中途採用の成功には、自社に合った採用手法の選定が欠かせません。
求人広告や人材紹介だけでなく、SNS・オウンドメディア・イベントなど、採用手法は年々多様化しています。
本記事では、代表的な13の中途採用手法を比較し、それぞれのメリット・デメリット、最新トレンドをわかりやすく解説します。
目次
自社に合った採用手法の選び方
中途採用の手法は年々多様化しており、求人広告や人材紹介といった従来型の方法だけでなく、SNSやイベントを活用した採用なども広がっています。
しかし、手法が増えるほど「どれを選ぶべきか」という判断は難しくなります。
まずは、自社が求める人材像・採用の緊急度・採用予算を明確にしましょう。
専門スキルを持つ人材を短期間で採用したい場合は、ヘッドハンティングや人材紹介が有効です。
一方で、採用ブランディングを高めながら長期的に採用を続けたい場合は、オウンドメディアやSNSの活用が向いています。
また、採用の「目的」と「対象層」が明確になると、手法ごとのコストや効果の違いが見えやすくなります。
複数の採用チャネルを比較し、まずは採用チャネルの特徴を比較し、自社に合った方法を見極めましょう。
採用手法の比較ポイント
採用手法を比較する際には、以下の観点を押さえることが重要です。
- 採用難易度:専門性が高い職種ほど、スカウトや紹介など「攻めの採用」が必要
- コスト:人材紹介は成功報酬制のため高コスト。求人広告やSNS採用など広報型採用は比較的低コスト。
- 工数:ダイレクトリクルーティングやリファラルは候補者対応に時間がかかる。
- 緊急度:即戦力をすぐに採用したい場合は人材紹介。将来を見据えるなら自社サイト・SNS。
- 対象層:若手・未経験なら求人広告、中堅層ならスカウト、高度専門職はヘッドハンティングが有効。
さらに、採用の目的や採用人数によっても効果的な手法は変わります。
たとえば、採用スピードを重視する場合は、費用がかかっても人材紹介を選ぶほうが効率的です。
一方で、長期的に人材プールを形成したい場合は、自社の採用サイトやSNSを中心に運用することで、ブランディング効果も期待できます。
複数の手法を組み合わせ、データを蓄積・分析しながら最適化を図ることが、安定的な採用成功につながります。
【中途採用方法13選】特徴とメリット・デメリット
代表的な中途採用手法を13種類紹介します。
それぞれの特徴・メリット・デメリット・費用を把握し、自社の目的や状況に合わせて選択しましょう。
- ヘッドハンティングの利用
- 人材紹介の利用
- 人材派遣の利用
- 求人広告への掲載(web媒体)
- 求人広告への掲載(紙媒体)
- 転職イベント(転職フェア)への出展
- 自社サイトなどオウンドメディアの活用
- ソーシャルリクルーティング
- ハローワークの利用
- リファラル採用(知人紹介)
- アルムナイ採用
- ダイレクトリクルーティング
- ミートアップ
1.ヘッドハンティングの利用
ヘッドハンティングとは、企業の求める人材に外部からアプローチして引き抜くことで採用する方法です。
ヘッドハンティングの対象者は求職者に限定されません。
ヘッドハンティングのサービスを提供する会社は、自社の独自のデータベースや人脈を活用して、転職活動の有無に関わらず企業の求めるスキル・経験に合致する優秀な人材にアプローチします。
メリット
- 転職活動をしていない人材にもアプローチできる
- ピンポイントで優秀な人材を見つけてきてくれるため、採用業務の負担が軽減される
デメリット
- 費用相場が1人あたり800万~1,500万と他の採用方法より圧倒的に高い
- 採用できなかった場合でもリサーチ料として着手金を支払う必要がある
費用
- 成功報酬型
- ただし、ヘッドハンターの活動次第では随時経費が発生する場合もある
2.人材紹介の利用
人材紹介とは、人材紹介会社が保有する求職者のデータベースの中から、企業の求めるスキル・経験に合致する人材をピックアップし紹介するサービスです。
事前に人材紹介会社が企業と応募者のマッチングをおこない応募者を絞り込むため、企業は効率的に採用活動をおこなうことができます。
メリット
- 成功報酬型なので初期費用がかからず、採用できなかった場合には費用が発生しない
- 求職者と企業のマッチングをおこなった上で紹介するため、採用業務の負担が軽減される
デメリット
- 費用相場が採用した人材の年収の30~35%と比較的高め
- 条件に見合う人材が少ない場合、あまり人材を紹介されない可能性もある
費用
- 成功報酬型
- 採用した人材の想定年収の30%~35%程度を手数料として支払う
3.人材派遣の利用
人材派遣とは、人材派遣会社が雇用している人材を借りて業務を依頼することのできるサービスです。費用は業務内容と勤務時間に応じて時給を支払うことになります。
派遣社員の種類には「一般派遣」「特定派遣」「紹介予定派遣」の3つがあります。
「一般派遣」や「特定派遣」の雇用主は人材派遣会社ですが、「紹介予定派遣」については最長6ヶ月の派遣期間終了後、双方の同意があれば企業が直接雇用することを前提とした派遣社員を指します。
人材派遣の場合、企業側は派遣社員を選ぶことはできないのが一般的です。
しかし「紹介予定派遣」だけは企業が直接雇用することを前提としているため、事前に面談をおこなうことができます。
メリット
- 人員調整がしやすく、必要なときに必要な分だけ業務を依頼できる
- 教育研修に労力がかからない
デメリット
- 紹介予定派遣以外は派遣される人材を選べない
- 自社の社員ではないため、帰属意識が薄い場合が多い
費用
- 人材への賃金(時給×労働時間)+マージンを毎月派遣会社に派遣料金として支払う
- マージン率の平均は20~30%程度
4.求人広告への掲載(web媒体)
インターネット上の転職・求人サイトに求人情報を掲載する方法です。
web媒体は情報量が多く、24時間いつでも求人情報を検索・閲覧・応募することができ、近年転職の手段としてもっとも活用されています。
メリット
- 掲載する媒体やプランにもよるが、写真などを含め多くの情報を伝えられる
- 何名採用しても費用が変わらない
デメリット
- 掲載時に費用が発生するため、採用できなくても費用がかかる
- 求人情報を載せている企業が多く、埋もれてしまう可能性がある
求人広告を掲載するには広告を運営する会社(直販)に掲載を依頼する方法と、代理店に掲載を依頼する方法があります。
費用
- 掲載課金型(掲載前に料金が発生。何人採用しても同料金)
- 成果課金型(掲載は無料、「応募がきた」もしくは「採用できた」段階で料金が発生。人数が増えるごとに費用の支払いが必要)
5.求人広告への掲載(紙媒体)
新聞や求人情報誌などといった紙媒体に求人情報を掲載する方法です。どの媒体を選ぶか、掲載する枠の大きさをどうするかによって費用は大きく変わります。
地域を限定して配布している媒体もあります。
また、企業を認知していない場合でも偶然目にとまる可能性があることも紙媒体の特徴といえます。
メリット
- 地域を限定して配布していることが多く、ターゲットを絞ってアプローチできる
- 何名採用しても費用が変わらない
デメリット
- 掲載時に費用が発生するため、採用できなくても費用がかかる
- 掲載する枠の大きさによっては情報量が少なくなる
費用
- 掲載課金型(掲載前に料金が発生。2万円~50万円/月)
- 配布部数や掲載枠の大きさによって費用が異なる
6.転職イベント(転職フェア)への出展
転職イベント(転職フェア)とは、転職サイトを運営する人材紹介会社が主催する中途採用を目的とした合同説明会です。
イベントの規模にもよりますが、一日に数十名~数百名の求職者と会うことができます。
メリット
- 一日で数十名から数百名の求職者にアプローチできる
- 企業の魅力や社員の雰囲気を直接伝えることができる
- 自社を認知していなかった求職者に対してもアプローチできる
デメリット
- 準備や当日の運営にマンパワーがかかる
- イベントでは自社の条件に合わない求職者についても対応する必要がある
- 出展することで費用が発生するため、採用できなかった場合にも費用がかかる
費用
- 平均50~150万円程度
- フェアの規模や出展日数、ブースの大きさなどによって費用が異なる
7.自社サイトなどオウンドメディアの活用
自社サイトを中心に、採用ページやブログ、SNSアカウントなどを活用して求職者へ情報を発信する手法です。
採用広報やブランディングの一環として、自社の文化・風土・社員の声を「ストーリー」として伝えることで、応募前から企業理解を深めてもらうことができます。
特に、X(旧Twitter)やInstagram、noteなどを使った情報発信は、求職者の共感を得やすく、若手層への認知拡大にも効果的です。
SNS上での直接スカウトではなく、あくまで“情報発信型の採用手法”として活用する点がポイントです。
メリット
- 低コストで長期的に情報発信ができ、企業の採用ブランドを高められる
- 採用ブログや社員インタビューを継続的に発信することで、自社に共感した層を自然に惹きつけられる
- SNS広告を組み合わせることで、潜在層へのリーチも広げやすくなる
デメリット
- 継続的な更新が必要で、社内の協力体制や運用リソースを確保しなければ効果が出にくい
- 情報発信の目的が曖昧だとブランドイメージを損なう可能性もあるため、トーンや発信内容の一貫性が求められる
費用
- SNSやブログは無料で始められる
- 採用サイト制作には数十万円〜100万円前後のコストがかかる
- 写真・動画の撮影や記事制作を外注する場合は、月5〜10万円程度が目安
- SNS広告を出稿する場合は、1クリック数十円〜数百円の範囲で設定可能
8.ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとはFacebookやTwitter、InstagramといったSNSを活用した採用方法です。
企業はSNSを通じて求職者の情報収集をおこなうことができます。
また企業が発信した求人情報に対する求職者から質問に答えることで相互理解を深めつつ採用活動をおこなうことができます。
メリット
- 無料で運用できるので、採用コストがかからない
- 相互理解を深めることができるので採用のミスマッチがおこりにくい
デメリット
- 情報発信や求職者とのやりとりをこまめにおこなう必要があり、手間がかかる
- 求職者が意図的に投稿を削除することもあり、SNSに載っている情報がすべて事実とは限らない
費用
- 無料
- ただし、SNSサービス利用料がかかる場合もある
9.ハローワークの利用
ハローワークとは公共職業安定所の通称で、求職者に対して無料で職業紹介をおこなっています。
企業がハローワークに求人票を提出し受理されると、ハローワーク内の求人検索端末に求人情報を公開することができます。全国544カ所に窓口が設置されており、求職者は無料で職業相談をすることができます。
メリット
- 利用料が無料のため、採用コストがかからない
- 国が設置する行政機関であるため、企業が助成金・補助金をうけとることができる場合がある
デメリット
- 求人票に記載する項目が多い上に手書きであるなど、手続きに手間がかかる
- 求人票のフォーマットが決まっているため、他企業と差別化しにくい
費用
- 無料
10.リファラル採用(知人紹介)
リファラル採用とは自社の社員から紹介を受けた人材を選考・採用する方法です。アメリカでは一般的な採用方法で、近年日本でも注目されています。
メリット
- 採用コストがかからない
- 会社をよく知る社員からの紹介であるため、会社とのマッチング精度が高い
デメリット
- 社員の知人であることから、不採用とする場合に気を遣う必要がある
- 採用後紹介した側が退職した際、紹介された側のモチベーションが低下する可能性がある
費用
- 無料
- 紹介してくれた社員にインセンティブを支払う企業もある
11.アルムナイ採用
アルムナイ採用とは、過去に自社で働いていた人材を再雇用する採用手法です。
別名「カムバック制度」「出戻り制度」とも呼ばれています。
企業から直接声をかけるほか、候補者から応募がくるケースも多く、採用コストがかからないのが特徴。
自社での勤務経験があることから、ミスマッチが起こりにくく入社後の教育コストの削減や即戦力としての活躍が期待できます。
一方で、応募者だけでなく、制度導入に際しては既存社員からの理解を得る必要があります。
アルムナイ採用への理解を得るためには、アルムナイ採用の選考基準を明確にして公正・透明な採用を心がけましょう。
メリット
- 元社員のため自社理解が深く、即戦力につながるほか、早期離職防止が期待できる
- 他社で得た知見やスキルを自社に還元してくれる可能性がある
デメリット
- 賃金などの待遇設定について、制度の見直しが必要。既存社員にも配慮が求められる
- 募集しているポジションと応募者のポジションがマッチするとは限らない
費用
- 無料
12.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業がSNSや人脈、外部サービスなどを活用して能動的に求職者に直接アプローチする攻めの採用手法です。
ヘッドハンティングやリファラル採用、ソーシャルリクルーティングなどもダイレクトリクルーティングに含まれます。
ここでは、ダイレクトリクルーティングができる専門サイトについて特徴をご紹介します。
企業は、求職者が登録したプロフィール情報を元に「ほしい人材」にスカウトメールでアプローチし、採用につなげる仕組みです。
メリット
- 自社が求める人材に直接アプローチができる
- スクリーニングが不要のため、応募から採用までの期間が短い
デメリット
- 読んでもらうために、スカウトメールのタイトルや内容を工夫するノウハウが必要
- 求人情報やスカウトメールの作成、スカウトする人材の選定など、業務の負担が増大する
費用
- 成果課金型が一般的
- ほかの採用手法より比較的安価
13.ミートアップ
ミートアップとは、カジュアルな交流イベントを通じて求職者と直接対話する採用手法です。
会社説明会よりもリラックスした雰囲気で、企業の文化や働き方を伝えることができます。
IT業界やスタートアップを中心に導入が進んでおり、採用ブランディングの一環としても注目されています。
メリット
- 企業と候補者がフラットに会話できるため、ミスマッチの防止につながる
- SNSを活用して集客すれば、参加者層を絞った効果的な採用も可能
デメリット
- 企画・運営に手間がかかるほか、集客が安定しないリスクがある
- 参加者数が限られるため、母集団形成というより「質重視」の採用向け
費用
- 社内開催なら数万円〜、外部会場を利用する場合は10〜30万円程度が目安
中途採用手法のトレンド
近年の中途採用市場は「売り手市場」が続き、企業間の人材獲得競争が激化しています。
特にIT・医療・建設などの専門職では慢性的な人材不足が顕著で、即戦力人材の確保が難しい状況です。
そのため、求人広告や人材紹介だけでなく、ダイレクトリクルーティングやSNS、ミートアップなど多様な手法を組み合わせる企業が増えています。
一方で、採用難の長期化を受け、未経験者の採用へシフトする企業も増加しています。
ポテンシャル重視で採用をおこない、入社後の研修やOJTを通じて育成するスタイルが一般化しています。
この流れは、採用・育成・定着を一体で設計する人材戦略の重要性を示しています。
今後は、AIによるスカウト自動化やオンライン選考など、採用DXがさらに進むと考えられます。
採用担当者は「即戦力」と「育成枠」のバランスを意識し、柔軟な採用設計をおこなうことが求められます。
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