春採用で人材が充足しない、内定辞退が増えている――。
そんな採用課題の打開策として注目されているのが「秋採用」です。
本記事では、秋採用の期間や特徴、企業が導入するメリット・デメリット、成功させるためのポイントをわかりやすく解説します。
目次
新卒採用における秋採用とは
新卒採用における秋採用とは、春(3月〜6月頃)に実施される本選考の後におこなわれる採用活動を指します。
春採用で内定者を確保した後に、欠員補充や採用計画の調整を目的として実施されるケースが多いのが特徴です。
秋採用は期間が限られており、短期間で成果を出すスピード感と判断力が求められます。
そのため、採用人数を絞り、よりマッチ度を重視した採用活動をおこなう企業が増えています。
一方で、夏以降も就職活動を継続している学生や、海外大学出身の留学生など、意欲の高い層に出会える機会もあります。
また、秋採用は採用時期がずれていることから、競合が少なく、学生一人ひとりとじっくり向き合える点も魅力です。
採用広報や説明会を工夫し、自社の魅力を丁寧に伝えることで、他社との差別化を図ることができます。
限られた期間の中で、柔軟かつ計画的に運用することが秋採用を成功させるポイントです。
秋採用を実施する企業が増えている背景
近年、秋採用を実施する企業は急速に増加しています。
背景には、春採用で内定を出しても充足率が低下していること、そして内定辞退率が上昇していることが挙げられます。
マイナビの「2025年卒企業新卒内定状況調査」によると、2025年度の採用充足率(内定者数 ÷ 募集人数)は 70.0% となり、依然として充足度の低下傾向が続いています。
また、リクルート(就職みらい研究所)の「就職プロセス調査(2025年卒)6月1日時点」では、内定辞退率が56.4% と報告されています。
学生の企業比較や複数内定の保有が一般化しており、採用活動の長期化と歩留まりの悪化が課題となっています。
この傾向は、採用市場の流動化や学生のキャリア志向の多様化を背景に、春採用だけでの完結が難しくなっていることを示しています。
さらに、秋以降に採用活動を継続することで、夏インターン経由の学生や留学生など、幅広い層に接点を持つことが可能になります。
採用競争の激化に対応するため、多くの企業が「秋採用」「冬採用」を計画的に取り入れ、年間を通じた採用サイクルの一部として位置づけています。
秋採用はもはや補完的な採用手段ではなく、持続的に人材を確保するための“戦略的なフェーズ”へと変化しているのです。
特に中小企業では、秋採用を通じて「採用力の底上げ」や「通年採用化」の足がかりを作る企業も増えています。
(参考:株式会社マイナビ「2025年卒企業新卒内定状況調査」 /株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2025年卒)」)
秋採用に対する学生の意識の変化
秋に就職活動をおこなっている学生が、これまでの傾向から変化した最大の理由は「就職先を探す目的の変化」が考えられます。
これまで:内定がもらえる就職先を探すことが目的
周りにいる同年代の友人たちは既に内定を獲得し、最後の大学生活を謳歌しているにも関わらず、自分は内定をもらえていない…。
公務員を目指し試験を受けたものの不合格になってしまった…。
そんな「とりあえず内定が欲しい!」という状態の学生たちが、秋採用の時期に集中していました。余裕の無さや焦りから、内定がもらえる就職先であれば、希望条件のズレは諦めるケースも珍しくありませんでした。
現在:よりよい就職先を探すことが目的
内定はあるけれど自分に合う企業は他にもあるはず!内定式に参加したけれど、同期と雰囲気が合わなそう…。
そんな、内定持ち、あるいは内定を辞退した学生たちが「もっと自分に合う企業に就職したい!」と秋採用の時期まで就職活動を続ける流れが昨今見受けられます。就職先の質を求める学生が増えていることがわかります。
また、「就職活動を続けることで成長できる」と考え、自身のスキルアップの為に動いている学生も珍しくありません。
学生たちの志向が「とりあえず就職できればいい!」から「よりよい就職先に就きたい!」という方向に変化しつつあることが、今の秋採用の環境の変化に影響しています。
また、様々なバックボーンを持った学生が増えてくるのも秋採用の特徴ですので、どんな学生が秋採用で動いているのか、合わせて押さえておくことがオススメです。
新卒の秋採用を実施する企業の特徴
夏休み明けの9月初旬から12月までの3カ月間におこなわれる秋採用は、すでに様々な企業で導入されています。
まずは、秋採用における人材獲得のライバルとなり得る企業について特徴を確認しましょう。
大量の人材募集を実施する企業
大手企業は従業員が多いため、新卒採用においても大量の人材を募集します。
主に夏や春の採用を実施しますが、採用予定人数に達しなかった場合には、秋にも継続して募集を実施します。
さらに、大手企業のグループ会社や子会社は、親会社と時期をずらし採用活動をおこなう傾向にあります。
親会社と同時期であると、どうしても親会社のブランド力に負けてしまい、思うように人材を集められないことがあるためです。
競合が少ない秋採用の市場においては、大手企業のグループ会社はアピールポイントとなり、採用人材を集めやすいのです。
認知度の低い企業
大手企業に比べると認知度が低い、成長中のベンチャー企業や中小企業、BtoBビジネスを展開する企業は、年度途中で採用予定数が増加することがあるため、秋も採用を実施する傾向にあります。
また、海外の卒業時期に合わせて秋採用を実施する外資系企業も多いです。
「グローバルな人材を獲得したい」「柔軟なスケジュールのもと採用活動を実施したい」といった企業にとって、秋採用は有効な手段として取り入れられているようです。
地方の企業
春や夏採用では、どうしてもネームバリューの高い企業に学生が集まることから、地方企業は秋採用に取り組んでいるケースが多いです。
地方を拠点とする企業は、都市部へ若手人材が流出したり、エリアの魅力が欠けたりすることから、人材獲得に苦戦する傾向にあります。
そのため、処遇改善やリモートワークの実施、福利厚生の充実など自社ならではの魅力向上に努め、積極的なアピールで自社に学生を引き込む地方企業が増えています。
秋採用に応募する学生の特徴
秋採用を実際に取り入れる場合には、秋に就職活動を実施する学生について理解することが重要です。
秋に応募する学生にはどのような特徴があるのか、3つタイプに分けてご紹介します。
就職先が決まっていない学生
秋の採用試験に応募する学生は一般的に、春から就職活動を実施していたものの、内定が取れず秋まで就職活動を続けている学生です。
他にも、大学院進学を目指していたが途中で就職に切り替えた学生、公務員や弁護士志望だったものの試験に落ちてしまい、秋以降に急きょ就職活動を実施している学生なども当てはまります。
部活動などで就職活動ができなかった学生
都合によって春に就活をおこなえず、秋にずれ込んでしまう学生もいます。
例えば、クラブ活動の試合に出場していた体育会系の学生や、研究室に配属し学業が忙しかった理系学生などが含まれます。
さらに、海外の大学に進学している学生の場合、卒業時期である9月までは学業が忙しく、途中で帰国して就職活動をおこなうことができません。
そのため、日本人留学生の多くが9月以降に帰国してから就職活動を実施するといわれています。
他社で内定を獲得しているが、より自分に合った企業を模索している学生
全体の割合からすれば少数ではありますが、内定を取得した後も自分が納得できる就職先を見つけるために、秋採用に臨む学生もいます。
内定獲得後も就活を継続する理由は、「自分により適した企業に就職したい」「内定をもらった企業で決めてよいのか不安」などが挙げられます。
外国人留学生
外国人留学生が秋に就職活動をおこなう背景には、母国の卒業時期やビザ手続きのスケジュールが関係しています。
日本では春採用が主流ですが、海外の大学は秋に卒業するケースも多く、秋採用は彼らにとって就職のチャンスとなります。
また、外国人留学生は日本語力に加え、異文化理解やグローバルコミュニケーション能力を備えており、海外展開を進める企業から高く評価されています。
国際的な視点や多様な価値観を組織にもたらす点でも、秋採用で留学生を受け入れる企業は増加しています。
秋採用は、即戦力ではなく“可能性重視”で採用をおこなう時期でもあり、グローバル人材の発掘に最適です。
秋採用をおこなうメリット・デメリット
企業にとって秋採用を実施することは、どのようなメリットやデメリットがあるのか、具体的にご紹介します。
メリット
- 優秀な人材を獲得できる可能性がある
- 内定辞退率が低い
- 競争企業が少ない
- 採用枠を確保しやすい
- 意欲の高い学生を獲得しやすい
先述したように、秋に就活を実施する学生の中には、春夏採用では出会えない学生が含まれており、優秀な人材を獲得できる可能性があります。
また、秋採用は内定を辞退すると後がないという理由から、内定辞退率が低い傾向にあります。
内定を出した人材を逃すことなく、獲得できるのは企業にとって大きな利点といえます。
採用活動は春から短期で実施する方が企業の負担が少ないため、夏までに終了するのが一般的です。そのため、秋採用を実施する企業は少なく、競争率が低いのも嬉しいポイント。
売り手市場といわれる昨今において、予定通りに採用枠を埋めることは課題でもあるため、秋採用も実施することで、急な内定辞退があっても柔軟に対応しやすくなります。
近年は、自身のキャリアを会社に任せず、自律的に形成することに関心が高い学生が多い傾向です。
他社から内定を獲得しているにもかかわらず秋採用に臨む学生は、企業に対する目的意識も高いため、入社後も意欲的な姿勢が期待できます。
デメリット
- 採用コストや業務の負担が大きくなる
- 母集団形成が難しい
- 春と秋採用の人数配分に配慮が必要
通常の春夏採用に加えて秋採用も実施する場合、採用活動が長期化するため、その分コストと担当者の作業負担が大きくなります。
春夏採用と秋採用では内定後の研修開始のタイミングが異なるため、採用コストだけでなく、研修にかかるコストの増加も考えられます。
採用担当者は、内定者へのフォローと並行して秋の採用活動を進める必要があり、負担の増加は避けられません。
また、春夏に比べ、秋は就職活動を実施する学生自体が少ない傾向にあります。
自社の求人に興味や関心を持つ学生を集めるための母集団形成が難しいことも、覚えておきたいポイントです。
限られた母数の中から適切な人材を素早く獲得できるよう、自社の求めるペルソナ像などの選考基準を明確にしておくことが不可欠です。
さらに、注意点として春と秋で採用人数の配分が難しいという点が挙げられます。
春採用で多くの学生を採用すると、秋に優秀な人材が多く集まっても採用できないという状況が考えられるため、市場の動向を見据えた検討が必要です。
秋採用の活動スケジュール
秋採用の開始時期は、企業全体で統一はされていませんが、一般的に8月までに広報手段を検討し、8月から本格的に募集を開始する企業が多いようです。
採用説明会は9月から11月に実施し、その後面接を経て11月には内定が出始めます。
【秋採用における活動スケジュール例】
| 活動内容 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月~3月 |
| 広報手段の検討 | → | ||||||
| 募集開始 | → | → | |||||
| 採用説明会や面接の実施 | |||||||
| 内定付与 | |||||||
| 内定者フォロー | |||||||
| 入社受け入れ準備 |
秋採用の基本的な流れは春採用と変わりませんが、選考がスピーディーに進むのが特徴です。
選考の準備にかけられる時間が少ないため、明確な選考基準を定め、迅速に対応していくことが求められます。
秋採用に向けて見直したい4つの施策
秋採用をおこなう際には、学生たちの目的の変化に合わせ、工夫を加える必要があります。
採用活動として取り入れる手段は同じでも、メッセージの表現や伝え方を変えることが鍵になってきます。
また、学生が持っている就職活動への危機感はこれまでよりも薄くなっている可能性がありますので、積極的なアプローチと惹き付けも重要なポイントです。
- 追加説明会の実施
- 合同企業説明会への出展
- 大学訪問・紹介
- indeedへの掲載
1.追加説明会の実施
秋採用に合わせた追加説明会を実施しましょう。実施の際、ポイントとなるのは学生の気持ちです。
「まだ色んな企業を見てみたい!」「仕切り直して就職活動をしたい!」など、この時期に動く学生の目的に合わせた、告知文やメッセージを作ってみましょう。
例えば、秋採用の実施理由はポジティブな表現で添えることが効果的です。御社があえてタイミングを選び、秋に採用募集をかけていることが伝われば、納得感や期待感につながります。
▼例えばこんなメッセージ
「弊社は更なる事業拡大のため、まだまだ仲間を募集中です!」
2.合同企業説明会への出展
能動的に就職活動を続ける学生と、直接接触することが出来る場を持ちましょう。
就職活動のピーク時期よりも来場数は決して多くありませんが、その分じっくりとコミュニケーションを取れることがメリットです。
様々なバックボーンを持つ学生が訪れるだけに、しっかりと就職活動を続けている背景をヒアリングすることが、求める人材と出会う近道になります。
3.大学訪問・紹介
自社の社員が卒業した出身大学にコンタクトを取り、キャリアセンター経由で学生の紹介を受けることも1つの手段です。
また自社で、既に内定を出している学生がいるのであれば、同じように所属する大学のキャリアセンターにコンタクトを取ってもらえると、学生と出会える可能性が高まります。
4.indeedへの掲載
CMでお馴染みのindeedは、転職者だけではなく新卒者にも自社を知ってもらえるツールです。
例えば「2027 新卒採用」というキーワードを原稿内に散りばめることで、検索表示される確率が高まります。
また、学生がindeedを経由して企業ウェブサイトを訪れることも多いため、魅力が伝わるウェブサイトになっているか、見直しをすることも大切です。
秋採用を成功に導くポイント
秋採用は、企業・学生の双方に焦りが出やすい時期です。
そのため、短期間で成果を出すには、「スピード感」と「丁寧な対応」を両立させることが重要です。
まずは選考フローを簡潔にし、応募から内定までの期間を短縮することで、学生の離脱を防ぎます。
面接日程の調整やフィードバックを迅速におこなう体制を整えることが、採用成功の第一歩です。
また、学生との接点が減る時期だからこそ、内定後のフォローを丁寧におこなう必要があります。
メールやオンライン面談を活用して、入社前の不安を解消し、志望度を高めましょう。
秋採用は、企業にとって「今年度の最終採用」だけでなく、翌年度採用への布石でもあります。
秋採用で得られた学生データや面接評価を蓄積し、翌年の母集団形成や内定者フォロー施策に活かすことで、採用力の底上げにつながります。
さらに、採用担当者自身が焦らず、限られた時期の中で得た知見を次年度の改善につなげる姿勢が大切です。
秋採用ならではの「惹きつけ」を考えよう
近年、トレンドになりつつある「秋採用」。春夏採用での課題を補う形として注目されている一方で、「中途採用」のような、学生一人ひとりへの個別対応が求められます。
学生がどうして秋の就職活動にチャレンジしているのか、理由や目的を見極めた上で、学生の志向に合わせたメッセージを伝えることが、御社への「惹きつけ」につながります。
今回紹介したポイントを抑えて、優秀な人材獲得に向けて秋採用を検討してみましょう。
秋の採用においてはメッセージの訴求順を変え、接触時に「福利厚生の豊富さ」でアピールし、接触後は「会社の発展性」で惹きつけるなど、その時期の学生に合わせてメッセージを伝える順番を変えていくと効果的です。
学生が求めているものを先に提示し、徐々に惹き付けていくことが順序を考える時のポイントです。
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