採用ノウハウ

SNS採用とは何?メリットやデメリット、運用の流れ、成功事例を徹底解説

SNS採用とは何?メリットやデメリット、運用の流れ、成功事例を徹底解説

採用活動の手法の一つとして「SNS採用」が注目されています。

しかしこれまでの採用手法とは異なる点が多く、企業の採用担当者には「どのように採用活動にSNSを取り入れるべきか」「どんな媒体で何を発信したらよいか」といった悩みがあるようです。

今回は、SNS採用の導入を検討する企業向けに、SNS採用について、注目されている理由や導入までのステップ、成功させるためのポイント、SNS別の活用方法についてご紹介します。

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SNS採用とは?

SNS採用は、ソーシャルリクルーティングとも呼ばれ近年注目されている採用手法です。

InstagramやTwitter、Facebook、YouTube、LINEなどのSNSを通しておこなわれる採用活動全般を指します。

SNS採用は2000年代に入り徐々に導入が進んでいる採用手法で、SNSの利用率が特に高い20代がターゲットとなることから、主に新卒採用に活用されています。

SNS採用が注目されている背景

なぜ、SNS採用が注目されているのでしょうか。ここでは、主な背景について2つ解説します。

(1)採用競争が激化しているため

SNS採用が注目されている理由として、採用競争の激化が挙げられます。

近年の少子高齢化による労働人口の減少や、転職に対する抵抗感の希薄化などによって、企業は慢性的な人手不足に陥っています。

企業が「選ぶ側」から「選ばれる側」となる「売り手市場」が続いているため、優秀な人材の確保が難しくなっているのです。

そのため、企業は採用活動において、転職顕在層だけでなく転職潜在層へのアプローチが求められています。

従来の求人サイトや人材紹介を使った「待ち」の採用から、企業自ら能動的にアプローチしていく「攻め」の採用へとシフトせざるを得ない状況です。

そこで注目されているのが、SNSです。

SNSは日常的に利用されており、多くの人の目に触れるため、転職潜在層にも企業の情報を届けられるメリットがあります。

また、写真や動画、ライブ配信などを通じて、企業のカルチャーを多角的かつリアルに伝えられることから、ミスマッチ防止にも効果が期待できます。

双方向のコミュニケーションによって求職者のエンゲージメントを高められるほか、自社のファンを増やすきっかけにもなるでしょう。

無料で始められる手軽さからも、SNSを採用活動に取り入れる企業が増えています。

(2)SNSの利用者数が増加しているため

SNS採用が注目されるようになったのは、インターネットやSNSの発展にともない、意思決定や情報収集源に大きな変化が生じているためです。

特に2000年以降、インターネット環境が当たり前となったミレニアル世代の社会進出によって、企業の採用活動は大きく変化してきました。

ミレニアル世代は、パソコンよりもスマートフォンやタブレットを日常的に使い、InstagramやTwitterなどのSNSを好み、友人とつながる連絡手段としてLINEを活用します。

情報収集手段としてもSNSを駆使し、よりリアルな情報を求め、企業の公式発表よりもSNSでのクチコミを信頼する傾向が見られます。

就職・転職活動においてもSNSを重視する傾向は同様です。

株式会社ディスコの調査によると、22卒学生の就職活動で「SNSを利用していない」と答えたのはわずか25.9%で、その他の人はLINEやYouTube、Twitter、Instagram、FacebookなどさまざまなSNSを利用し情報収集をしていることがわかります。

(参考:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ「2022年卒 10月1日の就職意識調査」)

SNS採用のメリット

SNS採用には次のようなメリットがあります。

情報が拡散されやすい仕組み

多数の人と情報を共有するツールであるSNSは、リツイートやシェア機能によって1つの投稿が拡散される仕組みです。

採用活動においてはどれだけ多くの学生にリーチできるのかが母集団形成において重要なため、SNSと採用は相性が良いといえます。

たとえば企業が発信した情報に学生が興味を持ち、アカウントが繰り返しシェアされると、同世代の層に情報が拡散されていきます。

シェアで広がる「情報の拡散力」こそSNSを採用に利用するメリットの一つです。

企業のブランディングにつながる

求人広告や公式サイトなどで仕事のハード面のみ周知する企業と、SNSで現場の様子などのソフト面を発信している企業では、候補者の企業に対する印象は大きく変わってくるでしょう。

就活生はよりリアルな情報を求めているため、SNSを活用することでより効果的に企業ブランディング・採用ブランディングをすることができます。

採用コストを抑えられる

ほとんどのSNSが、基本的には無料で登録・運用可能です。

採用活動において無料で情報発信ができることは他メディアにはない強みであり、新たな施策として取り入れやすいことがメリットの一つといえます。

SNS採用のデメリット

メリットが複数あるSNS採用ですが、デメリットにはどのようなことが考えられるのでしょうか。

工数が大きくかかる

日々大量の情報が流れるSNSで多くの注目を集めるためには、鮮度の高い情報を頻繁に更新し、ある程度の作業時間を使い運用していく必要があります。

また、企業が情報を一方的に発信する求人広告と違い、SNSは双方向のコミュニケーションのため、レスポンスや連絡があった際には対応しなければなりません。

SNSは他の採用媒体と比較して気軽なコミュニケーションが取りやすいため、対応しないことでマイナスイメージが拡散されてしまう可能性もあります。

工数の増大は、忙しい採用担当者にとって大きなデメリットの一つです。

コンテンツの内容が重要

頻繁な情報発信が必要なSNS採用ですが、単純にコンテンツを更新し続ければ効果が出るわけではありません。

業界の情報や企業の魅力、現場のリアルな声などユーザーの興味を引くようなコンテンツを発信する必要があります。

また、SNSは炎上のリスクを考慮し内容を考えなければなりません。

不特定多数の人と接点をもつSNSでは、注意していても炎上する可能性があるのでダブルチェックの体制を整えましょう。

SNS採用の採用戦略におけるポジション

近年、ベンチャー企業から大手企業まで多くの企業がSNS採用を積極的に導入し始めているのは、従来の採用手法にはない新たな効果が期待できるためです。

SNS採用の特徴として「拡散力があり、リーチできる人数が多いこと」や「リアルな情報や魅力を発信しやすいこと」が挙げられます。

求人サイトや人材紹介といった従来の採用手法では、アプローチの対象が就職活動を目的としてそのサイトに登録している「顕在層」のみとなります。

対してSNS採用の場合は、まだ就職サイトに未登録で数年後に就職活動を始める大学1〜2年生に対しても、早い段階からアプローチが可能です。

また、近年導入する企業が増加している「求職者に直接アプローチするダイレクトリクルーティング」や「自社の社員や関係者から人材を紹介してもらうリファラル採用」とSNS採用が連動することで相乗効果も期待できます。

企業は、SNS採用を活用することで採用候補者の人柄や経験を事前に知れるでしょう。

SNSでの発信内容を確認することで、面接という短い時間では把握しきれない候補者の人間性・志向性について理解を深められます。

SNS採用を実施する目的とは?

SNS採用は、従来の求人サイトやナビサイト、人材紹介サービスなどと違い、企業ブランディングや採用広報など、使い方次第であらゆる効果が期待できることが特徴です。

しかし、期待できる効果が多い分、SNSを使用する目的を事前に明確化し、適したSNS媒体で運用をおこなっていく必要があります。

SNS採用を実施する目的には次のようなことが挙げられます。

  • 企業ブランディング、認知度アップ
  • 採用母集団の形成
  • 求職者との連絡ツール

【種類別】SNSにおける採用への活用方法

採用活動でよく使われているSNSの特徴や活用方法、メリット・デメリットについてそれぞれ詳しく解説します。

LINE

LINEは、国内の月間アクティブユーザー数が9,900万人(2025年6月末時点)と、日本最大のSNSです。

メッセージング機能を軸としたSNSコミュニケーションプラットフォームのため日常的に利用されており、閲覧率の高さが特徴です。

ユーザー層は10代から60代以上と幅広く、採用のメインターゲットとなる20代から30代は全体の32.3%となっています。

中には、他のSNSを利用していない「LINEでしか接点の持てないユーザー」も存在しており、他SNSよりも多くのターゲットにアプローチできるツールと言えます。

採用業務におけるLINEの活用方法としては、具体的に以下のようなものが挙げられます。

  • イベント告知
  • 求人情報の配信
  • 採用サイトへの導線
  • スケジュール調整
  • 面接や内定後のフォローアップ など

LINEでは、「友だち追加」した多数のユーザーに対して情報発信をしたり、1対1で連絡を取ったり多様な活用ができます。

とくに、新卒採用など、一度に多数の候補者とコミュニケーションを取る場合、LINEの活用がおすすめです。

即時性のあるメッセージング機能により、面接のスケジュール設定だけでなく、面接前日のリマインドなども手軽にやり取りできます。

また、LINEのグループ機能を使い、内定者同士が交流できる場も提供できます。
候補者に限らず、企業側にとっても効率的かつ手軽に情報伝達ができる優れたツールと言えます。

このような理由から、企業の公式アカウントの友だち追加を候補者に促して、連絡手段とする企業が増えています。

LINEは、情報の拡散には向いていないため、企業の認知拡大を狙いたい場合には他SNSと併用するなど工夫が必要です。

(参照:LINEヤフー株式会社「LINEのユーザーはどんな人?」)

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は、短文での情報発信が特徴のSNSです。

情報の拡散力とリアルタイム性が高いことから、多くの企業が採用活動に利用しています。

Xの国内における月間アクティブユーザー数は2025年5月時点で約6,800万人、デイリーアクティブユーザー数は4,000万人となっています。

また、総務省の発表した「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」によると、Xの利用率は、20代で78.0%、30代で61.6%と非常に高くなっており、採用活動においても効果が期待できます。

Xはリアルタイム性が高いため、採用活動では即時性の高い情報を発信するためのツールとして使う企業が多いです。

短文での投稿がメインのため、比較的簡単に運用できます。

具体的な活用方法は以下の通りです。

  • ハッシュタグを使った投稿
  • 企業情報のリアルタイム発信
  • イベントの告知
  • アンケート機能の活用
  • トレンドに合わせた投稿 など

ハッシュタグ検索によって狙ったターゲットに情報を届けられるほか、トレンドに合わせた投稿により、短時間で広範囲にわたる情報発信が期待できます。

拡散性にも優れているため、イベントの集客手段にも使われています。

ただし、拡散性が高いXでは、投稿に対する批判のようにネガティブな注目を集めてしまうと「炎上」につながるリスクがあります。

一度炎上してしまうと、企業イメージの低下を招いてしまうため、SNSの運用には注意が必要です。

Instagram

Instagramは、画像や動画などビジュアルコンテンツの共有に特化したSNSです。
情報を視覚的に伝えるのに適しています。

また、「ストーリーズ」や「リール」「インスタライブ」機能により、リアルタイムな情報発信も可能になっただけでなく、双方向のコミュニケーションができるのも特徴です。

総務省の調査によると、Instagramの利用率は、全年代で52.6%と約半数の人が利用しています。

また、10代で75.0%、20代で78.0%、30代で70.5%と高い利用率となっており、若年層へのアプローチに高い効果が期待できます。

採用活動における具体的な活用方法として、以下のようなものが挙げられます。

  • 企業のビジュアルブランディング
  • 画像や動画によるオフィスや商品などの紹介
  • 企業文化の紹介
  • ライブ配信での会社紹介や商品紹介 など

ビジュアルコンテンツをメインとするInstagramにおいては、画像を用いた一貫性のある投稿が、企業のビジュアルブランディングの確立に効果的です。

また、インスタライブ機能を活用すれば、会社紹介や社員同士の座談会なども手軽にライブ配信できます。

画像や動画を使い、オフィス環境やイベント風景の情報を発信することで、企業のリアルな雰囲気や企業風土を求職者に伝えることができます。

ただし、テキストメインのSNSと比べると、視覚的コンテンツは制作コストがかかってしまう点がデメリットと言えます。

画像や動画を制作できる人材が内部にいない場合、外部に依頼しなければならないため、導入の際にはコスト面についても検討する必要があります。

YouTube

YouTubeは、Googleが運営する世界最大の動画共有プラットフォームです。

エンターテインメントからビジネス、教育などさまざまなジャンルのコンテンツが存在し、ユーザーはそれらを無料で視聴、投稿、共有できるのが特徴です。

また、動画コンテンツは、テキストや画像による情報伝達と比べて情報伝達量が多いため、より正確かつ印象的にユーザーに情報を伝えられるのも強みと言えます。

YouTubeの国内における月間ユーザー数は約7,370万人(2024年5月時点)で、総務省の調査によると、利用率は全年代平均で80.8%となっています。
また、10代から40代では利用率が90%以上に上っています。

採用活動におけるYouTubeの具体的な活用方法には、以下のようなものがあります。

  • 企業理念や企業情報の紹介
  • 社員インタビュー動画
  • オフィスツアー動画
  • ライブ機能によるセミナーや会社説明会 など

テキストコンテンツやビジュアルコンテンツだけでは伝えることが難しい、経営理念や企業風土などを動画コンテンツで伝える場合、YouTubeが適しています。

社員のインタビュー動画やオフィスツアー、一日の業務の流れなどを動画で紹介する企業が多いです。

視覚と聴覚に訴えることで、企業の魅力を印象付ける効果が期待できる一方で、動画制作にコストがかかる点がデメリットとして挙げられます。

TikTok

TikTokは、15秒〜1分程度の短い動画を投稿・視聴することに特化したSNSです。

エンターテインメントを中心とした投稿が多く、バズると数百万回再生されるほどの高い拡散性が特徴です。

TikTokの国内における月間ユーザー数は約3,300万人で、総務省の調査によると、利用率は全年代平均で33.2%です。

また、10代では65.7%、20代では58.7%と半数以上が利用しています。
新卒採用のターゲットとなる、若年層へのアプローチに効果的と言えます。

採用活動でのTikTokの利用方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 会社紹介
  • イベント告知
  • 企業風土の発信
  • 「採用あるある」などおもしろコンテンツ
  • トレンドに合わせた投稿 など

TikTokは、YouTubeとは違い15秒~60秒の短尺が主流のため、企業風土の発信や人事担当者による「採用あるある」などエンターテインメント性の高い動画の投稿がおすすめです。

一つの動画に多くの情報を盛り込むのではなく、活用例として「社員の日常の一コマ」や「イベント告知」など、シリーズや単発での短尺コンテンツ紹介が挙げられます。

TikTokでは、フォローの有無にかかわらず、ユーザーの嗜好に合わせておすすめ動画を表示する「おすすめ機能」があるため、フォロワーが少なくてもより多くのユーザーに訴求できるメリットがあります。

一方で、「短い動画の中でいかにインパクトのあるコンテンツを作成できるか」が重要となるため、印象的な動画を作る工夫が求められるのがデメリットと言えます。

Facebook

Facebookは、Instagramを運営しているMeta社による世界最大級のSNSです。

実名登録を原則としており、ビジネス利用に適したプラットフォームです。

ダイレクトメッセージによる直接的なやり取りも可能なため、ビジネス用のコミュニケーションツールとしても活用されています。

総務省の調査によると、Facebookの全年代での利用率は26.8%と、他SNSと比較すると低い傾向にあります。

年代別に見ると、10代から60代の中で最も多い割合は30代の39.1%、次いで40代の38.6%と、ミドル層へのアプローチに強いことがわかります。

そのため、中途採用によるスカウトや、転職潜在層をターゲットにした採用活動に利用する企業が多いです。

採用活動でのFacebookの利用方法として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 企業サイトの作成
  • 採用ページの作成
  • イベントでのコミュニティ形成
  • 内定者フォロー
  • 広告ターゲティング
  • イベントやセミナーの告知 など

Facebookでは、サイトページの作成ができるため、企業のコーポレートサイトのような運用ができます。

また、グループ機能によりコミュニティ形成にも活用できるため、内定者へのフォローツールとして使う企業もあります。

詳細なターゲティング広告により、企業の求める人材に直接アプローチできるのも特徴です。

Facebookは実名登録のため、他SNSよりもユーザーの信頼性が高く、広告のターゲティング精度も高いのが最大のメリットと言えます。

一方、Facebookは、新卒採用のターゲットとなる、10代から20代の若年層へのアプローチには不向きなため他SNSとの併用が必要です。

LinkedIn

LinkedInは、ビジネスに特化したSNSです。

個人の社名や経歴、専門スキルなどを公開するオンライン上の「履歴書」として、転職やキャリアアップ、人脈の構築などに利用されています。

企業にとっては、採用活動の場として、自社が求める人材を直接スカウトできたり、企業ページで採用ブランディングをおこなったりできるのが特徴です。

LinkedInは、世界最大級のユーザー数を誇るビジネスSNSですが、日本での普及率は低く、発展途上と言えます。

採用活動でのLinkedInの利用方法として、以下のようなものが挙げられます。

  • スカウト
  • 求人広告の掲載
  • 人脈形成
  • 企業ページの作成
  • 企業情報の発信 など

企業は、LinkedInで特定のスキルや経験を持った人材に対して直接スカウトメールを送れます。

とくに、ITやコンサルティングなど、優秀な人材の確保が難しい専門職などの中途採用において高い効果が期待できます。

また、企業ページを作成し、さまざまな情報発信をおこなうことで、候補者との接点を増やせるだけでなく、企業ブランディングの強化にもつながります。

一方で、日本国内の利用者数が他SNSと比べると少ない点がデメリットとして挙げられます。

Wantedly

Wantedlyは、企業のミッションや価値観への「共感」で求職者と企業をマッチングするビジネスSNSです。

「共感採用」をコンセプトに掲げ、給与や待遇よりも企業理念や働く環境、企業で働く人などに共感する人材とのマッチングを重視しているのが特徴です。

Wantedlyのユーザー数は約400万人で、登録企業数は41,000社以上となっています。

登録ユーザーはIT領域のエンジニアやデザイナー、セールス、マーケティングなどが大半を占めており、年齢層は20代から30代が全体の74%と、若年層に強いSNSツールと言えます。

採用活動におけるWantedlyの活用方法は、主に以下の通りです。

  • 採用HPの作成
  • 求人掲載
  • 採用広報ツール
  • スカウト など

企業のミッションやビジョン、文化などをホームページ形式で掲載できるため、企業情報の発信や企業ブランディングにも活用できます。

また、「ストーリー」と呼ばれるブログ機能により、企業の魅力を投稿形式で届けられるのも魅力の一つです。

また、自社の求める人材へ直接メッセージを送る「ダイレクトスカウト」の利用も可能です。

Wantedlyは、求人票だけでは伝わらない企業の魅力を求職者に届け、「共感」を重視したマッチングによりミスマッチを防ぎ、定着率の向上に期待できるのがメリットと言えます。

そのため給与や待遇といった条件面では他社と張り合うのが難しい、中小企業やスタートアップ企業などにおすすめのビジネスSNSです。

ただし、ユーザー層がIT人材に特化しているため、自社のターゲット層とマッチしない場合には不向きと言えます。

SNS採用の主な流れ

SNS採用を成功させるために、具体的にどのような流れで進めていくべきなのでしょうか。ここからはSNS採用での主な流れを解説します。

(1) ターゲットを明確にしてペルソナを設定する

まずは「どのような人材をSNS採用で獲得したいのか」SNSを通じて情報を届けたい相手を明確にします。

ターゲットは自社の経営計画や採用戦略に合わせて定義していきます。社内で認識の齟齬が起きないようペルソナを作成しておきましょう。

(2)SNSを選定する

次にSNS採用の重要なポイントとなる「ターゲットに対して最も効果的にアプローチできるSNSの選定」をします。

(1)で決定したペルソナの各SNSの使用頻度や活用方法のデータを参考にし、自社のSNS採用に最適な媒体を選定しましょう。

(3)配信コンテンツの企画をする

ターゲットと使用SNS媒体が決まったら、具体的にどのような内容を発信していくか、配信コンテンツの企画を進めます。

闇雲な情報発信は、自社が本来目指していた目的やターゲットから乖離してしまうため、SNS採用成功へ向けたコンテンツを企画・決定していきます。

コンテンツの企画と共に、配信スケジュールや運用ルールも定めましょう。

(4) 継続的に発信する

SNS採用で発信を始めたら、情報が埋もれないよう継続的に発信していくことが重要です。

SNSでは数多くのユーザーが日々頻繁に情報発信しているため、更新頻度が低ければすぐに埋もれてしまいます。

定期的に発信していくためには、運用やコンテンツ制作に十分なリソースを確保する必要があります。目標の更新頻度を決め、中長期的な視点で取り組むようにしましょう。

SNS採用を成功に導くためのポイント

ここでは、SNS採用を成功に導くためのポイントについて解説します。

  1. 採用コンセプトの明確化
  2. 会社全体の協力を得る
  3. 採用期間以外も継続的に発信をおこなう

(1)採用コンセプトの明確化

まず初めに、採用コンセプトを明確にします。一貫したメッセージを伝えることにより、求職者からの共感を得られます。

自社のミッション・ビジョン・バリューや、自社の魅力・強みを言語化し求職者に伝えるための軸となるのが「採用コンセプト」です。

この採用コンセプトを明確化することで、メッセージに一貫性をもたせることができるため、企業の価値観や文化にマッチした人材からの興味関心を引き付けやすくなります。

結果として、ミスマッチが起こりにくく、質の高い応募者の獲得が期待できます。

(2)会社全体の協力を得る

SNS採用を成功させるためには、会社全体の協力を得る必要があります。

SNSでは、企業の日常やリアルを届ける必要があり、採用担当者だけでは発信できる内容に限りがあるため、現場で働く社員の協力が不可欠です。

社員だけでなく、経営者や管理職のインタビューなど、多様なコンテンツにより、自社の魅力を多角的に伝えるのがポイントです。

全社の協力を得るためには、SNS採用が単なる広報活動ではなく、全社員が参加する「企業の魅力を発信するプロジェクト」であることを伝える必要があります。

SNS採用の重要性を理解してもらう研修や、周知を促す説明会を実施して協力を仰ぐことが大切です。

(3)採用期間以外も継続的に発信をおこなう

SNS採用では、採用活動をおこなっている期間以外でも継続的な発信をおこないましょう。

SNS採用は、潜在層へのアプローチが可能なツールです。
そのため、採用期間以外の間も継続して自社の魅力を発信することで、近い将来に潜在層だった人材からの応募獲得が期待できます。

また、人材獲得だけでなく自社のファンの獲得も期待できます。

自社のファンを一人でも増やすことで、将来自社が求める優秀な人材獲得につながる可能性があるのです。
実際に、採用した人の半数以上が自社のファンだったというケースもあります。

中長期的な観点を持って運用することで、企業ブランディングの確立を図り、採用活動の成果向上を目指しましょう。

SNS採用事例

ここからは、実際にSNS採用している企業の事例を紹介します。

企業の採用アカウントの発信内容や各SNSの活用方法を確認し、自社の採用活動の参考にするのもよいでしょう。

Instagram活用事例

Instagramは、写真や動画を投稿に添えることが必須となっているため、ビジュアルで訴求しやすいことが特徴です。

視覚的に企業の持つ世界観などが伝えやすいメディアですが、Instagramは他メディアとは異なり、URLリンクで外部ページに飛ばしにくい構造のため、他媒体への誘導は難しい点に留意しましょう。

ユニリーバ・ジャパン株式会社では、新卒採用向けにInstagramを活用しており、働き方や社内の制度についてや自社の商品に関する情報などを発信しています。投稿の雰囲気や色味を統一し、わかりやすく就活情報を伝えているのが特徴です。

就活生が志望動機を考える上でも有効に使えるため、アカウントのフォローにつながり、投稿をチェックすることで志望度の引き上げにも貢献している事例です。

(参考:ユニリーバ・ジャパン株式会社 Instagram

YouTube活用事例

動画ならではの「インパクト」や「伝えられる情報量の多さ」が特徴です。

事業内容の解説や、社内環境を動画で公開することで、よりディープに企業の魅力を伝えられます。

YouTubeに投稿するには、簡単な動画編集技術は必須です。さらに、テロップなども入れるとより伝わりやすくなります。

DMMグループでは就活生をメインターゲットとし、組織内の各部署について、仕事内容やキャリアパスに関する動画をYouTubeに公開しています。

通常の採用フローでは、採用担当者だけで各部署のリアルな情報を伝えることは困難ですが、動画を活用することで、各部署の業務内容や1日のスケジュールなどが視聴するだけで理解できるようになっています。

就活攻略チャンネルなど、就職活動に関わる動画も多く投稿されているため、志望する就活生にチャンネル登録されやすい仕組みを構築している事例です。

(参考:DMMグループ YouTube

どのような企業が導入するべきか?

上記のようなメリットとデメリットを踏まえ、SNS採用を導入すべき企業とは「現在採用がうまくいっていない中小企業」といえます。

大手企業は既に知名度が高く、学生に認知されているケースが多いです。

一方、中小企業は大手企業に比べ認知度が低く、母集団形成の段階で学生が集まりにくいという課題を抱えています。採用における認知度を上げるためにも、SNSの特徴の一つである情報の拡散力を活用するべきです。

SNSを活用したカジュアルな情報発信を続けていくことによって、学生の興味を引くきっかけとなる可能性が高まります。

また、前述したようにSNSは利用料がかからないため、採用コストをあまりかけられない中小企業でも始めやすいコンテンツです。

まとめ

現代の情報拡散ツールとして若者からの絶大な指示があるSNSをうまく活用することで、企業の採用活動にもにさまざまな利点をもたらします。

SNS採用を成功させるためには、媒体ごとの特徴やユーザー層を理解したうえで、自社の採用課題やターゲットにマッチしたSNS媒体を選ぶことが重要です。

今回の記事を参考に自社の採用活動にSNSの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者情報
知恵袋編集部
「採用と育成の支援をとおして、人と組織の可能性を耕す。」というミッションのもと、人材施策の軸となる採用から育成までの支援をおこなうカケハシスカイならではの知見をお届けする記事を執筆・編集。新卒採用の知恵袋では、採用担当向けに、新卒採用全般に役立つノウハウを幅広く発信しています。
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