COLUMN「東京1個分の労働力が消失している」

okabekenta_執筆
カケハシ スカイソリューションズ
ヒューマンリレーション事業部
グループマネジャー 岡部謙太


楽しみにしていたお盆休みが終わってしまいましたが、皆様もリフレッシュされましたでしょうか。夏休み感が漂う世間の空気とは裏腹に、8月は採用のお問い合わせが増え、私共にとっては大変忙しい月でもあります。今年のお問い合わせの傾向として、終わりの見えない2018年度採用の決着のさせ方と、2019年度採用での打開策立案。この両軸で悩まれている方がとても増えています。

多くの場合、「新卒一括採用」という日本独特の雇用慣行の枠組みの中でPDCAをまわし課題解決を図られています。しかしながら、ここ20数年の人口構造の変化から、新しい採用活動の枠組みをつくりあげるための工夫が、採用課題を解決するために各社に求められているように感じています。

変化を表す3つの指標です。
① 18歳人口で見ると、第二次ベビーブーム世代が18歳を迎えた1992年には205万人いました。それが2018年には117万人になると推計されており、実に43%落ち込んでいます。
② 一方で大学進学率は25%→50%超と推移しているため、大学生数は約50万人→約60万人と逆に増えています。大学生の質が下がったとよく聞きますが、数字的にも納得できます。
③ 18歳人口の減少が積み重なるということは、生産年齢人口にあたる15歳~64歳も減るということであり、1995年の8500万人をピークに、2015年時点で1000万人減の7700万人。東京まるまる1個分消失しています。この落ち幅は今後より加速していくと推計されています。

これら労働力の消失、学生の質の低下等のあおりは、知名度やブランド力のある大手企業ではなく、中堅・中小企業から受けます。そのため、中堅・中小企業こそ採用活動の在り方とそれに合わせた受け入れの工夫を進め、優秀な人材への門戸を広げていく必要があります。

そもそも日本の新卒一括採用は世界的に見ると特殊です。日本では入社後の育成を前提に実務スキルよりも、周囲との円滑な関係性を構築するためのコミュニケーションや人間性を重視します。そのため、必然的に「日本人」を対象とした活動になっています。それに対して海外の採用は、新卒といえども専門性や経験を求めます。成果をあげる人材を国籍を問わず集めるというのが一般的なスタンスです。

急速に国内の人口が縮小し、世界の人口は拡大をする中で、私たちの採用活動も、求職者に求める成果を明確にしたうえで、国内の大学だけでなく国外の大学も視野に入れて採用戦略を描き、人材をハントする。人材を迎え入れるために自社の体制や風土を変化させる。このような考え方の転換が、自社へ優秀な人材を呼び込むうえで重要になっています。

実際カケハシでも、韓国まで行って採用したエンジニアが、社内の業務効率改善を推進してくれています。他にも、日本の就職活動の流れには乗ってこない、北京大学や清華大学に留学中の優秀な男子学生と出会えるなど、出会いと入社後の成果の両面で結果が出ています。

最後に、近年、採用の現場から経営トップが離れる会社が増えています。しかしながら、大胆な採用戦略の転換案は現場からはなかなか出ないものです。また受け入れにあたっても「うちはこうだから」など、変化への強い抵抗がつきまといます。このような採用戦略の転換点にあっては改めて経営トップが陣頭にたって指針を示し、自らの言葉で取り組む意義を語り、社内を巻き込んでいくことが私は大切だと思います。現在の採用市況、とても難しくなっています。


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