離職防止

新入社員がすぐ辞める理由とは?対策や選考での見極め方を紹介

「新入社員がすぐ辞める」ことは、近年多くの企業で深刻な課題となっています。

早期離職を防ぐためには、企業側が新入社員の「辞める理由」を知り、離職しないための策を講じる必要があります。

この記事では、新入社員が会社を辞める理由について詳しく解説するとともに、新入社員を定着させるための対策や早期離職を防ぐために企業が取り組むべきポイントについてもご紹介します。

新入社員の3年以内の平均離職率

2024年に厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」によると、入社後3年以内に離職した新入社員の割合は以下の通りです。

学歴 3年以内離職率(平均)
2021年 2020年 2019年
大学卒 34.90% 32.30% 31.50%
短大卒 44.60% 42.60% 41.90%
高卒 38.40% 37.00% 35.90%

(参照:厚生労働省「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」)

いずれの学歴も、2019年から3年連続で離職率が上昇していることがわかります。

新卒社員がすぐ会社を辞める理由ランキング

2018年度に内閣府が発表した「平成30年版子供・若者白書(全体版)」によると、新卒社員の退職理由は以下の通りです。

新卒社員がすぐ会社を辞める理由ランキング
(出典:内閣府「平成30年版 子供・若者白書(全体版)『特集 就労等に関する若者の意識』」)

上位5つの理由について、以下で詳しく解説します。

退職理由1位:仕事内容が自分に合わなかった

新入社員の退職理由として最も多かったのが、仕事内容が合わなかったというものです。

入社後に配属された仕事が希望と異なっていたり、自分に適していなかったりすると離職につながってしまいます。

思い浮かべていた状況と実際の状況に差が生まれることを「リアリティギャップ」と呼びます。

仕事におけるリアリティギャップは、モチベーション低下を招き早期離職につながるリスクがあります。

内閣府のおこなった調査では、43%もの人がこの理由で退職しているのに加え、最も重要な理由として挙げた人も最多となっていることから、仕事を続ける上で重要な要素と言えます。

この理由での離職を防ぐためには、入社前後の研修期間に、本人のスキルや価値観、興味関心、やりがいなどについて理解できる場を設けるのがおすすめです。

社員一人ひとりの適性や意向を加味した配置をおこなうことで、新入社員のリアリティギャップを減らし、早期離職の抑止に期待できるでしょう。

退職理由2位:人間関係が良好ではない

会社での人間関係がうまく築けないのも、退職理由の一つです。

職場の同僚や先輩、上司とのコミュニケーションに問題が生じると、ストレスとなり辞めてしまうことがあります。

また、最悪の場合、うつ病などの精神疾患を発症してしまい働けなくなる可能性もあります。

人間関係に不和が生じる理由は、コミュニケーションの不足や誤解、価値観の違いなどさまざまです。

職場で人間関係が悪化している場合は、研修でコミュニケーションスキルの向上を図る、業務以外での交流の機会を設けるのも一案でしょう。

新入社員だけでなく、先輩社員や上司に対してもおこなうことによって、円滑な人間関係の構築に期待できます。

退職理由3位:労働時間や休日の条件が悪かった

労働条件の悪さも、新入社員の離職理由となります。

労働時間が長い、休日が取れないなど、ワークライフバランスに悪影響を及ぼすと社員の不満につながってしまいます。

昨今は働き方に対する価値観の変化により、以前にも増してワークライフバランスが重視されています。

そのため、企業は自社の労働条件や環境を見直すことで人材定着を図る必要があるでしょう。

また、入社前に労働条件について十分な説明を得られていない場合も、早期離職を招いてしまいます。

残業や休日出勤などの有無、その他の待遇については、契約時にしっかりと説明しておくことが重要です。

退職理由4位:賃金が希望額より低かった

新入社員の離職理由として、賃金の低さも挙げられます。

新入社員のうちは成果を上げることが難しく、評価につながりにくいため給与が上がらないのが一般的です。

給与と評価は社員のモチベーションに影響する重要な要素でもあります。
人事評価の際には、丁寧なフィードバックをおこなうなどフォローすることで早期離職の予防に期待できます。

退職理由5位:ノルマが厳しかった・責任が重かった

「ノルマが厳しい」「責任が重い」など、業務における環境も新入社員が辞める理由になってしまいます。

ノルマや責任のある業務は、達成できれば自信となりモチベーションアップにつながる一方で、あまりにも高すぎるノルマや重責はプレッシャーとなりストレスの原因となる場合があるため注意が必要です。

ノルマや責任のある業務を与える際には、目標だけを提示するのではなく、その目標を掲げた理由や目的についてもしっかりと伝えるようにしましょう。

新入社員が退職を考えている時の3つの兆候

退職を考えている新入社員の特徴について詳しく解説します。

退職を考えている新入社員の特徴
  • 面接に備えて普段よりも服装が整っている
  • 他の社員とのコミュニケーションが減少した
  • 良好だった勤務態度が急に悪化した

面接に備えて普段よりも服装が整っている

新入社員の身だしなみが普段よりも整っている場合、退職を考えている可能性があるため注意が必要です。

普段からネクタイをしていなかったり、シワだらけのスーツを着用していたりする新入社員が、突然身だしなみを整えだしたら、転職活動をおこなっているかもしれません。

様子を注視して、面談をおこなうなどフォローが求められます。

他の社員とのコミュニケーションが減少した

新入社員のコミュニケーションが減るのも、新入社員の退職の兆候として挙げられます。

以前よりも口数が減る、目を合わせないなど、コミュニケーションを取ろうとしない場合、退職を考えているかもしれません。

退職することへの後ろめたさを感じて他の社員と交流を避けていたり、悩みやストレスによって精神的に不安定になっていたりする可能性が考えられます。

良好だった勤務態度が急に悪化した

新入社員の勤務態度が急に悪化した際も注意が必要です。

モチベーションの低下により、やる気を喪失している可能性があります。
モチベーションが下がってしまう理由は人それぞれです。

なにが原因かを面談などを通じて洗い出し、フォローしながら改善していくことが必要です。

このように、退職を考えている新入社員には兆候が見られる場合があります。

周囲の人が気づいた時点でフォローすることにより、早期離職を防げる可能性もあります。

ここで挙げた兆候に気づいた際は、早めの対応を心がけましょう。

新入社員を定着させるための対策

新入社員がすぐ辞めないためにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、新入社員を定着させるためのポイントを3つご紹介します。

  • 研修で社会人としての基本スキルを教える
  • 社員の心の強さを鍛える
  • 指導者の教育スキルを上げる

研修で社会人としての基本スキルを教える

新入社員に研修を実施して、社会人としての基本スキルを習得してもらうのも人材の定着に効果的です。

新入社員の場合、学生から社会人としてのマインドセットが求められます。

社会人としての常識や心構えといった基本スキルを身につけることで、新入社員が入社後に感じるイメージギャップを減らせるでしょう。

社員の心の強さを鍛える

新入社員の心(メンタル)の強さを鍛えるのも、人材定着に役立ちます。

離職理由の上位にもあった「人間関係」「仕事の適性」「仕事の責任」などは、メンタルが強ければ、ストレスに感じることなく前向きに対応できる可能性があります。

そのため、メンタルヘルスやストレスの適切な対処法を学ぶメンタルヘルス研修や、コミュニケーションスキル研修など、メンタルの安定に役立つ研修を実施しましょう。

また、相談窓口の設置や、メンター制度の導入など、気軽に相談できる環境の整備も効果的です。

社員のメンタルヘルスは、企業の人材定着や生産性に直結するため、ストレス管理は個人の問題だと放置せず適切に対処することをおすすめします。

指導者の教育スキルを上げる

新入社員を定着させるためには、指導する側の教育スキルを磨くのも有効です。

適切なマネジメントがおこなわれていないと、新入社員の悩みに気付けないだけでなく、不満やストレスの原因になりかねません。

新入社員の教育係や受け入れる部署の管理職に対して指導力向上やマネジメントスキル向上の研修をおこないましょう。

現場まかせにせず、組織にフィットした教育体制の構築により、新入社員の早期離職防止に期待できます。

すぐ辞める新入社員を選考で見極めるには

すぐ辞める新入社員を採用の選考段階で見極めることはできるのでしょうか。

新入社員の早期離職を防ぐために、企業が取り組むべきポイントについて解説します。

応募者が企業にどのような条件を求めているか把握する

すぐ辞める新入社員を見極めるには、選考プロセスにおいて応募者が企業に、「どのような条件を求めているか」を把握することが求められます。

応募者の希望と企業側の条件にギャップが生じると、入社後の不満につながり早期離職の原因となり得ます。

給与や待遇面などの労働条件だけでなく、新入社員が入社後にどのようなキャリアプランを描いているのかについても確認する必要があります。

「希望する業務につけなかった」「思い描くキャリアが築けない」などの事態を防ぐために、選考時に応募者の希望を把握することでギャップを減らせるでしょう。

適性検査を導入する

選考段階に適性検査を導入するのも、新入社員のミスマッチを減らす有効な方法の一つです。

適性検査とは、応募者の能力や性格、特性などを客観的に測定できる検査のことです。

自社とのマッチ度を測り、人材の職務適性を判断した上で適材適所に配置するために多くの企業で導入されています。

面接だけでは把握しにくい人物像を可視化できるため、企業文化にフィットした人材の見極めにも効果的です。

AIを導入する

AIツールの導入は、選考プロセスにおける新入社員の見極めに役立ちます。

職務経歴書や自己PR文の内容をAIで分析して応募者を選別したり、適性検査や面接にAIを活用したりすることにより効率的かつ高度な選考がおこなえるでしょう。

また、AIに自社の優秀な社員の特性やキャリアパスなどを学習させ、応募者のデータと比較することにより企業文化や風土とのマッチ度の可視化もできます。

能力だけでは測れないカルチャーフィットの見極めにも役立ち、入社後のミスマッチによる早期離職防止につながります。

ただし、AIはデータ分析の手間を省いてくれるものの、万能ではありません。

あくまで補助ツールとして活用し、「最終的な判断は人がおこなう」ことを心がけましょう。

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新入社員の採用・人材定着はお任せください採用・育成・定着を支援するさまざまなソリューションをワンストップで提供するカケハシスカイでは、新卒採用全般の採用支援サービスの他、「離職を防止したい」「新入社員に初期教育をしたい」「管理職のマネジメントスキルを上げたい」など、企業が抱えるさまざまな課題に沿った研修プログラムに対応しています。

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支援内容や他サービスについて詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

この記事では、新入社員がすぐ辞める理由や新入社員を定着させるためのポイントなどについてご紹介しました。

膨大なコストと手間をかけて採用した新入社員がすぐ辞めてしまうのは、企業にとって大きな損失です。

新入社員の早期離職を防ぐには、選考時の見極めや入社後の研修、フォロー体制の構築だけでなく、指導する側のマネジメントスキル向上も不可欠です。

今回の記事を参考に、自社の新卒採用を見直して新入社員の定着率向上を目指しましょう。

監修者情報
知恵袋編集部
「採用と育成の支援をとおして、人と組織の可能性を耕す。」というミッションのもと、人材施策の軸となる採用から育成までの支援をおこなうカケハシスカイならではの知見をお届けする記事を執筆・編集。離職防止の知恵袋では、人事担当向けに、社員の定着・離職防止に役立つノウハウを幅広く発信しています。
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