離職防止

人事向け「オンボーディング」完全ガイド|取り組むプロセス・効果を解説

人事向け「オンボーディング」完全ガイド

「オンボーディング」という言葉をご存知でしょうか。

企業の人事担当者や経営層の多くは、新入社員を受け入れるとき、早く戦力となって企業に貢献してほしいと期待しています。

しかしながら、新入社員が「組織に馴染めない」「早期離職をしてしまう」などの課題を抱えている企業が多いのが現状です。

そこで近年、広く浸透しつつあるのが「オンボーディング」です。

今回は、「オンボーディング」とはどのようなものなのか、効果やプロセス、具体例までを網羅的にご紹介します。

人事領域における「オンボーディング」の意味

人事領域における「オンボーディング」の意味
オンボーディングとは?

新卒採用者や中途採用者など新入社員が組織で早く活躍できるよう、組織全体でサポートするプログラムのことです。

つまり、オンボーディングとは、新入社員を組織の一員として定着させ、戦力化させるまでのプロセスのことを指します。

オンボーディングの対象は新卒社員に限らず、中途採用の若手や中堅社員、幹部クラスなど、新たに組織に加わったすべての人材が含まれることや、入社後の短期研修ではなく継続的なプログラムであることが特徴といえます。

オンボーディングを用いる目的は?

職場全体で新入社員を受け入れるというアプローチを行い「新入社員と既存社員を短期間で統合すること」や、短期間のオリエンテーションだけで終わらせずに継続的なサポートプログラムを実施することで「新入社員が早期から実力を発揮し、企業に貢献していくこと」が挙げられるでしょう。

オンボーディングによって期待される効果

オンボーディングによって期待される効果オンボーディングは、新入社員の定着を図るだけでなく、企業や既存社員側にも効果があるといいます。具体的なメリットは以下の3つです。

  1. 新卒採用者の早期離職防止や早期戦力化
  2. 中途採用者の早期パフォーマンス発揮
  3. 組織力の向上

(1)新卒採用者の早期離職防止や早期戦力化

新卒採用者が入社後の早い段階で退職してしまう理由には、「職場に馴染めない」「仕事内容が自分には合わない」などが多く挙げられます。

オンボーディングは短期間で仕事を覚えることや自身のスキルを身に付けることにつながるよう設計しているため、早い段階で戦力化させることができるでしょう。

また、戦力となっている実感を得られることで、新入社員の企業への貢献度が上がり、エンゲージメントや定着にもつながるといわれています。

(2)中途採用者の早期パフォーマンス発揮

中途採用者の受け入れに関しては、現場に一任しているという企業も多いのではないでしょうか。

受け入れの準備が不十分で中途採用者が組織に馴染めず、自身の持つスキルを活かせない、パフォーマンスを発揮するまでに時間がかかってしまうなどの課題が生まれやすくなっていました。

オンボーディングを活用することですぐに業務の流れが把握でき、既存社員との距離感も縮められるため、即戦力として採用した中途採用者の早期パフォーマンス発揮につなげることができます。

(3)組織力の向上

かつての育成方法は、同じ部署の教育係など「担当者が新人教育をする」という、狭い関わりでの育成が主でした。

一方のオンボーディングでは、事業部を超えて多くの人を巻き込んで進めていきます。

組織内での情報共有が活発になり社員同士で助け合う機会が必然と多くなることで、縦のつながりだけでなく横のつながりも強化されるのです。

そのため、組織の結束力に効果があるでしょう。育成方法が仕組み化されることによって、業務効率化にもつながるといえます。

オンボーディングのプログラム設計における4つのプロセス

オンボーディングのプログラム設計における4つのプロセス新入社員の早期定着や早期戦力化を図るには、どのようにプログラム設計をするとよいのでしょうか。4つのプロセスに分けて解説します。

オンボーディングの4つのプロセス
  1. 目標設定
  2. 原案作成
  3. 完成と実行
  4. フォローと見直し

プロセス1|目標設定

はじめに、オンボーディングを行う目的を踏まえ、目標を設定しましょう。

新入社員に対して、「いつまでに、どのようなスキルを求めるのか」や「最終的にはどのような姿になっていて欲しいのか」などを設定し、きちんと言語化します。

そうすることで理想像が明確となり、何をすべきかが伝わりやすいでしょう。

プログラムを設計する中で、課題が見つかる場合もあるかもしれません。そのような時にはさらに深堀りし、本質的な問題を見出しましょう。

プロセス2|原案作成

次は、問題や課題をもとに解決方法や過程などの詳細を練っていきます。

「解決に導くにはどのような取り組みが必要か」「求める能力やスキルはどうすると身に付けられるか」などを具体的に考えてみましょう。入社日から1年程度を目安にスケジュールを組んでみてもよいかもしれません。

この時、「会社に馴染めない」「業務内容が覚えられない」など新入社員が抱えやすい企業や組織に対する課題をプランに入れ込むことも必要です。

一人ひとりに合ったオンボーディングを作成することで、それぞれが活躍しやすいプランとなるでしょう。

プロセス3|完成と実行

プラン作成後は、実際に業務を行う現場の社員と管理職でプランの見直しを行います。

「実現可能か」「達成できそうか」を話し合うことで、課題感のズレをすり合わせることができるでしょう。

オンボーディングプランが完成したところで、実行にうつします。

プロセス4|フォローと見直し

実行後は定着するまでに時間がかかるため、新入社員に対して積極的な接触を図り、企業一丸となってフォローしていきましょう。

個人のオンボーディングが終わり次第、関わった人全てで評価を行います。そのプランに関わった人全員の意見を聞くことで、「今回の施策は妥当だったか」「どのような施策が効果的だったか」がわかるでしょう。

実際に社員の定着やエンゲージメントの向上につながっているか効果測定を行うと、数値として結果が得られます。また、改善点があった場合にはプランの見直しが必要となるでしょう。

オンボーディングのプロセスにおける5つのポイント

オンボーディングのプロセスにおける5つのポイント新たに組織へ加入した新入社員には、成長する上でいくつかの課題が生じるといわれています。オンボーディングプログラムを設計する際に気を付けるべきポイントを5つ紹介します。

  1. 事前準備を入念におこなう
  2. 人間関係の構築をサポートする
  3. 期待値をすり合わせる
  4. 学びの体制を整える
  5. アウトプット機会を作る

ポイント1|事前準備を入念におこなう

新入社員の入社初日に合わせて、受け入れ態勢を整えておくことが重要です。新入社員に入社初日から最大の学びと成長を促すためには、しっかりと受け入れ準備をして迎えましょう。

既存社員間での育成方針の共有、育成担当係の決定や指導研修などの準備、初日から仕事に必要なものがきちんと揃っている状態での受け入れなど、新入社員がパフォーマンスを発揮するまでの期間を短くするための工夫が必要です。

ポイント2|人間関係の構築をサポートする

新入社員は組織の内部についてわからないまま業務が始まるため、受け入れ側のサポートは大切になります。

運営側や指導担当者は、組織や役職に留まらず、チーム内の関係性やステークホルダー、各々の性格、傾向なども伝えていき、人間関係の構築をサポートしましょう。

組織内のメンバーがどのような役割を持っているか知ることで、困った時に誰に聞けばよいかなどもわかるようになります。その際に、ランチの機会やメンター制度を設定することも効果的です。

ポイント3|期待値をすり合わせる

組織のミッションに限らず、部署内でも人や役職によって入社の意図や業務内容、求められる成果が異なるでしょう。そのため求めているものを伝え合い、お互いの期待値をすり合わせておく必要があります。

期待値のズレを作らないよう入社前にインターン制度を設けると、入社後のギャップを減らすことができるため、早期の離職防止にもつながるでしょう。

ポイント4|学びの体制を整える

新入社員は、担当業務に必要な能力やスキルだけでなく、企業の仕組みやルール、企業文化など、学ぶべきものがさまざまあります。

OJT制度やOff-JT制度を取り入れて、ふとした疑問をすぐに聞ける環境を作るなど学ぶ体制を整えることで、社員の即戦力化や定着率への効果が期待できるでしょう。

教育担当者間での教え方にズレがないかのすり合わせや、わからないときに見返すことができるようマニュアルの提示をするなど、学ぶ環境を仕組み化して提供することも効果的です。

ポイント5|アウトプット機会を作る

新入社員自身で振り返りをして、小さな成功体験を積み重ねていくことは重要です。

しかし、できていることや改善すべきことは自分ではわからない場合があるため、個人での振り返り時間を設けつつ、指導側はフィードバックする機会を作っていきましょう。周りからのフィードバックの機会は、自分を客観視する上で効果的です。

これをループ化させることで、PDCAを速く回すこと、つまり成長スピードを上げることにつながるといえます。

オンボーディング活用のポイントについて、より詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてお読みください。

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オンボーディングに取り組む際は、対象を明確に

オンボーディングに取り組む際は、対象を明確にオンボーディングの施策を実施する場合は、対象が新卒社員なのか、中途社員なのか、新入社員全体なのかによって内容がかわってきます。

オンボーディングの効果を高めるためにも、新卒社員と中途社員に分けた施策を実施するのか等、対象を整理して取り組みを考えるとよいでしょう。

以下の記事では実際にオンボーディングを取り入れている企業の事例を、新入社員全員向け、新卒社員向け、中途社員向けに分けてご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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まとめ

オンボーディングは新入社員の定着や戦力化に対する効果が期待できますが、新卒採用者と中途採用者でそれぞれ異なるアプローチの仕方が必要です。

両者ともに共通して、自社の社風や価値観などを伝えていくことで、企業への帰属意識の向上につながるのではないでしょうか。

今回の記事を参考に、自社におけるオンボーディングの作成や見直し、新入社員を受け入れる環境整備をしてみてはいかがでしょうか。

オンボーディングを実践していきたい、とお考えの方は、以下の記事も合わせてお読みください。

【人事向け】離職防止のためのオンボーディング施策14選人事の方であれば、「オンボーディング」という単語を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。 新入社員の即戦力化と離職防止を目...
離職防止につながるオンボーディング活用ガイドブック

素早い戦力化と早期離職防止を実現できる「オンボーディング」という概念。
新入社員の育成にかかせないキーワードとして、近年よく耳にされるのではないでしょうか?

今回、オンボーディングに必要な知識を網羅的にカバーした、
オンボーディング活用ガイドブックを作成いたしました。

オンボーディングガイドブックには
以下のような内容を掲載しています。

  1. オンボーディングとは?
  2. オンボーディングが不十分な組織とは
  3. オンボーディングを成功させるための考え方
  4. オンボーディングを成功させるための具体的施策
  5. オンボーディングを支援する武器たち

新入社員の育成に、ぜひお役立てください。

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