ホワイト企業認定とは、家族や知人に入社を勧めたくなるような企業や、次世代に残すべき優良企業(ホワイト企業)を評価・認定し、企業価値の向上を支援する制度です。
近年、企業の長時間労働やパワハラが社会問題化し「ブラック企業」という言葉が広がりました。そこで、優良企業を「ホワイト企業」と客観的に判断するホワイト企業認定が注目されています。
今回は、ホワイト企業認定取得のメリットや流れについて解説します。
目次
ホワイト企業認定とは
ホワイト企業認定とは、一般財団法人日本次世代企業普及機構(ホワイト財団)が主催する、企業のホワイト化を総合的に評価する認定制度です。
ホワイト企業認定に必要な要素は、「長期に渡り健全な経営を続けられる優れたビジネスをおこなう企業」「従業員が安心して働き続けられるために優れた社内統治をおこなう企業」「時代のニーズに合わせた従業員の働きがい(エンゲージメント)を高く保つ企業」の3点を併せもつ企業とされています。
(参考:一般財団法人 日本次世代企業普及機構「ホワイト企業認定について」)
ホワイト企業認定取得のメリット
ホワイト企業認定を取得することによって、以下のようなメリットが期待できます。
メリット(1)人材定着率の向上
ホワイト企業認定取得における指標には、「ワーク・ライフバランス」「人材育成・働きがい」「健康経営」などの項目が設定されています。
これらの指標を満たすことは、従業員の仕事へのやりがいやモチベーションアップにつながり、人材定着率の向上に寄与します。
人材の定着率が向上することにより、企業は採用コストや育成コストなど、組織づくりにかかるさまざまなコストを削減できるため、企業として大きなメリットとなるでしょう。
メリット(2)採用活動に役立つ
ホワイト企業認定は、採用活動において求職者への大きなアピールとなります。
近年、ブラック企業に関するマイナスイメージ報道から、職場環境の健全性を重要視する求職者も多いです。
また、労働市場の売り手市場化が進んでいることで、企業の採用活動は家族への配慮も必要となっています。
ホワイト企業認定は、求職者だけでなく家族に対しても、安心の就職先としてアピールできる点もメリットの一つです。
メリット(3)企業イメージの向上
ホワイト企業認定されると、認定マークが付与されます。
企業のホームページやパンフレット、求人広告など、さまざまなシーンで認定マークを活用できるため、企業の健全性を世間にアピールし、企業イメージの向上を図れます。
取得に必要な指標
ホワイト企業認定には次の7つの指標が設けられ、企業のホワイト化で取り組むべき70の設問から総合的に評価されています。
- ビジネスモデル/生産性
- ダイバーシティー&インクルージョン
- ワーク・ライフバランス
- 健康経営
- 人材育成/働きがい
- リスクマネジメント
- 労働法遵守
ビジネスモデル/生産性
ホワイト企業認定では、画期的な事業戦略をおこない、生産性が高くビジネスモデルとなりうる企業を評価しています。
自社のビジネスが、高い安全性・安定性を有し長期永続が可能であることや、生産性向上の施策を積極的に実施し、ビジネスをさらに推進させていることが評価基準となります。
ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティとは「性別・人種・年齢・学歴だけでなく、性格や価値観などの多様性を受け入れて人材活用することで、高い生産性を生み出そうとするマネジメント」を意味します。
ホワイト企業認定では、多種多様な人材を積極的に活用しようとする企業の姿勢を評価し、全ての従業員がそれぞれの特色・個性・経験等を活かし、活躍できる企業を目指していることが評価対象です。
ワーク・ライフバランス
ワーク・ライフバランスとは「生活の充実で仕事がうまく進み、結果として生活が潤う」という相乗効果のこと。
全ての従業員のワーク・ライフバランスの実現に向けて柔軟な勤務形態を導入することで、キャリア実現を支援していることが指標として設定されています。
健康経営
ホワイト企業認定では、従業員の健康を重要な経営資源として捉えて、個人の健康増進を企業の業績向上に繋げるための施策を取り入れているかが指標の一つとされています。

人材育成/働きがい
ホワイト企業認定における人材育成/働きがいとは、働く従業員と企業の関係を対等と捉え、お互いが同じ方向に向かって成長するための取り組みをおこない、組織力を強化していることです。
リスクマネジメント
経営をおこなっていく上で障壁となるリスク及び、リスクが及ぼす影響については事前に対策が必要です。
ホワイト企業認定では、危機発生の回避をするとともに、危機発生時の損失を極小化するための取り組みを評価の対象としています。
労働法遵守
ホワイト企業認定は、法令を遵守していることや社会良識に従った活動をおこなっている企業が評価対象となります。
従業員が安心して安全に働くことができ企業活動を円滑におこなうために、労働に関する法律の内容を正しく理解し遵守していることがホワイト企業認定の必須認定条件です。
(参考:一般財団法人 日本次世代企業普及機構「ホワイト企業認定について ホワイト企業になるための7つの指標」)
取得を目指す際の流れ
ホワイト企業認定取得の流れは、次のステップで進みます。
ステップ1.Web審査
ホワイト財団ホームページより「ホワイト企業認定審査」を受けます。
ステップ2.Web審査結果のフィードバック
各項目が点数で表示され、自社の状況・弱み・強みがわかります。
ステップ3.仮認定/書類審査
認定基準を満たしていた場合は「仮認定」となり、書類審査に進みます。
書類審査では、「審査結果に基づいた根拠書類」「弁護士・社労士・労働者代表のいずれかのサインがある労働法遵守証明書」「会計士・税理士いずれかのサインがある財務状況証明書」を提出し、ホワイト企業認定に関わる承諾書の締結として、虚偽がないことなどの最終確認がされます。
ステップ4.認定
「ホワイト企業認定マーク」「ホワイト企業認定プレート」「ホワイト企業認定証」が付与されます。
(参考:一般財団法人 日本次世代企業普及機構「ホワイト企業認定の流れ・採点方法・認定料」)
ホワイト企業認定取得は、難しい
ホワイト企業認定は、前述した7つの指標の評価項目に対し、一定基準を満たしていることが認定条件です。特に「労働法遵守」については満点が必須で、労働環境の整備が重視されています。
また、「PLATINUM」「GOLD」「SILVER」「BRONZE」「REGULAR」の5段階の認定ランクがあり、最上位「PLATINUM」を獲得することは、難易度が高いです。
自社の力のみで目指すのではなく、経験豊富な外部のコンサルタントに相談し取得を目指すことをおすすめします。
まとめ
今回は、「ホワイト企業認定とは何か」に加え、取得のメリットや認定までのステップをまとめました。
ホワイト企業認定を受けることは、働く環境を健全に整えるだけでなく、外部に対して優良企業であることを証明し、企業のイメージアップに貢献できます。
今回の記事を参考に、ホワイト企業認定を目指してみてはいかがでしょうか。

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