリューションズならではの知見をお伝えすることを目的として記事を執筆・編集。離職防止の知恵袋では、人事担当向けに、社員の定着・離職防止に役立つノウハウを幅広く取り扱っています。
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