“日本文化として広めていくために、ルールを守って楽しく飼育してほしい”。全国からめだか愛好家が訪れる改良メダカ専門店「めだかの館」

メダカの館に集まる人々

2000年、豊かな自然が広がる広島県廿日市にオープンした改良メダカ専門店「めだかの館」。オープン翌年に黄金色が美しい「黄金メダカ」、そして2004年には鮮やかな朱赤が特徴的な「楊貴妃(ようきひ)」といった改良メダカを次々と生み出してきました。

毎月第1日曜日にはめだかイベント「めだか村メダカ市」を開催しており、全国から詰めかけた多くのめだか愛好家で賑わっています。

今回は、めだかの館を支えるメンバーのひとり、大場貴保さんに話を聞きました。

<めだかの館の公式HPはこちら

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日本文化としてめだかを100年先の未来に残していきたい

たくさんのメダカすくい

「背中全体にラメが散りばめられていたり、ヒレが長かったり、種類によってさまざまな特徴があるんですよね。上から見ても横から見ても楽しめるのは、めだかならではの魅力だと思います」(大場さん、以下同)

現在、めだかの館のオンラインショップ運営を担当している大場さん。手元に届いた商品を開ける瞬間のワクワク感を楽しんでもらえるよう、丁寧な梱包を心がけていると言います。

「輸送中に排泄物で水が汚れないよう餌抜きをしてからパッキングしたり、飼育のコツや水合わせ方法を書いた手紙を添えたり、梱包の仕方もめちゃくちゃこだわっています。特にめだかは急激な温度変化に弱いので、夏は保冷剤、冬場は使い捨てカイロを同封して温度を一定に保つようにしていますね」

めだかの館では、めだかの品質を担保するため1日の発送数を20件に限定しています。

「当店では、9割以上のお客様がオンラインショップでめだかを購入されています。実物を見ないで購入することになるので、背骨が曲がった『背曲がり』はないか、痩せ細っていないか、表現がしっかりと出ているかなど厳しく選別しています。おそらく、他店と比べると発送件数はかなり少ないかもしれません」

水の中で泳ぐオレンジのメダカたち

2004年にめだかの館が発表した「楊貴妃(ようきひ)」は、めだかブームの火付け役となった。

選別する際はめだかの健康状態や体型だけでなく、固定率にもこだわっていると言います。

「固定率とは、親と同じ表現を持った子どもが生まれる割合のことです。品種改良されためだかのなかには固定率が低いものも多く、必ずしも親と似た表現の子どもが生まれてくるとは限りません。」

個体がきれいでも、固定率が低いめだかは販売しないという姿勢を貫き、めだかの品質に強いこだわりを持っています。

「例えば、赤・白・黒3色のコントラストが美しい、雲州三色や三色ラメといった三色めだかは、固定率がとても低いんです。1,000個採った卵から、親魚に似た美しい個体が生まれるのはわずか10匹ほど。固定率が低いめだかは親魚の体色や体型が遺伝しにくいので、繁殖のハードルが一気に上がります。お客様のなかには繁殖を楽しみたいという方も多く、親魚と同じような綺麗なめだかを産ませてみたいと思われている方もいらっしゃるため、固定率や綺麗なめだかにするための方法などを詳細にお伝えできるよう心がけています」

繁殖させるだけでなく、さらに自分好みのめだかを作れることもめだか飼育の魅力だと語ります。

「私がめだかの館で働きはじめてから14年が経ちました。めだか飼育に携わるなかで感じたのは、自分好みのめだかを作れる楽しさ。同じ三色ラメでも、黒の範囲が広い個体や、頭部にのみ朱赤が入る個体など、個体ごとに表現が異なります。交配を繰り返して自分好みの表現に近づけていくのも、めだか飼育の醍醐味ですよね」

めだかは誰でも簡単に繁殖を楽しめる一方で、あっという間に増えてしまうため、管理・維持が難しくなると大場さんは指摘します。

「めだかが一度に産む卵の数は20〜30個前後。4〜10月の産卵シーズン中は毎日のように卵を産むので、繁殖をストップしない限り数千個体単位で卵が増えていくことになります」

増えすぎて飼えなくなった改良めだかの放流が深刻な問題となっています。

「観賞用として販売されている品種改良めだかは、野生に生息する純血種とは異なる特徴を持っています。放流めだかが野生めだかと交雑すると、地域特有の在来種が絶滅してしまうかもしれません」

改良めだかの放流問題を食い止めるべく、同業者やめだか愛好家とともにボランティア団体「改良メダカの放流禁止を考える会」を設立。

「現在、改良メダカの放流禁止を考える会に加盟している約40店舗のめだか屋で、飼育できなくなっためだかの引き取りを無料で行っています。繁殖も楽しみたい方は、生まれた稚魚用の飼育容器や飼育スペースも考えて計画的に行いましょう」

野生めだかと改良めだか、両方の未来を守り、めだかを日本の文化として広めていきたいと大場さんは続けます。

「新型ウイルス感染拡大の影響に伴い、ここ数年でめだか人口は一気に増えました。全国でメダカを飼育している世帯は3.5%※となっていて、犬や猫の次に多いんです。一過性のブームで終わらせず、錦鯉や金魚と並ぶ日本文化として残していきたいと思っています。そのためにも、まずは一人一人がルールを守って楽しく飼育できるよう啓蒙活動にもより一層力を入れていきたいです」

※(出典:一般社団法人ペットフード協会 「令和元年全国犬猫飼育実態調査」

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