中堅社員育成

サンドイッチ型フィードバックとは?形式を学び、より効果的に育成するポイント

サンドイッチ型フィードバックとは、「ポジティブ→ネガティブ→ポジティブ」の順でフィードバックする手法です。

フィードバックには、大きく分けて「サンドイッチ型」「SBI型」「ペンドルトン型」の3つの型があります。

今回の記事では、フィードバックの型の一つである「サンドイッチ型フィードバック」について、具体的な内容と効果的な使い方について解説します。

サンドイッチ型フィードバックとは

サンドイッチ型フィードバックとは、一番メジャーとも言えるフィードバック方法で、「パン、具、パン」の順番で作る「サンドイッチ」のようにフィードバックすることを指します。

まず「褒める」というポジティブなフィードバックから始め、次に「改善点の指摘」、最後にまた「褒める」という順番で伝える手法です。

ネガティブなフィードバックをポジティブなフィードバックで挟むことで、ネガティブなフィードバックで生じるモチベーション低下などの悪影響を最小限に抑えることが期待できます。

サンドイッチ型フィードバックが向いているシーン

サンドイッチ型フィードバックには以下のようなメリットがあるため、具体的に指摘したいことや、改善事項がある場合に使うと効果的です。

  • 部下のモチベーションの低下が最小限に抑えられる
  • ネガティブなフィードバックを部下に伝えやすくなる

例えば、ゆとり教育で育った新入社員は、これまで厳しくされた経験が少なく、褒められることに慣れていて、承認欲求が強いと言われています。

そのため、ゆとり世代の若者を部下として指導する際には、いきなり改善点を指導をするよりも、サンドイッチ型フィードバックを用いるほうが効果的です。

また、仕事への意欲が低くミスの多い部下の成長を促したい場合にも、サンドイッチ型フィードバックは有効です。

ミスの多い部下を叱ったり咎めたりするのは簡単ですが、それだけでは成長にはつながらず、仕事に対するモチベーションも一向に上がりません。

褒めるところを見つけるのが難しいようであれば、「認める」ことでも充分です。

改善事項の多い部下でも、まずはポジティブに評価できる点を探し、それを伝えることで、その後に続く改善点も受け入れやすくなり、成長につなげることができます。

サンドイッチ型フィードバックの注意点

サンドイッチ型フィードバックには以下のようなデメリットがあるため注意が必要です。

  • 部下が自分の仕事はうまくいっていると勘違いしてしまう
  • 信頼関係が損なわれるケースがある

サンドイッチ型フィードバックでは「褒める→批判する→褒める」という3ステップで構成されることから、相手は2つのポジティブなフィードバックと1つのネガティブなフィードバックを受け取ることになります。

そのため、上司からの指摘が部下の心に残りにくく、「自分はうまく仕事を遂行している」と間違った解釈をしてしまうことに注意しましょう。

また、「褒める→批判する→褒める」のパターンがあまりにもわかりやすいことから、褒められると次に何を指摘されるのかという疑心が相手の心に生じやすくなってしまいます。

サンドイッチ型フィードバックをあまりに多用しすぎると、相手は懐疑心を抱き、信頼関係が損なわれるケースも考えられます。

フィードバックにはさまざまな手法があり、必ずしもサンドイッチ型フィードバックが最適とは限りません。

例えば、部下が会社のルールを守らず、すぐに指摘が必要な場合はサンドイッチ型フィードバックは不向きです。

「褒める→批判する→褒める」のステップを踏まずに、ダイレクトに指摘したほうが誤解を生まずに改善できる場合もあります。

サンドイッチ型フィードバックの会話例

ここからは、上司と部下の間で想定されるサンドイッチ型フィードバックの会話例を紹介します。

サンドイッチ型フィードバックの会話例

褒める
「私が依頼していた資料の作成ですが、指示した内容以外にも自発的にデータを追加するなど、工夫してくれてありがとう。すばらしいクオリティでした。」

指摘・改善点
「ただし、先週は毎日残業をしていたようなので、次回からは作業時間にも注意してください。今回作成したものをひな形化すると効率化できるはずです。」

褒める
「内容はとても素晴らしかったので、他のメンバーも参考にできるようチーム内に資料を共有してほしいです。どうでしょうか。」

サンドイッチ型フィードバックは日ごろから応用できる

サンドイッチ型フィードバックの手法は、上司から部下へのフィードバックだけでなく、サンドイッチ話法として、プレゼンテーションやビジネストークでも応用が可能です。

例えばプレゼンテーションでは「自分の主張→具体例・具体的な根拠→自分の主張」という流れで展開します。

短い発表だけでなく、長時間の講演もこのサンドイッチ話法で構成すると、相手に自分の主張を深く理解してもらいやすくなります。

また、ビジネスシーンでも「情報→数字→情報」の順で伝えることで、相手が情報を素早く正確に受け取ることができます。

例えば上司から、今月の売上状況について報告を求められた場合に、数字のみの回答でも問題ありませんが、「順調です。(情報)→前半は売上目標を110%達成し、後半も現時点で目標金額を超えています。(数字)→今月はトータルで売上目標を達成できます。(情報)」と答えることで、数字だけでなく状況を相手に伝えることが可能になります。

他にも有名な2つのフィードバック

フィードバックにはサンドイッチ型だけでなく、他にも主要な型として「SBI型」「ペンドルトン型」があります。ここからは、「SBI型」「ペンドルトン型」それぞれのフィードバック型について解説します。

SBI型

SBI型フィードバックとは、「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の頭文字をとったもので、SBIの順でフィードバックをおこないます。

この手順を踏むことで、「いつ、どこで、どうなった」という順をおった結果を相手が理解しやすくなり、フィードバック内容が頭に入りやすくなります。

SBI型は、ポジティブなフィードバックにも、ネガティブなフィードバックにも使うことができます。

SBI型のポジティブなフィードバック例

状況(situation)
私はあなたにA社へ提出する資料の作成を依頼しました。

行動(behavior)
あなたは私に事前に資料作成の目的と疑問点を確認しましたね。

結果(impact)
できあがった資料は、必要な内容が盛り込まれた素晴らしい出来で、A社からの発注を受けることができました。

 

SBI型のネガティブなフィードバック例

状況(situation)
B社への見積もり送付の期限は10日前でした。

行動(behavior)
見積もりはまだ送付されていません。B社や私への報告もありませんね。

結果(impact)
この商談の達成は難しくなり、B社の当社への信頼が低くなっています。

ペンドルトン型

心理学者ペンドルトンによって開発されたペンドルトン型フィードバックは、評価者と被評価者の間で、「言葉のやり取り」「対話」をすることが特徴です。

被評価者に具体的に振り返ってほしい施策、プロジェクトがある場合に用い、ポジティブなフィードバック、ネガティブなフィードバックの両方で使うことができます。

ペンドルトン型フィードバックには、フォーマットがあり、次の順に進めていきます。

工程 対象者 内容
確認 上司

部下
①何について話すのかを明確にする 先日実施した「オンラインセール」について話します。
良かった点 部下 ②うまくいった点について話す 大きなトラブルもなく、前回の売上を120%上回りました。
上司 ③うまくいった点を褒める 事前準備をしっかりおこない目標以上の売上を達成できたので素晴らしかったです。
改善点 部下 ④次回もっと良くなる点について話す ありがとうございます。売上目標は達成しましたが、もっと商品数を増やせればよかったと思います。
上司 ⑤補足でさらに改善点があれば伝える 次回は利益幅の大きい美容商品の扱いをより増やすことで、売上だけでなく利益増も見込めるでしょう。
行動計画 部下 ⑥とるべき/変えるべき行動について話す 次回は取り扱い商品の見直しと利益率の計算もして企画をしたいと思います。また、後任のためのマニュアルも作成したいと思います。
上司 ⑦改善の議論をする/承認する いいですね。マニュアルができたら見せてください。
まとめ 部下 ⑧行動計画やフィードバックの要点について振り返る 承知しました。今回の改善点を含めたマニュアルと次回の企画案を来週までに作成しますので、できましたら確認をお願いします。

まとめ

人材育成においてフィードバックは、相手の課題を指摘しながらもモチベーションを維持させることが重要です。

例え同じ情報でも、伝え方によって印象は変わり、それはパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があります。

今回の記事で紹介したサンドイッチ型フィードバックを理解し、部下の性格や能力に合わせ、最適なフィードバックを実施してみてください。

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知恵袋編集部
「人と組織の成長を加速する」というミッションのもと、採用、育成、定着を支援する様々なソリューションをワンストップで提供するカケハシ スカイソリューションズならではの知見をお伝えすることを目的として記事を執筆・編集。社員研修の知恵袋では、人事担当向けに、社員教育全般に役立つノウハウを幅広く取り扱っています。
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