中途採用ノウハウ

採用ピッチ資料とは?事例10選と作り方・ポイントを徹底解説!

採用ピッチ資料とは、ターゲットを求職者に絞った「会社説明資料」のこと。

通常の会社説明資料とは異なり、求職者が企業で働くイメージを抱きやすい内容をメインに記載されています。

この記事では、採用ピッチ資料の作成を検討している企業担当者に向けて、採用ピッチ資料の概要から、作成するメリットや記載項目などを成功事例とあわせて紹介します。

採用ピッチ資料とは

採用ピッチ資料とは、「求職者をターゲットにした会社説明資料」のことです。ピッチはビジネス用語で「短いプレゼンテーション」を意味します。

求職者が企業で働くイメージを抱きやすいよう伝える採用手法の一つです。

求職者が気になる情報や企業が伝えたいメッセージを中心に、体系的かつストーリー性を持たせて作成します。

採用ピッチ資料と似た資料に、会社案内があります。

この2の資料の違いはターゲットです。顧客や投資家、株主など、様々な方をターゲットに作成されている会社案内と異なり、採用ピッチ資料はターゲットを求職者のみに絞ってまとめられています。

採用ピッチ資料は、実際に働くことをイメージしてもらうために、会社案内よりも詳細な内容が記載されています。情報量が多いため、最近では動画で公開する企業も増えています。

採用ピッチ資料の作成メリット

採用ピッチ資料を作るメリットについて紹介します。
採用ピッチ資料の作成を検討している方は参考にしてください。

認知の拡大

採用ピッチ資料の作成は、求職者への認知拡大が図れます。

資料をWeb上で公開することで、求職者の目に留まり興味を持ってもらうきっかけになる他、求職者との接点を作りやすくなります。

採用ピッチ資料は、自社サイトはもちろん、SNSや求人媒体、リファラル採用など様々な場面で活用できるのも特徴です。

採用ピッチ資料の活用により、応募数が5倍以上増加したという企業もあるほど、認知度向上に期待できます。

マッチ度の向上

求職者とのマッチ度が向上する点も、採用ピッチ資料を作るメリットとしてあげられます。

採用ピッチ資料には、企業理念や求める人材、給与・評価制度など様々な情報を記載するため、求職者は「企業が自分に合っているかどうか」を判断しやすくなります。

入社後のミスマッチを防ぎ、内定辞退や早期離職防止に役立ちます。

採用コストの削減

採用ピッチ資料を作成することで、採用コストの削減にもつながります。

採用ピッチ資料を応募前に読んでもらい企業理解を深めることで、面談や面接の際、企業説明をおこなう時間の短縮につながります。

面談や面接の時間を、相互理解を促すための場として有効的かつ効率的に進めることができます。

採用ピッチ資料の記載項目

採用ピッチ資料に記載する項目は、主に以下の内容です。

採用ピッチ資料の記載項目
  • 会社概要
  • 組織概要
  • 採用情報

各項目で記載すべき具体的な内容を紹介します。

会社概要

会社概要では、自社がおこなっている事業についてや、歩んできた歴史、企業理念などを記載します。

・事業内容
・沿革
・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー) など

事業内容

自社がどのようなサービスをおこなっているのか、具体的な事業内容を記載します。

複数ある場合は、一覧でまとめて次ページから各事業の詳細を説明するなど、見やすい資料作成を心がけましょう。

沿革

創業から現在にいたるまで、「企業の歩み」をまとめます。

起きた出来事を時系列で作成し、転機となった特に大きな出来事をピックアップして詳細に記載するとよいです。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)

事業におけるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を記載します。

ミスマッチ防止の観点において理念への共感は不可欠です。求職者が理解しやすいよう、しっかりと説明しましょう。

組織概要

組織概要では、「どのような人」が「どのような働き方」をしているのかを紹介します。

・メンバー紹介
・社風・文化
・勤務形態
・福利厚生
・評価制度や賞与 など

メンバー紹介

メンバー紹介は、会社全体でどのようなメンバーがどれくらいいるのかを大まかに記載します。年齢や性別、部署の配属割合などをグラフでわかりやすく紹介しましょう。社員紹介は、採用サイトやSNSなど別の紹介ページのURLや、QRコードを資料に貼って誘導するのもおすすめです。

社風・文化

企業の雰囲気を知ってもらうために、社風や文化について記載します。企業で実際に働く姿を求職者がイメージすることで、ミスマッチの予防にもなります。

自社でおこなっているイベントの紹介や、社員インタビューなどの紹介も理解を深めるのに効果的です。

勤務形態

働き方や業務の進め方、雇用形態などを詳しく記載します。求職者が企業を選ぶ際に重要視する項目でもあるため、しっかりとアピールする必要があります。

よいことばかりではなく、先輩社員が経験した「大変だったこと」なども紹介することで、企業への好感度や信頼感が高まります。

福利厚生

企業が実施している休暇制度や、待遇などの福利厚生について紹介します。独自の制度がある場合は詳細を掲載するとより理解しやすくなり、マッチ度の向上につながります。

評価制度や賞与

評価制度や賞与は給与に直結するため、求職者が特に知りたい重要な項目です。評価が上がる仕組みや給与アップの条件などを可視化して、求職者の理解を促しましょう。

採用情報

最後に、求職者に向けた採用情報を記載します。

・求める人材
・選考フロー
・自社の課題やメッセージ など

入社までの過程が明確になることで、求職者の不安や疑問が減り応募しやすくなります。

また、求める人材やメッセージを伝えることでミスマッチを防ぎ、効率のよい採用につながります。

採用ピッチ資料の効果的な作り方と流れ

採用ピッチ資料をより効果的なものにするために、気を付けたいポイントを紹介します。

自社の魅力・求める人物像を明確にする

効果的な採用ピッチ資料を作るためには、自社の魅力や求めている人物像を明確にします。自社の強みや魅力を説明した上で、求めている人材を明文化しましょう。

【例1】
悪い例:積極的な人
よい例:業務を自分事として捉えて能動的に取り組める人

【例2】
悪い例:誠実な人
よい例:指示だからと鵜呑みにせず、疑問を感じたときには質問し、自分の意見を言える人

上記のように、人によって定義が異なる言葉は、選考にバラつきがでないようできるだけ詳細に記載するのがポイントです。

採用担当者によって意見の食い違いが発生すると、議論に時間を要する上、自社が望む人材を得られなくなる可能性があります。

ミスマッチを防ぐためにも、曖昧な表現は避け、具体的に記述することを心がけてください。

印象的かつ簡潔に伝える

情報量の多い採用ピッチ資料では、印象的かつ簡潔に伝えることが大切です。

求職者に読んでもらえるよう、一目で理解できる工夫をしましょう。グラフや図を取り入れるなど文字数を減らす工夫をおこなうことで、読みやすくなります。

作成した資料を基に、ダイジェスト版の採用ピッチ動画も作るとよいでしょう。音楽やナレーションを入れ込むことで、より企業の特徴などを印象づけることができます。

ストーリー性を意識する

最後まで読んでもらうためにも、採用ピッチ資料にはストーリー性を持たせましょう。

採用に必要な情報を記載するだけでなく、求職者の応募意欲向上を段階的に促していく仕掛けが必要です。求職者は次になにを知りたいのか、求職者側の目線に立って順序立てた構成で作成します。

例えば、冒頭から福利厚生を伝えてしまうと、求職者は「まずは事業概要が知りたいのに」などと不満が生じる恐れがあります。

企業理念の次には、昇給制度よりも社員の想いなど「人」に関わる項目を記載した方が関連性が高く印象的な演出ができます。

採用ピッチ資料をより効果的にするためには、各項目は関連性の高い順番で説明するのがポイントです。順を追ってストーリー性を持った「応募したくなる」設計を意識して求職者の企業理解を促しましょう。

求職者の求める情報を盛り込む

採用ピッチ資料には、企業が伝えたい情報の他に「求職者が求めている情報」を盛り込むことがポイントです。

具体的には「社内の人間関係は良好か」「自分が望むキャリア形成ができる環境か」「休暇は取りやすいか」などがあげられます。

社員の体験談やインタビューなどを用いて紹介するのも効果的です。

効果検証をおこない常に更新し続ける

採用ピッチ資料は一度作ったら終わりではありません。効果検証をおこない、常に更新し続けることが大切です。

古いままの情報を掲載していると、「この企業は採用する気がないのか」と思われ、信頼してもらえない恐れがあるでしょう。

また、最新の情報を的確に伝えられないことで、ミスマッチや応募減少などのリスクも生じてしまいます。

年月の経過や企業の成長とともに変化する項目が多いため、定期的な見直しや情報の更新を怠らないよう注意しましょう。

採用ピッチ資料の成功事例10選

採用ピッチ資料を公開している企業の中から、成功している事例を紹介します。
資料作成や活用方法などの参考にしてください。

株式会社SmartHR

採用ピッチ資料の先駆けとなったのが株式会社SmartHRです。採用ピッチ資料を公開後、応募数は5.3倍にも増え、資料は半年で24万回も再生されたそうです。

資料を公開したことで「オープンな社風を体現している」と、好印象を与えることに成功した事例です。
(参照:株式会社SmartHR「採用ピッチ資料」)

株式会社リンクアンドモチベーション

独自のデータベースを軸に、幅広い事業を展開する株式会社リンクアンドモチベーションは、ソフトウェアエンジニア向けに特化した採用ピッチ資料を公開しています。

自社におけるエンゲージメント・レーティングや月間経常収益を開示しているのが特徴です。Q&Aやオンボーディングを記載し、入社後に働くイメージがしやすい配慮がされています。
(参照:株式会社リンクアンドモチベーション「採用ピッチ資料」)

株式会社FABRIC TOKYO

株式会社FABRIC TOKYOは、登録した採寸データを基にオーダースーツやシャツをオンライン購入できるサービスを展開しています。

採用ピッチ資料には、社内カルチャーについて詳しく掲載されています。

中でも「転職チャレンジ(転チャレ)」という独自の社内転職制度では、実際に制度を利用した社員のリアルな声を知ることができます。
(参照:株式会社FABRIC TOKYO「採用ピッチ資料」)

スマートキャンプ株式会社

スマートキャンプ株式会社は、「テクノロジーで社会の非効率をなくす」をMISSIONに掲げ、働き方改革や労働生産性向上を目指すスタートアップベンチャー企業です。

採用ピッチ資料では、最後に選考フローを掲載しています。

選考において「カルチャーマッチ」を重要視している点を明記し、丁寧なマッチングを図っていることを説明しているのが印象的な事例です。
(参照:スマートキャンプ株式会社「採用ピッチ資料」)

キャディ株式会社

キャディ株式会社は、独自の画像解析アルゴリズムを搭載した図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER( キャディ ドロワー )」や金属加工部品の受発注プラットフォームなどを提供しています。

採用ピッチ資料を職種ごとに分けて公開している他、給与テーブルも開示して、企業の魅力を伝えているのが特徴です。
(参照:キャディ株式会社「採用ピッチ資料」)

STORES株式会社

STORES株式会社は、「Just for Fun」をミッションに掲げ、ネットショップ開設やキャッシュレス決済、オンライン予約システムなど商売におけるデジタル化の支援サービス「STORES」を展開しています。

グラフや図版を駆使し、事業内容などをシンプルかつわかりやすく作成しているのが特徴です。

また、福利厚生では、実際の社員の育休復帰率や休暇取得率を掲載することで、風通しのよい社風を印象付けています。
(参照:STORES株式会社「採用ピッチ資料」)

株式会社ベイジ

株式会社ベイジは、BtoBマーケティングとUI/UXデザインを強みとするweb制作会社です。

100ページを超える採用ピッチ資料では、実績を多く掲載している他、事業内容や自社の強み、差別化など細かく丁寧に説明しています。
(参照:株式会社ベイジ「採用ピッチ資料」)

カラビナテクノロジー株式会社

カラビナテクノロジー株式会社は、システム開発やアプリ開発、Webサイト制作をおこなっています。

資料冒頭に会社の社風やカルチャーを紹介しているのが特徴。入社前に社員から付けられたあだ名で呼び合うことや、朝会がないなどの企業独自のカルチャーを紹介し、入社後のマッチ度向上を図っている事例です。
(参照:カラビナテクノロジー株式会社「採用ピッチ資料」)

株式会社フィードフォース

株式会社フィードフォースは、BtoBマーケティングの支援サービスを提供しています。

文字が少なく、グラフやイラストなどを使って端的かつ視覚的にまとめられている採用ピッチ資料を作成しています。

福利厚生では、自己学習や社内勉強会など社員のキャリア自律を図るための支援制度についても詳しく掲載されている他、等級制度も掲載して具体的な年収を開示するなど、就職後のキャリアを見据えることができる事例となっています。
(参照:株式会社フィードフォース「採用ピッチ資料」)

株式会社チカク

スマホで撮影した子供の成長を実家のテレビに送れる「まごチャンネル」を販売している株式会社チカクでは、企業ホームページと同じオレンジカラーを基調としたポップな採用ピッチ資料を公開しています。

サービス立ち上げの背景を紹介し、ストーリー性を持たせているのが特徴。

また、顧客の声として商品レビューや実際に送られてきた手紙の内容を紹介して、自社の魅力を伝えています。
(参照:株式会社チカク「採用ピッチ資料」)

まとめ

採用ピッチ資料は、ターゲットを求職者に絞った採用手法の一つです。

通常の会社説明資料のように幅広い内容を盛り込むのではなく、ターゲットが求めている情報をストーリー性を持って紹介することで企業の魅力を印象づける必要があります。

自社で採用ピッチ資料の作成を検討している企業担当者の方は、この記事で紹介したポイントや成功事例を参考にして効果的な採用ピッチ資料を作成しましょう。

採用ピッチ資料は一般的には上述の通り、求職者向けに使用する資料ですが、内容をカスタマイズすることで人材紹介からの推薦数を増加させる目的での使用も可能です。

カケハシ スカイソリューションズでは目的・ご要望に応じた採用ピッチ資料制作を承っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

以下資料にもカスタマイズの参考情報を掲載しています。ダウンロードは無料ですのでぜひお気軽にダウンロードしていただき、ご活用ください。

【無料ダウンロード】事例つき!採用ピッチ資料とは?作成のポイントを解説!
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