メタ認知とは?明日から職場で使える・説明できる具体例で徹底解説

近年、ビジネスの現場でも「メタ認知」という言葉を目にする機会が増えています。

しかし、その言葉の意味を説明するのはなかなか難しいものです。「認知していることについて認知する」と定義されていますが、そう言われてもピンと来ない人も多いでしょう。

メタ認知を理解するには、まず「自分の行動や言動を冷静に見ているもう1人の自分の視点」をイメージするとわかりやすいです。

例えば、仕事中にも以下のような視点で物事を考えた経験がある人もいるのではないでしょうか?

「さっきのAさんのプレゼンはわかりにくかったな…話の順序を変えるとよくなるのに」

「いきなり叱ったのはマズかった。まずは怒りを抑えて、冷静に話すべきだった」

これが、メタ認知です。もともとは心理学用語でしたが、近年ではビジネスシーンでも注目され、人為育成や人事制度などにも組み込まれています。

なぜなら、メタ認知能力が高いことで、さまざまなビジネスシーンでメリットがあるためです。

メタ認知能力が高い人の特徴

  • 協調性が高く、円滑な人間関係を形成しながら業務が行える
  • 仕事の優先順位を付けが早く、マルチタスク能力にも長ける
  • リスク回避やトラブルが起きた時の対処能力が高い
  • 部下への説明が上手い。プレゼンがわかりやすい。
  • 仕事への意欲が高い

この記事ではメタ認知の意味や重要性の他、トレーニング方法もわかりやすく解説します。

「部下の指導でどう言ったらいいか困っている」「メタ認知能力を上げて、もっと仕事ができるようになりたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてください。

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目次

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メタ認知とは「自分の行動を冷静に見つめるもう1人の自分」

「メタ」とは「高次の」や「超越した」という意味という意味で、「高いところか俯瞰した視点で見る」「外側に立って見る」といったことを意味しています。

つまり、メタ認知とは「認知していることを(より高次の視点から)認知する」ということになります

もともとは、アメリカの心理学者ジョン・H・フラベルが定義した心理学用語ですが、近年ビジネスシーンでも注目されるようになってきました。

より詳しく説明すると、メタ認知には「メタ認知指摘知識」と「メタ認知的活動」の2つに分類することができます。次の項目では、それぞれについて解説します。

メタ認知的知識とは?

「メタ認知的知識」というのは、いわゆる一般的(学問的)な知識ではなく「人間(あるいは自分)の認識についての知識」のことをいいます。

具体例をあげて、一般的な知識とメタ認知的知識の違いを確認してみましょう。

一般的な知識 メタ認知的知識
  • 三角形の内角の和は180度である
  • 人間もイルカも哺乳類だ
  • 水は100度で沸騰する
  • 自分の記憶は完璧ではない
  • 計算は複雑になるほど間違いやすい
  • 仕事で大切なことはメモを取るとよい

メタ認知的知識を身につけることは、ビジネスシーンでもとても重要です。

物事を客観的に見て、その場にふさわしい言動を取りやすくなるからです。

例えば「自分の記憶は完璧ではない」と知っているからこそ、部下との認識に相違があったとしても「部下の認識が間違っている」と決めつけることを避けることができます。

もちろん、部下が間違っている可能性もありますが、そうした偏りのない判断をする上でメタ認知的知識は非常に役立ちます。

メタ認知的活動とは?

メタ認知的活動とは客観的に状況を把握したうえで、その改善策を実行することです。

例えば会議の内容が行ったり来たりして定まらなくてモヤモヤしたり、議論が平行線になったりした際、「見方を変えてみよう」と仕切り直すことがあるでしょう。

こうした行動や経験をメタ認知的活動(あるいはメタ認知的行動)と呼びます。

なお、メタ認知的活動は、活動内容から「メタ認知的モニタリング」と「メタ認知的コントロール」の2つのプロセスに分けることができます。

メタ認知的モニタリング メタ認知的コントロール
活動 気づき、予測、点検、評価など 目標設定、計画、修正など
  • なるほど。わかった!
  • 何を言っているのかわからない
  • この考え方は正しいのだろうか?
  • 説得力のある意見にするには、どう組み立てようか?
  • この例はとわかりにくいな。例を変えてみよう
  • 一旦、見方を変えて仕切り直そう

言い換えれば、メタ認知的モニタリングとは現状を客観的に把握すること、メタ認知的コントロールは現状を改善するための活動すること、といえます。

ビジネスの現場で注目!メタ認知能力が高い人の特徴

ここまで、メタ認知について解説してきましたが「なぜビジネスシーンでメタ認知が必要なの?」と疑問に感じている人もいるのではないでしょうか。

ここからは、具体的にメタ認知がどのようにビジネスシーンで活用できるのか、メタ認知能力が高い人の特徴を交えて解説していきます。

メタ認知能力が高い人の特徴

  • 協調性が高く、円滑な人間関係を形成しながら業務が行える
  • いつでも冷静な対応ができ、マルチタスク能力が高い
  • リスク回避やトラブルが起きた時の対処能力が高い
  • 部下への説明が上手い。プレゼンがわかりやすい
  • 仕事への意欲が高い

協調性が高く、円滑な人間関係を形成しながら業務が行える

メタ認知能力が高い人は、自分を含めて組織全体を俯瞰的に捉えることができます

このため、周囲との適切な距離を取ることができ、状況にふさわしい配慮ができるため、円満な人間関係を築くことができます。

また「自身が属する組織・集団でどのような働きを求められているのか」を理解しているため、周囲の人間を上手くまとめられる点もメタ認知能力が高い人の特徴です。

このような特徴からメタ認知能力が高い人は、リーダーや管理職に向いているといえます。

いつでも冷静な対応ができ、マルチタスク能力が高い

メタ認知能力が高いと「なぜこの仕事に取り組むのか」「この仕事で得たい成果はないか」といった業務を遂行する理由・目的を適切に把握できます

このため、イレギュラーが発生しても、マニュアルばかりに気を取られるのではなく「今何をすべきか」を正しく冷静に理解して、適切に対処できることが多いです。

また一時的に業務量が過多になった時でも、各タスクの重要性などをふまえて、優先順位を付けられるマルチタスク能力・集中力の高さもメタ認知能力が高い人の特徴です。

リスク回避やトラブルが起きた時の対処能力が高い

メタ認知能力が高い人は状況を冷静に判断し、何に注意すればトラブルにつながらないかを予め考えて備えるため、リスク回避能力が高い傾向があります

もしミスをしても、再発防止策を考え、今後に生かそうとするため、日々の仕事を通して問題解決能力が養われるケースが多いです。

イレギュラーな事態が生じても、これまでに培ってきた問題解決能力を活用して、「この状況における最善の策は?」と素早く冷静に考え、トラブルに対処できます。

部下への説明が上手い。プレゼンがわかりやすい

メタ認知能力が高い人は、第三者の目線で客観的にものごとを考え、判断できる広い視野があります

このため、部下への説明をしている時でも「これの説明で伝わっているのか?」「話すスピードは早すぎないか?」などを考えることができます。

もし、理解できていないと判断したら「ジェスチャーを交えて話すと興味を持ってくれるだろうか?」「具体例や例えを入れた方がいいだろうか」といったことをその場で考え、説明の改善を試みることもできます。

また、プレゼンなどの準備にも余念がなく、常に第三者目線で考える傾向があるため、説明能力の高い資料の作成も行えます。

仕事への意欲が高い

メタ認知能力が高い人は、仕事に対しての明確なビジョンや自分の将来を見据えているため、高いモチベーションで仕事に取り組めます

また、自分の行動はもちろん、他者に対しても「なぜこの仕事が必要なのか」を説明できるため、チーム全体のモチベーション向上にも繋がります。

仕事をしながら自分やチームの欠点を見つけることができ、より効率的かつ正確に仕事が進められる工夫も行うことができます。

メタ認知能力を高めるには?2つの習慣と2つのトレーニング方法

これまでにお伝えした通り、メタ認知能力はビジネスシーンでもとても役立つ能力です。また、後天的な能力なので、誰でも身につけたり高めたりすることができます。

ただし、一朝一夕で身に付くものではありませんので、メタ認知能力を高めるには継続して鍛えていく意識が大切になります

ここからは、メタ認知能力を高めるための習慣や、トレーニング方法についてご紹介します。

メタ認知を高める習慣

  • セルフモニタリング
  • コントロール

メタ認知を高めるトレーニング

  • ライティング
  • マインドフルネス

メタ認知を高める習慣:セルフモニタリング

「セルフモニタリング」とは、自身の「思考」「行動の傾向」「短所・長所」などを客観的に見ることです。

弱みや課題から逃げず、冷静かつ的確に自身を分析することで、普段は無意識に行っていることにあえて意識を向けて、言語化して分析することです。

例えば、あなたが他人に対して強い怒りを感じたとします。

普段は無意識に済ませている人も多いでしょうが、意識的に一度立ち止まって「なぜ自分が怒っているのか」を冷静に観察・分析してみましょう。そして、その感情が周囲の人とかけ離れていないのかの確認も行います。

しっかりと言語化できるようになれば、メタ認知能力が向上している証拠ですし、原因を突き止めれば次に取るべき行動も明確に見えてくるようになるでしょう。

こうした「一度、意識的に立ち止まって冷静に考える」を日々の習慣にすることで、メタ認知能力は養われていきます。

メタ認知を高める習慣:コントロール

「コントロール」とは、セルフモニタリングで得た情報を踏まえて、その対処法を考えて行動に移すことです。

例えば、強い怒りを覚えた原因が、セルフモニタリングの結果、上司の態度だったとします。

この場合は「今後は上司と接触する機会を最低限にしよう」など、今後の行動を改善できます。

このような「コントロール」と「セルフモニタリング」を繰り返すことで、感情的になったり後悔するような言動を取ったりする可能性を減らせます。

セルフモニタリングとコントロールを習慣化すると、意識しなくても的確な判断や対応ができるようになり、さらにメタ認知能力が向上するでしょう。

メタ認知を高めるトレーニング:ライティング

「ライティング」とは、ネガティブな感情を書き出してメタ認知能力を高めるトレーニングのことです。

言語化することで自身を客観視できるほか、精神の安定効果も期待できる点などから「ライティングセラピー」と呼ばれることもあります。

その日に抱いた感情を日記に書いたり、X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSに投稿することも同様の効果があります。

さらに、SNSは他人の反応が見れるため、「第三者の価値観は自分とどう違うのか」などを把握でき、状況にふさわしい言動が取れるようになるでしょう。

つい三日坊主になりやすいですが、ライティングの効果は一朝一夕に実感しづらいので、継続して行うことが大切です。

メタ認知を高めるトレーニング:マインドフルネス

「マインドフルネス」とは、身体の五感に意識を集中し、過去の経験や先入観などにとらわれることなく、今この瞬間を知覚して受け入れる心のトレーニング法です。

マインドフルネスはGoogleやYahooが先駆けとなった取り組みで、メタ認知能力の強化強化だけではなく、ストレス軽減の効果も期待できるため、導入する企業が増えています。

マインドフルネスの方法

  1. 背筋を伸ばして座る。目は軽く閉じるか、薄く開けて斜め前を見る。
  2. 息を吸ったときに、おなかや胸が膨らむのを感じながら、心の中で「膨らみ、膨らみ」とつぶやく。呼吸は意識的にコントロールするのではなく、いつも通りの呼吸を心がける。
  3. 息を吐いたときに、おなかや胸が縮むのを感じ、心の中で「縮み、縮み」とつぶやく。
  4. 「2」と「3」を繰り返す

マインドフルネスでは、「何も考えないこと」が重要なポイントになります

もし何かを考えてしまっても、「こんなことを考えていた」と自身を客観的に眺めるような感覚でその思考を手放し、再び呼吸に意識を集中させましょう。

これにより「自分は何を考え、どう感じているのか」を客観的に捉えられるようになります。

何も考えないというのは、意外と難しいものです。雑念が浮かんできた場合は「雑念、雑念」と心の中でつぶやき、「戻ります」と言って再び呼吸に意識を戻しましょう。

マインドフルネスは1日10分ほど行い、慣れてくれば時間をのばしていきましょう。

ビジネスシーンにおけるメタ認知の具体例

ここからは、ビジネスシーンにおけるメタ認知の活用方法を具体例で解説します。

メタ認知能力を使って自身の課題を解消する例と、他者の状況を改善する例をご紹介するので、異なるシーンでどのようにメタ認知能力を活かせるのか、イメージしやすくなるはずです。

ケース1:仕事の悩みの中にある「本当の問題」に気づくことができる

メタ認知のプロセスを使うことで、本当の原因に気づくことができます。

この例のように、「会社に行きたくない理由は自分の能力不足ではなく、会社の人間関係によるものだったのか」と気づければ、適切な対処法を見つけやすくなるはずです。

このため、今後転職を進める際も「職場環境や人間関係に注目するべきだ」などの行動につなげられます。

また当初の認識である「ミスをする自分は能力が低い」との悲観的な考え方を改め、「自身に合う環境で働けば活躍できる」と能力に自信を持てる点も、メタ認知活用のメリットです。

ケース2:認識を改めることで業務意欲を高めることができる

部下にやる気が見られず、「どのように指導すれば良いだろう…」と困っている状況でも、メタ認知を活かすことができます。

意欲は「欲求(~の仕事をしたい)」「感情(~の仕事が好き)」「認知(~の仕事には価値がある)」の3つの要素からなります。

中でも仕事の場合は、「認知(価値がある)」が最も重要になりますが、その有用性の認知は「将来の自分に役立つ」ということになります。

もちろん、すべての仕事に価値を実感することは、それほど容易なことではありません。

その仕事を与える立場にある人は、仕事のHow to以上に「この仕事がなぜ必要なのか」を併せて教えることが大切です。

また、仕事を教える上司にとっても「なぜこの仕事が必要なのか」を考え、言語化することは用途考察課題や創造的思考力を高めるトレーニングにもなります。

各業務の価値・重要性を適切に把握しておけば、業務フローの改善や部下の評価をする際に役立つため、メタ認知能力を活用しながら、より良い仕事ができるようになるでしょう。

この記事のまとめ

メタ認知を上手く活用すれば、「部下や上司への接し方」「より生産性の高い働き方」などを把握しやすくなるため、仕事の生産性を高められます。

協調性・判断力・説明力の向上に役立つ他、モチベーションアップにも役立つメタ認知を活用すれば、あなたの市場価値はさらに高まるでしょう。

この記事で紹介したメタ認知能力を高める習慣とトレーニングを継続すれば、あなたの能力はさらに向上します。

日々の仕事や生活で少し意識するだけでもメタ認知能力を高められるので、できることから取り組んでいきましょう。

<本記事の参考文献>

  • 三宮真智子,メタ認知 あなたの頭はもっとよくなる:中公新書ラクレ
  • 三宮真智子,メタ認知で〈学ぶ力〉を高める:認知心理学が解き明かす効果的学習法:北大路書房
  • 浜田百合 庄司裕子(中央大学),メタ認知と価値創造の関わりについて考える:第 51 回自動制御連合講演会 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacc/51/0/51_0_272/_pdf/-char/ja
  • 今城志保 藤村直子 佐藤裕子(リクルートマネジメントソリューションズ),転職後の適応に対するプロアクティブ行動と経験活用の効果 https://www.recruit-ms.co.jp/research/thesis/pdf/2022JAIOP.pdf

※ページ内の求人数は職種別に集計しています。

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