今、新卒採用において、採用ブランディングの重要性が一層高まっています。
就活生は企業を選ぶ際に、“口コミサイト・SNS・社員のリアルな声”を重視しており、企業の一方的な情報発信だけでは信頼を得にくくなっています。
「新卒採用における採用サイト利用実態調査(2024年12月)」によると、就活生1,842名のうち約7割が、採用サイトに加えて口コミサイトやSNS、動画など複数の情報源を組み合わせて企業研究を行っていることが分かりました。
少子化による人材獲得競争の激化や、Z世代の価値観の変化(給与や待遇だけでなく「働きがい」「企業文化」「社風」を重視)も、この傾向を後押ししています。
とはいえ、企業側としては、口コミの内容が必ずしも実態を正確に反映していないと感じる場面も少なくありません。
そこで注目されているのが、企業の価値観や文化、働く魅力を戦略的に伝える「採用ブランディング」です。
目次
採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、企業が「そこで働くことで得られる価値」を候補者に明示し、自社を魅力的にブランド化する取り組みのことです。
こうした取り組みによって、企業が“どんな価値を提供できるのか”を伝えることが目的となります。
しかしながら、ブランドは企業側が一方的に発信できるものではありません。企業が提供する価値に対して、そこで働く社員はもちろん、第三者までもが「確かにそうだ」と認めてこそ、ブランドは形づくられます。
たとえば「女性が活躍する会社」というブランディングを掲げたとしても、実際に女性が活躍しており、さらに第三者から見ても「確かにそうだ」と感じられてはじめて、ブランドとして機能します。
このように、自他ともに認められる「その企業で働く価値」こそが、採用ブランドと呼ばれるものです。
そもそもブランディングとは?
ブランディングとは 、自社のブランド(=商品やサービス)に対する顧客のイメージや共感性、信頼性を高めて競合他社との差別化を目指す戦略を指します。
また、ビジネスにおけるブランドとは 、商品・サービスの名前・シンボル・デザイン・ロゴなど「目に見えるもの」と、商品・サービスに対する企業のこだわりや価値、顧客との信頼関係など「目に見えないもの」を組み合わせた総称です。
通常、自社の商品・サービスを選んでもらうために、顧客に向けて周知するのがブランディングです。
これを採用の領域に取り入れ、就職・転職希望者に向けて自社をブランド化することを採用ブランディングと呼んでいます。
採用ブランディングと採用広報・採用マーケティングとの違いは?
採用ブランディングと混同しやすい取り組みに、「採用広報」と「採用マーケティング」があります。
これらの違いについてそれぞれ解説します。
採用広報との違い
採用広報とは、求める人材からの応募を促すべく自社の魅力や価値を伝える、採用における広報活動のことです。
企業の認知度やイメージの向上を目的に、メディアリリースやSNS発信、イベント開催などをおこないます。
採用ブランディングと異なる点は、採用広報には「自社のブランド化」が含まれていない点です。
採用広報にプラスして「自社のブランド化」までを包括的におこなう取り組みが採用ブランディングです。
採用マーケティングとの違い
採用マーケティングとは、ターゲットである就職・転職希望者や転職潜在層に自社の魅力や価値を理解してもらう取り組みのことです。
マーケティングの視点を採用活動に応用しているのが特徴です。
採用マーケティングと採用ブランディングは、ターゲット層に違いがあります。
採用マーケティングでは、ペルソナを設定して特定した求職者に向けてアプローチするのに対し、採用ブランディングは、より幅広い層をターゲットとしています。
その中には求職者だけでなく、一般の人や未来の候補者も含まれる点が大きく異なります。
採用ブランディングが注目されている背景
採用ブランディングが注目されている主な要因として以下の3つが挙げられます。
- 労働人口の減少による人手不足
- 価値観の多様化
- SNSの普及
労働人口の減少により、企業の人手不足が深刻化しています。
有効求人倍率の上昇、離職や転職による人材の流動性の高まりなどにより、優秀な人材の採用・定着に課題を抱えている企業も少なくありません。
また、働き方に対する価値観の多様化も大きな要因の一つです。
一昔前までは、企業選びにおいて高収入や福利厚生が手厚いなど外発的動機が重視されていましたが、近年の若手層の人たちは仕事に対して「やりがい」「貢献」「成長」など内発的動機を重視する傾向にあります。
そのため企業は、優秀な人材を獲得するには待遇面だけでなく、自社の強みや魅力をブランディングしてアピールしていく必要があるのです。
SNSが普及したことで、企業は手軽に情報発信がおこなえるようになったのと同様に、求職者にとっても情報収集が容易になりました。
数多ある企業の中から一人でも多くの求職者に自社を選んでもらうためには、採用ターゲットを絞った適切な情報発信が求められます。
このような状況下において、自社が求める優秀な人材を効率的に採用する手段の一つとして、採用ブランディングの重要性が高まっているのです。
採用ブランディングをおこなう目的
採用ブランディングの目的は、単に応募者を増やすことではありません。
自社の価値を明確にし、共感を軸に「自社に合った人材」と出会い、長期的に採用しやすい状態をつくることにあります。
以下では、採用ブランディングを行う4つの目的と、それによって得られる効果を紹介します。
(1)自社の魅力を明確にし、共感を得る
企業が「どんな価値を提供できるのか」「どんな人が活躍しているのか」を明確に発信することで、候補者は自社への理解を深め、共感をもとに応募してくれるようになります。
その結果、応募の質が高まり、入社後のミスマッチが減少。定着率が向上し、共感を軸にした採用活動が実現します。
自社の魅力を正しく伝えることは、採用ブランディングの最初の一歩です。
(2)採用活動の効率化とコスト削減を実現する
採用ターゲットが明確になることで、アプローチすべき層が絞られ、広告出稿やスカウト送信にかかるムダな工数や費用を抑えることができます。
また、求める人物像に共感した応募者が集まることで、選考のスピードや質も向上。結果として、採用単価を下げながらも成果を上げる「効率的な採用活動」が可能になります。
これは、限られたリソースでも成果を最大化するための重要な目的です。
(3)ブランド価値を高め、選ばれる企業になる
「社員がどのように働き、どんな価値を社会に届けているのか」というメッセージを一貫して発信することで、企業の信頼性やブランドイメージが向上します。
この取り組みにより、候補者から「この会社で働きたい」と思われる機会が増え、内定承諾率が上がります。
さらに、社員が自社に誇りを持ち、エンゲージメントが高まることで、社内の一体感も強化されます。
採用ブランディングは、採用を超えて企業全体のブランド価値を高める活動なのです。
(4)長期的な採用力・組織力の土台を築く
採用ブランディングは、一時的な施策ではなく、企業成長の基盤を築くための長期的な取り組みです。
ブランドが社内外に浸透することで、採用・育成・定着が連動し、継続的に「採用しやすい状態」を維持できるようになります。
また、採用を成長戦略の一部として位置づけることで、採用活動そのものが組織の成長サイクルを支える仕組みへと進化します。
採用ブランディングの目的の到達点は、企業全体の持続的な発展を支える“採用文化”をつくることにあります。
採用ブランディングをおこなうメリット
採用ブランディングで得られる効果は、応募増だけにとどまりません。
「共感する候補者」が集まり、プロセスの効率が上がり、入社後の活躍・定着、そして組織全体の推進力強化へと波及します。
ここでは、成果→効率→質→組織の順に、主な4つのメリットを紹介します。
- 応募者数の増加と内定承諾率の向上
- 採用コストの削減
- ミスマッチ削減と定着率の向上
- 組織力の強化につながる
応募者数の増加と内定承諾率の向上
どんな人に何を訴求するかを言語化し、一貫したメッセージで発信することで、共感層からの応募が増えます。
候補者は入社後の働き方を具体的に描けるようになり、内定後の不安が減少。結果として承諾率が上がり、短期・中期の成果を同時に押し上げます。
さらに、採用ブランドを通して自社の姿勢や理念が浸透すると、「この会社に合う人・合わない人」の選別が自然に起こり、結果として選考効率も改善。
“数を集める”ではなく“合う人に届く”状態をつくることがポイントです。
採用コストの削減
ブランドが確立すると、求人媒体や人材紹介への依存度が下がり、オーガニック流入やリファラル比率が上昇します。
無駄な選考を減らすことで面接・連絡の工数も圧縮され、採用単価の低下や採用期間の短縮につながります。
また、候補者とのコミュニケーションが体系化されることで、担当者の業務負担が軽減し、運用面の生産性も向上します。
「発信すれば自然と人が集まる」仕組みによって、継続的にコストパフォーマンスを高められます。
ミスマッチ削減と定着率の向上
候補者は入社前から価値観や評価軸を理解し、企業側も“求める人物像”とのズレを見極めやすくなります。
相互理解の深化により、入社後のギャップが減り、早期離職の抑制とエンゲージメントの向上を同時に実現します。
さらに、採用段階でブランドが明確であるほど、入社後の教育・育成フェーズでも軸がぶれず、社員のキャリア形成を支援しやすくなります。
「入社してから違った」と感じさせない仕組みづくりが、定着率向上の鍵です。
組織力の強化につながる
採用で言語化されたメッセージは、社員の誇りや行動指針として社内に浸透します。
「なぜここで働くのか」が共有されることでオンボーディングや育成がスムーズになり、採用・育成・定着の好循環が生まれます。
また、採用ブランディングの活動を通じて社員が外部に発信する機会が増えると、企業文化が明確化され、社外評価も高まります。
結果として、部門連携や外部発信の質が高まり、組織全体の推進力が強化されます。
採用ブランディングをおこなうデメリット
採用ブランディングの実施にあたり注意する点はあるのでしょうか。想定されるデメリットについて以下でご紹介します。
- 全社一体となって取り組む必要がある
- 長期的な運用が求められる
全社一体となって取り組む必要がある
採用ブランディングは、全社が一体となって取り組まなければ効果は期待できません。
自社の経営理念や価値観など外部に発信する内容と企業の実情に齟齬があると、「自社にマッチした人材の採用」という本来の目的を達成できない可能性があります。
また、それらは人事部だけでおこなえる作業ではないため、経営層や現場の社員を巻き込んで取り組み、誰もが納得・共感できる内容にしなければなりません。
採用ブランディングの効果を最大限発揮するためにも、全社一体となって取り組み、認識を一致させることが重要です。
長期的な運用が求められる
採用ブランディングでは、長期的な運用が求められます。継続して情報発信をおこなうことで企業ブランドのイメージが広まり定着していきます。
短期的には効果が得られにくいため、成果を実感できるようになるには年単位での運用が必要です。
また、企業イメージに直結することから、人事担当者がほかの業務と兼任するよりは採用ブランディング専任で担当者を設けるのが理想的です。
企業のコーポレートサイトやオウンドメディア、各種SNSを駆使して、リアルタイムかつ継続的に情報を発信していきましょう。
採用ブランディングの進め方
ここでは、採用ブランディングの実際の進め方を5つのステップに分けて解説します。
自社で取り入れる際の参考にしてください。
- 自社・競合他社の分析
- 採用ターゲットのペルソナを設計する
- 採用コンセプトを定める
- 施策を提案・実行する
- 効果検証・改善
(1)自社・競合他社の分析
まず始めに、自社の分析をおこないます。
自社の魅力や強み、経営理念、価値観などを再確認しましょう。
その上で、採用市場や業界における自社の現状や競合他社との比較により、課題を洗い出します。
自社の強みを理解し、競合と差別化を図ることが、採用ブランディングを成功させるための第一歩となります。
この自社・競合他社の分析には、「3C分析」を活用するとよいでしょう。
3C分析では、「自社(Company)」・「競合他社(Competitor)」・「求職者(Customer)」という3つの枠組みをもとに内容を整理していきます。
自社と競合他社の強みや課題、採用活動における内容などを可視化することで、他社にはない自社の強みや自社に不足しているものなどが自ずと見えてくるでしょう。
もし、自社の強みが見つからなくても、そのことを認識できたことが大事な一歩となります。
また、求職者のニーズや属性、職場選びの傾向なども詳しく調べることがポイントです。
実態に即した分析ができるかどうかで、採用ブランディングの明暗が分かれると言っても過言ではありません。
視野を広げるためにも、客観的な視点で分析をおこないましょう。
(2)採用ターゲットのペルソナを設計する
つぎに、採用ターゲットのペルソナを設計します。
採用におけるペルソナとは、「30代・エンジニア・首都圏在住」といったターゲット属性に加え、「趣味・嗜好・性格・スキルセット・価値観」など詳細まで設計した人材像のことです。
より具体的にイメージできるペルソナをつくり社内で共有することで、認識を統一できるため一貫性のある採用活動がおこなえます。
これにより、自社が求める人材へのアプローチ方法や伝えるべきメッセージの最適化につながり、効果的な採用戦略の立案に役立ちます。
採用ターゲットやペルソナは、以下の観点から考えるとよいでしょう。
- 人材要件を「MUST(必須)」「WANT(望ましい)」「NEGATIVE(望ましくない)」の3つに分類して洗い出す
- 経営戦略・人事戦略から逆算して人物像を決める
- 社内で活躍している人材を参考にする
- 経営者や現場の社員に、「どのような人物を求めているのか」ヒアリングする
- 競合他社にはない自社の強みが刺さる人物像にする
どれか一つの方法で設計するのではなく、それぞれの観点から多角的に考えるのが理想と言えます。
(3)採用コンセプトを定める
ペルソナを決めたら、つぎは採用コンセプトを決定します。
採用コンセプトは、採用活動における軸となる重要な要素です。
設定したコンセプトをもとに採用活動の方向性を決定するため、ここがブレてしまうと採用活動全体の一貫性が失われてしまい、効果的な活動がおこなえません。
採用ターゲットに的確にアプローチするためにも、慎重に定める必要があります。
採用コンセプトは、採用活動の方針をキャッチコピーやスローガンで表します。
自社の経営理念やミッション・ビジョン・バリュー(MVV)に立ち返った上で、採用ペルソナに刺さる明確なメッセージが求められます。
候補者に自社の魅力を伝えるためにはどのような言葉が最適か、人事担当者だけでなく経営陣や現場社員のアイデアを出し合って策定しましょう。
決定した採用コンセプトは、採用活動に関わるメンバー全員で共有し、共通認識を持って取り組むことが大切です。
ここで決めた採用コンセプトが、情報発信の方法・媒体・内容の決定や候補者体験の設計などさまざまな取り組みの指針となります。
また、近年では社員が応募者を紹介するリファラル採用の導入も進んでいます。
社員一人ひとりが「自社を宣伝してくれるアンバサダー」だと捉え、社員全体に対して採用コンセプトの周知をし、人材獲得の機会創出に努めましょう。
(4)施策を提案・実行する
採用コンセプトをもとに、効果的な採用ブランディングの施策を提案・実行します。
施策においては、自社の魅力を伝えるための具体的なアクションプランの提示が求められます。
まずは、候補者となるターゲット層に的確にアプローチするために、以下のようなコミュニケーションツールの作成や見直しをおこないましょう。
- SNS
- 自社の採用サイト
- オウンドメディア
- 会社説明会、採用説明会
- インターンシップ
- 外部の就活情報サイト
- 採用動画、パンフレット、説明会スライド
- 各種イベント など
これらツールの作成は、自社の経営理念や社風、働き方といったイメージを魅力的に伝えるのに有効な手段となります。
経営者や社員のインタビュー、事業内容、職場環境などをリアルに伝えましょう。
この際、前項で設定した採用コンセプトに沿った内容とデザインであることが重要です。
企業が伝えたい情報だけでなく、ターゲットとなる候補者が求める情報を意識した内容を取り入れましょう。
採用コンセプトのテーマがブレることなく一貫性のあるメッセージを伝えることで、候補者からの理解と共感が得られるよい施策となります。
(5)効果検証・改善
採用ブランディングは、常にPDCAサイクルを回してブラッシュアップする必要があります。
その年度の採用選考を終えた段階で、施策の効果検証をおこない、具体的な改善策を検討しましょう。
通年採用の場合は、数ヵ月や半年など定期的に検証を実施してサイクルを回します。
課題を洗い出す際は、採用活動全体の課題に加え、候補者とのコミュニケーションにも着目します。
採用ブランディングでは、コミュニケーションツールにおける候補者からの反応(データ)をもとに改善点を検討するのがポイントです。
採用サイトやSNSなどのアクセス解析や説明会でのアンケート結果など、さまざまなデータから課題を洗い出し、具体的な改善点を提示し実行していきましょう。
採用活動は、社会情勢や市場、候補者など外的要因によって都度変化していきます。
そのため、採用ブランディングは構築したら終わりではなく、定期的に効果検証・改善を繰り返して育てていくことが不可欠です。
採用ブランディングのポイント
採用ブランディングのポイントについて確認していきましょう。
- 自社の魅力を把握する
- 自社の姿勢やリアルな働き方を発信する
- 企業規模別・予算別の取り組み方
自社の魅力を把握する
先にお伝えしたように採用ブランドは社員が感じていることであり、第三者も認めるものになります。
そのため、まず取り組むべきは既存社員が感じている自社の魅力を把握することです。
さらには、他社ではなく自社で働き続ける理由を把握してください。
そこからブランドの輪郭が見えてきます。
例えば、価値観がフィットしていたり、仕事が好きだったり、働く仲間が好きだったり、利用しやすい制度があったり。
様々な理由があるはずなので、より具体的に深堀りしてみてください。
他にも、辞めようと思った社員が踏みとどまった理由や、転職者が自社を選んだ理由の中には、自社だけではわからない特長が潜んでいることもあります。
自社の姿勢やリアルな働き方を発信する
社員にヒアリングしても自社の採用ブランドが見えてこない場合は、自社の姿勢や働き方などを積極的に発信していくことも効果的な方法の一つです。
匿名の口コミサイトではなく、企業側がリアルな働き方をしっかりと伝えるのがポイントです。
自社の考え方や実際の仕事場面、トレードオフに直面した際に何を優先するのか、そしてどのような人と働きたいのかといった自社の価値観を発信していきます。
WebやSNSを通じて発信すれば、それがオウンドメディアとなり、共感して入社してくる人が増え、少しずつブランドの輪郭が見えてくるはずです。
重要なのは、発信する情報の軸がブレないことです。
一貫性のある情報発信により、企業のブランド力を高められます。
企業規模別・予算別の取り組み方
採用ブランディングは、大規模な予算を投じなくても段階的に進めることができます。重要なのは、自社の規模やリソースに合わせて「今できること」から着実に始めることです。
予算10万円以下の場合は、まずは社員インタビューや社内イベントの様子をSNSや採用サイトで発信するなど、“リアルな情報発信”から着手すると良いでしょう。スマートフォン撮影でも十分に伝わる温度感があり、候補者の共感を得やすい取り組みです。
予算50万円程度であれば、採用サイトの一部リニューアルや動画コンテンツの制作など、情報の見せ方に磨きをかける段階に進めます。採用メッセージや社員紹介のストーリー設計を行うことで、自社らしさをより明確に伝えることができます。
予算100万円以上を確保できる場合は、ブランド設計から発信戦略までを体系的に見直すタイミングです。調査・分析をもとにEVP(従業員価値提案)を整理し、採用サイト、パンフレット、動画、SNSなど複数チャネルで一貫したメッセージを打ち出すことが可能になります。
また、内製と外注の判断基準としては、「戦略設計やメッセージ開発」に関わる部分は専門家の知見を活かしつつ、「情報発信や更新運用」は社内で継続的におこなうハイブリッド型がおすすめです。
特に少人数・低予算の企業でも、誠実な発信を続けること自体がブランドになる点を忘れてはいけません。
採用ブランディングは、規模の大小に関わらず“積み重ね”によって信頼を築く活動なのです。
採用ブランディングに有効なメディア・チャネルは?発信方法について
採用ブランディングを効果的に発信するにはどのような方法が有効なのでしょうか?ここでは発信方法を確認しましょう。
採用HP
もっとも手軽な情報発信ツールは、採用HPです。
ここになるべくたくさんのリアルな声を盛り込んでいく。
企業にとってネガティブだと感じる部分についても、しっかりと開示していきます。
具体的には下記のようなポイントです。
- どんな人と、どんな風に仕事が進むのか
- どこにやりがいを感じる人が多いのか
- 評価されるポイントや成果を出すためのポイント
- どんな風にステップアップしてもらいたいのか
- フィットしづらい人や退職者の退職理由
とはいえ発信したくないこともあると思います。
しかし、忘れてはいけないのが口コミサイトの存在。
企業側が隠したいと思ったことも誰かが口コミサイトに投稿すると、徐々に誰もが知ることになります。
出しにくい部分は、是正していきながら自社の色を発信していくとよいでしょう。
SNS
Facebook・X(旧Twitter)・Instagram・TikTok・LinkedInといったSNSも、採用ブランディングの発信手段の一つです。
特にX(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどは多くの20代が利用しており、新卒採用や若年層の採用に有効な媒体と言えます。
SNSは、リアルタイム性が高く、企業の情報をタイムリーに発信でき、拡散性にも優れているのが大きなメリットです。
実際に、Instagramのライブ配信機能(インスタライブ)で会社説明会などのイベントをおこなう企業も出てきています。
また、SNSではコメント欄やアンケート機能を活用して、候補者とのやり取りができるのも魅力です。
企業から候補者への一方向の情報発信に留まらず、双方向の「インタラクティブ」なコミュニケーションがおこなえます。
投稿別に数値を分析できるため、どのような内容の投稿が候補者からの反応が多かったのか がわかることで、今後の投稿内容の参考にもできます。
動画コンテンツ
採用ブランディングの発信に、動画コンテンツを用いるのも有効です。
YouTubeなどの動画共有プラットフォームを活用すれば、簡単に広く発信できます。
動画は静止画や文章の何倍もの情報量を有しており、短時間でも伝えたいメッセージを的確に伝えて理解を深められるメリットがあります。
また、視覚的演出やBGMなどにより見る人の印象に残りやすいのも特徴です。
社員インタビューやオフィスツアー、会社説明会など、文章だけでは伝えきれない内容を動画コンテンツにするのがよいでしょう。
リアルイベント
会社説明会・セミナー・就活イベントなどのリアルイベントも、採用ブランディングに効果的です。
候補者にメッセージを直接伝えることで体験を共有でき、自社を強く印象づけられるのが特徴です。
質疑応答の時間や体験型ワークショップなどを開催するのも、候補者とのよい交流機会となります。
イベントの企画では、対面だからこそできる体験を提供し、候補者の興味関心を引きつけるのが重要です。
自社の強みや魅力を訴求して、採用コンセプトに沿ったイベントをつくりましょう。
採用ブランディングに成功した企業事例
採用ブランディングは、企業規模や業界を問わず実践できる取り組みです。重要なのは、「自社らしさ」を明確にし、それを採用活動全体で一貫して伝えること。
ここでは、コンセプト設計からツール展開、採用体験までを通じて成果を上げた3つの企業の事例をご紹介します。
それぞれの企業がどのように自社の価値を言語化し、候補者に伝えていったのかを見ていきましょう。
(1)株式会社宮本組
建設業を中心とする株式会社宮本組では、これまで新卒採用の体制整備や学生へのメッセージ発信に課題を抱えていました。
そこで、採用戦略設計から説明会ブース装飾・採用ツール制作、内定者研修に至るまでを一貫して支援。採用コンセプトとして「普通の施工管理職になるか、誇り高い施工管理職になるか」を掲げ、職種に対する誇りと挑戦の姿勢を明確に打ち出しました。
採用サイトやパンフレット、イベントブースなどすべての接点でメッセージを統一し、学生に“働く意義”を実感させるブランド体験を設計。その結果、全国拠点での採用体制強化や若年層・女性層の応募増加につながり、社内でも採用に対する意識が大きく変化しました。
「働くことの誇り」を軸に据えたこの取り組みは、採用ブランディングを通じて組織の文化や価値観を再定義した好例と言えます。
(参考:株式会社宮本組様さま導入事例)
(2)ヤブサキ産業株式会社
トータルカーライフサポート企業であるヤブサキ産業株式会社では、「大学卒の男性がなかなか採用できない」という課題を抱えていました。
そこで、採用戦略設計から採用活動のアウトソーシング、そして「学生気分で働こう」というコンセプト策定と採用ツール制作までを一貫して実施。
採用サイトや合同説明会のブース、パンフレットにおいてこのメッセージを統一し、学生に“目に留まり、印象に残る”ブランド体験を設計しました。
その結果、ターゲット層から5名の内定者を獲得し、採用活動に対する社内理解も向上。コンセプト設計からツール展開、採用体験までを一貫して構築したことで、採用ブランディングの基盤づくりに成功した事例となりました。
(参考:ヤブサキ産業株式会社さま導入事例)
(3)株式会社シグマ
レンズメーカーである株式会社シグマでは、採用活動において「自社の魅力が十分に伝わっていない」という課題を抱えていました。
そこで、採用コンセプトの策定から採用サイト制作までを一貫して支援を受け、社員が大切にしてきた「ものづくりへの熱中と誠実さ」を採用メッセージの核に設定。
現場社員の声や日常の姿をリアルに伝える構成とし、デザイン・コピー・導線設計を通じて“働く価値”を体感できるサイトを構築しました。
さらに、インタビューページに登場する社員が、実際に学生との面談にも登場する仕組みを導入。採用サイトと採用フローを連動させることで、応募前から内定まで一貫したメッセージを発信し、惹きつけを強化しました。
結果として、「会社の姿勢が伝わる」「社員の人柄が印象的だった」といった反響が増え、自社らしさを体験を通して伝える採用ブランディングの成功例となりました。
(参考:株式会社シグマ様さま制作事例)
採用ブランディング支援会社の選び方
採用ブランディングを効果的に進めるためには、信頼できるパートナーの選定も重要です。自社の課題や目的に応じて、「どの領域を支援してもらうか」を明確にしたうえで検討を進めましょう。
まず、戦略設計から伴走してくれるタイプと、制作・運用に特化したタイプの2軸で整理するのがおすすめです。
採用メッセージやEVPの抽出など上流から見直したい場合は、採用ブランディング全体を理解しているコンサルティング型の会社が適しています。
一方で、採用サイトや動画、パンフレットなどの制作を中心に強化したい場合は、実績豊富なクリエイティブ会社が有効です。
また、依頼前に確認しておきたいのが、「採用領域に特化しているか」という点です。一般的な広告制作会社と異なり、採用市場・候補者心理を理解した企業であれば、メッセージの精度や成果に大きな差が生まれます。
まとめ
採用ブランディングは、企業の採用力を高めるために有効な戦略の一つです。自社の価値や魅力、強みを外部に発信していくことで、求職者だけでなくさまざまなステークホルダーからの共感を得るよい機会となります。
ただし、採用ブランドは、一日にしてならず。採用ブランディングには、長期的かつ継続的な運用が不可欠です。
この記事でお伝えした内容をもとに、少しでも早く一歩目を踏み出し、自社に合う人材を採用できるようにリアルを発信しながら、課題に向き合ってみてはいかがでしょうか。
担当者との相性やコミュニケーション頻度も、プロジェクトの成果を左右する重要な要素です。自社の目的・予算・社内体制にあわせて、信頼できるパートナーを見極めることが、採用ブランディング成功の第一歩と言えるでしょう。
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