管理職育成

マネジメント能力とは?必要スキルの具体例や効果的に高める方法を徹底解説

マネジメント能力とは、管理職や経営者の管理能力のこと。

しかしその中には、人材育成や評価、リーダーシップといった多くの要素が含まれ、取り組み方に悩む方もいるでしょう。

この記事では、マネジメント能力の概要とともに、必要となるスキルと効果的に高める方法、マネジメント成功へのポイントについてご紹介します。

マネジメント能力とは?

マネジメント能力とは、組織の成果を最大化するために、経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を管理する能力のことです。

マネジメントスキルとも呼ばれ、人によって管理する対象が異なるのが特徴です。

例えば、経営者であれば「企業全体」、リーダーや管理職であれば「担当する部署や部下」となります。

マネジメント能力とリーダーシップの違い

マネジメント能力と類似する言葉に「リーダーシップ」があります。双方の違いは、対象が何かということです。

リーダーシップは、「ヒト」に焦点をあて、目標達成に向けて部下やメンバーを率いていく力を指します。一方、マネジメント能力は、「ヒト」に加え「モノ」や「カネ」も対象として管理する能力を指します。

そのため、リーダーシップはマネジメント能力を構成するスキルの一つと捉えてよいでしょう。

マネジメント能力を構成する重要なスキル

ここからは、マネジメント能力を構成する上で重要となる7つのスキルをご紹介します。

マネジメント能力を構成する7つのスキル
  1. 目標設定・意思決定スキル
  2. 進捗管理スキル
  3. 状況把握スキル
  4. コミュニケーションスキル
  5. リスク分析・課題解決スキル
  6. 業務を遂行するテクニカルスキル
  7. コーチングスキル

目標設定・意思決定スキル

目標を設定し、意思を決定するスキルとは、チームの目指す方向性や目標を決定し、部下が信念を持って業務に取り組める環境を整えることです。

管理職であれば、上司が示した方針をメンバーに伝え、チーム内の目標設定からスタートします。

目標設定の過程においては、意見の対立や新たな目標の検討が必要な場合もあるでしょう。その際に必要となるのが、意見を総合的に判断し意思決定することです。

上司が明確な方向性を示す統一力を持っていることは、部下にとって業務へのモチベーションアップにつながり、成果を最大化させる重要なスキルとなるでしょう。

進捗管理スキル

進捗管理をするスキルとは、チームで定めた目標に向かって個々が着実に業務を進めているか確認することです。

目標と現状を照らし合わせ、最大限の成果が発揮されるよう調整が必要となります。

このとき注意すべきことは、個々の主体的な行動を尊重することです。ただ遅れているからと細かく管理するのではなく、広い視点でチェックしましょう。

一方で、育成の観点が抜けた業務の丸投げは、良好な自発性を促すとは言えません。

一人ひとりのスキルや性格などを見極め、それぞれの部下に応じた進捗管理方法を取り入れていくと効果的です。

状況把握スキル

現状を把握するスキルとは、適切な「報告・連絡・相談」のやり取りを可能にすることです。

進捗管理だけでは、部下が業務に抱えている悩みやトラブルに気付けず、後々大きな問題に発展することが考えられます。

そのため、チームの報・連・相のルールを決めることや、相談しやすい雰囲気作りを心がけることが大切です。

日頃から、チームで働く組織であることを伝え、積極的に話しかけるなど一人で抱え込まない環境を作りましょう。

部下からの報告や相談などにきちんと向き合う姿勢を示すことで、円滑なコミュニケーションにつながります。

コミュニケーションスキル

マネジメント能力に必要なコミュニケーションスキルとは、部下との信頼関係を保つことです。このスキルは「聞く」「質問する」「伝える」のすべてをバランスよくおこなう必要があります。

部下が聞いてほしいと思うことをきちんと聞き、自分で考える力を育めるような質問をしましょう。その上で、部下が理解できるようにわかりやすく伝えるというプロセスが大切です。

日頃から、管理職自身が話しかけやすい雰囲気を心がけ、積極的に部下に声をかけていくのもよいでしょう。コミュニケーションスキルは、情報共有だけでなく、モチベーションを引き出すきっかけとして重要な役割を担います。

リスク分析・課題解決スキル

リスク分析・課題解決スキルとは、目標達成のために現状の問題やリスクを分析し、的確なアクションで課題を解決することです。

課題解決の効果的なプロセスには、論理的思考が不可欠です。道筋を立て矛盾なく論理的に考えて結論を出すことで、部下は納得して次のステップに進めるでしょう。

直感的や感情的な思考は、部下の不信感を招き、パフォーマンス低下や信頼関係の悪化につながるため注意しましょう。

業務を遂行するテクニカルスキル

テクニカルスキルとは、業務を遂行する上で欠かせない知識や技術といった、専門性を伴う能力のことです。

部下の管理と指導をおこなう際、担当部門の専門性や経験は、効果的な戦略を練るためには重要です。

部下だけで手に負えないトラブルが発生した場合など、いざというときには管理職自らが対応する必要が生じます。

その際、これまでの経験や知識を活かした見本をきちんと示していくことで、ロールモデルとしての効果も得られるでしょう。

コーチングスキル

コーチングスキルとは、相手の潜在的な能力を引き出し、自発的な行動を促進することです。部下一人ひとりが持つ能力を引き出し高めることで、個々のパフォーマンス向上につながります。

それぞれの特性を考慮した業務の振り分けが実現できれば、効率よく業務が進むとともに、モチベーションアップをもたらします。

部下を支え、統括する立場であるからこそ、人を育てるコーチングスキルは重要です。

部下自身の特性に寄り添い、高めるサポートがあると感じられれば、会社に対する貢献意欲の向上も期待できるでしょう。

マネジメント能力を効果的に高める方法

マネジメントスキルを鍛えるうえで、日々の業務における積極的な実践は不可欠です。マネジメント能力を効果的に高める8つの具体的な方法を見ていきましょう。

マネジメント能力を高める8つの方法
  1. 経営視点を養い、視座を高める
  2. 自分の考えをメンバーに伝え、理解を促す
  3. コミュニケーションを意識し、信頼関係を築く
  4. メンバーのスケジュールを把握し、進行管理をおこなう
  5. メンバーの思考・存在を受容する
  6. 分析力・課題解決能力を高める
  7. プロジェクトマネジメントスキルを高める
  8. ストレスを解消する

経営視点を養い、視座を高める

管理職としてチームの使命を理解し、目標設定をおこなう際に重要なのが「視座を高め経営視点を養うこと」です。

経営側の視点が備わっていないと、的外れなミッションを掲げてしまい舵取りが不安定になることが考えられます。

経営視点は、自分のポジションより高い視点での考察がポイントです。経営者や上司、取引先が何を求めているのか、業務やプロジェクトの目的や目標は何なのか、それぞれの立場で考えていきましょう。

視座を高めることで最終的な目標が明確となり、新たな発想でより高い成果をもたらすことにつながります。

自分の考えをメンバーに伝え、理解を促す

チームの目的や目標が明確になったら、「しっかりと考えをチームに伝え理解してもらうこと」に取り組みます。自らの考えを伝えることで部下との共通認識が生まれ、まとまりのあるチームを作ることができます。

部下に業務を依頼する場合はただ指示するのではなく、業務の目的や考えも添えることで業務に取り組む価値を見い出しやすくなります。部下自身も、問題を意識した上で業務に取り組めるため、達成感を得られるでしょう。

また、日頃から抱えている課題や問題はチームへの共有を心がけます。管理職側が包み隠さず伝える姿勢を示せば、部下はチームの一員として承認されていると感じます。

よりよいチーム形成のためにも、自ら発信することを意識しましょう。

コミュニケーションを意識し、信頼関係を築く

相手との「コミュニケーションを意識して、信頼関係を築くこと」も重要です。

具体的には、相手の話すトーンに合わせて反応したり、相手の言葉を繰り返すような相槌などを加えたりするとよいでしょう。途中で口を挟まず、最後まできちんと話を聞くことも大事な要素です。

相手に合わせたコミュニケーションを実施することで、部下は上司に対して自分の話をしっかり聞いて理解してくれる存在だと認識します。

日々の積み重ねで培われた関係は、ミーティングにおいて活発な意見交換を生み出すほか、問題発生時も早期の相談につながるでしょう。

メンバーのスケジュールを把握し、進行管理をおこなう

管理職として業務全体を把握し、優先順位を見極めていくためには「部下一人ひとりのスケジュールを把握し、進行状況を管理すること」が必要です。

部下のスケジュールに応じてタスクの偏りを防ぎ、作業の再分配をしてチーム全体の業務を円滑に進めていきましょう。

スケジュール把握には、日々の業務を見直す仕組み作りがおすすめです。進捗を管理・共有できる管理ツールの導入など、取り入れやすいものを検討しましょう。

日頃から、業務に対する不安や悩みを抱えていないか声かけをしていき、業務の圧迫を未然に防ぐことも効果的です。

メンバーの思考・存在を受容する

マネジメントを的確に進めていくためには、「部下一人ひとりの思考や存在を受け入れ、認めていくこと」が不可欠です。

ミーティングの場では、部下の意見を聞き、どう感じているかを発言できる機会を設けましょう。

他にも、挨拶や名前を呼ぶ、相手の服装・髪型などの変化に気付き声をかけていくなども、相手に存在承認を与えることになり効果的です。

部下が存在を認めてもらえたと感じると、チームでの居心地がよくなりリーダーへの信頼感も高まります。

分析力・課題解決能力を高める

「分析力・課題解決能力を高めること」は、トラブル発生時の対処法として効果的です。

業務の現状を把握した際に、このまま進んでもよいのか見極めるためにも必要なスキルとなるでしょう。

具体的なプロセスとして、まず問題の根本原因を捉えた上で、解決策と解決までの道筋を計画します。計画後は、時間とコストを相対的に判断し、優先度の高い方法を実行しましょう。

解決策の考察時は「MECE」「ロジックツリー」などの活用がおすすめです。問題を細分化しやすくなり具体的な方法を見出せます。

プロジェクトマネジメントスキルを高める

業務を滞りなく進めるためには「プロジェクトマネジメントスキルを高めること」が有効です。

プロジェクトマネジメントスキルとは、プロジェクトの達成に向けて品質・コスト・納期を適切にコントロールする力を指します。

このスキルを向上したい場合、他者の視点に立ち状況を観察するポジションチェンジの考えを取り入れましょう。

他者とは、チームメンバーやクライアント、エンドユーザーなどが該当します。普段と違う立場で物事を捉えることは、新たなアイディアの創出に役立つでしょう。

ストレスを解消する

他者のマネジメントをおこなう際に気をつけたいことは、自身の現状にも目を向けて「ストレスを解消すること」です。

リーダー自身がストレスを抱えていては、気持ちに余裕がなくなり周囲に気を配ることは難しくなります。良好なチームワークを形成していくためにも、ストレス解消を心がけましょう。

例えば、業務でストレスを感じている場合には、理想と現実のギャップを捉え、目標の見直しなどをおこなうことがおすすめです。リーダーの形は様々であると認識し、チームが無理なく業務を遂行できる環境づくりを優先しましょう。

リーダー自身がストレスを溜めにくくなることは、部下が同じ悩みを持った際に具体的な助言につながり、ストレスケアにも役立ちます。

マネジメント育成におけるカッツモデルとは

カッツモデルとは、管理職の育成に焦点を当てたマネジメントモデル。カッツモデルでは、役職に応じて求められる能力を以下3つの枠組みに分類しています。

カッツモデルにおける3つの枠組み
  1. テクニカルスキル(業務遂行能力)
  2. ヒューマンスキル(対人関係能力)
  3. コンセプチュアルスキル(概念化能力)

管理者は自らの専門知識だけでなく、上記3つのスキルを身に着けておく必要があり、各スキルの求められるバランスは、役職によって異なります。

マネジメントを成功させるポイント

日々変化の大きい現代において、企業が成長していくためにはマネジメントの成功が不可欠です。マネジメントを成功させる4つの具体的なポイントをご紹介します。

  1. 情報共有を意識的におこなう
  2. 評価制度を見える化する
  3. 細かすぎる指示は避ける
  4. 現場の声を客観的に捉える

(1)情報共有を意識的におこなう

チームで業務をおこなう際は、些細な情報であっても意識的に共有していくことが重要です。

情報共有は部下からの一方通行ではなく、リーダーからも業務に関係のあることは必ず伝えるようにしましょう。

一方で、情報共有にはルール設定が不可欠です。情報だけが行き交うと業務に支障をきたすため、共有すべき情報の内容や方法を明確にしましょう。

(2)評価制度を見える化する

部下のモチベーションの維持や向上のためには、評価制度の見える化も不可欠です。

数値で見える成果は分かりやすいですが、数値で表せない成果や実績に対しても、公平に評価できる仕組みを取り入れることが重要です。

評価制度の可視化は、誰が見ても理解できるよう具体的に示して共有しましょう。評価が可視化できれば評価の偏りを防ぎ、適切な人材配置を実現できます。

(3)細かすぎる指示は避ける

部下の目標が定まった後は、細かすぎる指示は避け、見守る姿勢を心がけましょう。細かい指摘は、部下から考える機会を奪い成長しにくい環境となります。

部下自身が考え意思決定を任せる環境を整えることは、部下の成長につながります。困りごとやトラブルが生じていないかの状況は把握しつつ、必要に応じたサポートをおこないましょう。

(4)現場の声を客観的に捉える

現場からの声にきちんと耳を傾けることは大切ですが、一方的な情報に振り回されないようにしましょう。

管理職は、短期的かつ長期的なスパンで、課題を客観的に捉えながらマネジメントすることが求められます。

広い視野で落ち着いて物事を捉え、現場から一歩引いて対応することで、効果的なアイデアも生まれやすくなるでしょう。

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まとめ

マネジメント能力は、円滑な業務遂行に欠かせない要素はもちろん、チーム内の良好な人間関係構築においても重要な役割を担います。

また、様々なスキルが総合的に培われて初めて能力を発揮するのが特徴です。

そのため、すぐに身に付くものではなく、トライアンドエラーを繰り返しながら日々の積み重ねで鍛えられていくものと捉えることが重要です。

マネジメントにつまずいた際は、今回の記事を参考に自分の弱点を見極めスキルアップに取り組みましょう。

採用×教育チャンネル「HRドクター」の記事でも、マネジメントスキルを身に付けることができる研修について解説していますので合わせて参考にしてみてください。

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知恵袋編集部
「人と組織の成長を加速する」というミッションのもと、採用、育成、定着を支援する様々なソリューションをワンストップで提供するカケハシ スカイソリューションズならではの知見をお伝えすることを目的として記事を執筆・編集。社員研修の知恵袋では、人事担当向けに、社員教育全般に役立つノウハウを幅広く取り扱っています。
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