一念発起で脱サラしハーブ農園「ナマケモノの木」を開園!自分らしく生きる道を選んだ店主の挑戦

ハーブ農園に立つ店主

2023年1月、愛知県半田市にハーブ農園「ナマケモノの木」がオープンした。この農園では、農薬や化学肥料に頼らない自然農法でハーブを育てている。

「夏場は放っておくと雑草が生えて大変ですが、雑草も肥料になるので捨てずに堆肥化して使用しています。自然農法を参考にした栽培方法で育てたハーブは、香りも味わいも格別です」

店主の吉野健三さんはそう言って笑った。1年前までは、サラリーマンとして働いていた吉野さんが、安定した仕事を辞めてハーブ農園を立ち上げた理由に迫った。

<ハーブ農園 ナマケモノの木の公式HPはこちら

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地に足がついた生き方がしたい

色々なハーブ

「ナマケモノはのんびりと生きているように見えるけど、実は一生懸命生きている。歩みはゆっくりでも着実に前に進みたい。そして、いつかはそのナマケモノを支えている木のように大きくてあたたかい存在になりたい。そんな想いから『ハーブ農園 ナマケモノの木』という名前をつけました。自分のペースで、自分らしく生きるナマケモノは、もしかしたら私たち人間が見習うべき生き方なのかもしれないですね」

起業前、営業職として多忙な日々を送っていた吉野さんだったが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う自粛要請で休業を余儀なくされた。さらに、働きながら続けていた音楽活動もなかなか思うようにできなくなった。

「自分と向き合う中で感じたのは、『このまま会社に勤める生活のまま人生で終わってよいのだろうか』『今の生活は本当に自分らしい生き方ができているのだろうか? このままでよいだろうか?』という疑問と不安です。いつか起業したいと思っていましたが、会社を辞める勇気もなくただ時間だけが過ぎていきました。コロナ禍を機に、この先どう生きていくか自分を見つめ直す良い機会となりましたね」

自宅での時間が増えたことで、吉野さんの生活にも変化が訪れた。

ハーブの入ったカゴを持つ店主

「ある日、大好きなパクチー(コリアンダー)をたくさん食べたいと思い、庭で栽培してみました。毎日の水やりや成長するパクチーの様子を見ることが日課となり、私にとって特別な時間になっていたんです」

蒔いた種から芽が出るワクワク感や、収穫したときの喜びはひとしおだ。家庭菜園を通じて、自分の手で作物を育てる喜びを知り、自然とのつながりを心地よく感じるようになっていった。

「なかなか思うように成長しなかったりと苦労して育てたパクチー。初めて食べた時の喜びは今でも忘れられません。そして、その時に、自分が生産したものを誰かが食べてくれて喜んでもらえる、そんなことが自分の仕事にできるといいなと考えるようになりました」

自分で栽培したパクチーを知人や同僚に食べてもらおうと試みるも、反応はイマイチだった。

「パクチーは独特の風味があり好みが分かれるため、『パクチー農家』は現実的ではないと感じました。そこで、ミントやレモングラスといった他のハーブも生産して販売することにしたんです。ただ物を仕入れて売るだけではおもしろくない。せっかくなら、ハーブも自分で育てたものでと思いました」

ハーブ農園の全景

数種類のハーブを自宅庭で育てるとなるとスペースに限界がある。そこで、吉野さんは広さ500平米の農地を借りてハーブの栽培を始めた。勤めていた会社を退職し、のどかな風景が広がる愛知県半田市を再出発の地として選んだ。

「農園がある愛知県半田市は、豊かな自然が広がる静かな場所です。2021年の秋ごろから休耕地だった畑の草刈りやハーブ栽培に適した土壌づくりなど、農園オープンに向け準備を開始しました」

休耕地の整備を進めながら、吉野さんは何度も役所へ足を運んだ。起業するための許可や手続きについて聞く必要があった。

「業界知識も経営ノウハウもネットワークもなく、まさにゼロからのスタートでした。一番苦労したのが資金面です。就農準備資金や経営開始資金補助金など、新規就農者が利用できる助成金はありますが、世帯所得や農地面積など細かな条件があります。助成を受ける場合、就農予定時の年齢を49歳以下としているものがほとんどで、50歳を超えようとしていた私には利用することができませんでした」

そこで、吉野さんは「ハーブ農園 ナマケモノの木」をオープンするための資金をクラウドファンディングで募った。集まった支援金は、草刈り機や小型粉砕機、食品乾燥機、加工用作業台など、運営に必要な機器の購入に充てたという。

「つい最近まで、4つのアルバイトを掛け持ちしながら生計を立てていました。会社員の時とは違い、生活を維持するためには本業の農業との兼ね合いを見ながら隙間時間は遊ぶ暇もなく働く必要があったんです」

体力的に負担の大きい農業と複数のアルバイトを掛け持ちしながらの生活は、想像以上に大変だった。

「本業に専念し事業を拡大させていくためには、生活スタイルをシフトしていく必要がありました。ありがたいことに、最近はマルシェやイベントへの出店をきっかけに少しずつお客様が増えています」

一人で農園を運営しながら食べていける方法はないか。模索するうちにたどり着いたのが、第6次産業というスタイルだった。第6次産業は、生産・加工・販売を一体的に行うことで、農家の所得向上や雇用の創出、地域の活性化などを図る取り組みだ。

ハーブティーのパッケージ

「うちの場合、ハーブの生産から販売までをすべて1人で行う小規模な第6次産業に取り組んでいます。この形態であれば小規模から始められ、安心・安全な商品をお客様に直接届けることができます」

現在、農園ではレモングラスやカモミールなど数種類のハーブを栽培。収穫したハーブは、自社で加工しハーブティーやドライハーブとしてオンラインや店頭などで販売している。フレッシュハーブの購入も可能だ。

「うちが一番力を入れているのは、和ハッカというミントです。ペパーミントやスペアミント、モヒートミントなど、数十種類以上のミントの中で、和ハッカはもっともメントール含有量が高いといわれています。爽やかな香りとスッキリとした味わいで、お客様から人気の高い商品のひとつです」

色とりどりのハーブ

また、日本ではあまり見かけることがないアーティチョークの蕾(フレッシュ)の販売や葉の部分をシングルハーブティーにして販売している。

「アーティチョークは、ミネラルやビタミン、食物繊維などを豊富に含むスーパーフードとしてお馴染みの食材です。ハーブティーにして飲むと、緑茶のようなほろ苦さとほのかな甘味を楽しめます」

珍しいハーブの生産に力を入れ、他店と差別化する取り組みにも力を入れている。農園をオープンしてから1年が過ぎ、現在、吉野さんは今後の意気込みをこう語ってくれた。

「ハーブが体に良いもの、というのはみなさん知っているはずです。でも、実際は『おいしくない』『飲みづらい』といった理由で抵抗を持つ方も多いと思います。当店は、新しいハーブや飲みやすいブレンドハーブティーをお客様に提供していきたいですね。そして、ハーブティーに馴染みのない方や苦手意識を持たれている方にも、おいしいと喜んでもらえるような製品を作り続けていきたいと思います」

農園で栽培されているハーブ

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