新入社員育成

OJT研修とは何?意味やメリット、デメリット、期間目安、効果的な進め方を解説

OJT研修とは何?意味やメリット、デメリット、期間目安、効果的な進め方を解説

新人研修の一環として導入されることが多い「OJT研修」。

OJT研修とは、上司や先輩が指導役となり、部下や後輩が実務を通して知識やノウハウを獲得できる施策のことを言います。

導入を検討しているものの、どのような仕組みで実施すればよいのか方法や進め方がわからず、導入に踏み込めていない企業もあるのではないでしょうか。

今回の記事では、OJT研修におけるメリットや導入フローに加え、うまくいかない時の対処法などについて解説していきます。

目次

そもそもOJTとは

OJTとは、「On-the-Job Training」の略称で、現場で実践しながら必要な知識やスキルを身につける研修手法のこと。

新入社員や若手社員を対象に、経験豊富な先輩社員がトレーナーとして実際の業務を指導するのが一般的です。

業務をおこないながら学ぶスタイルなので、ただ説明を聞くだけの研修などと比較すると即戦力としてより実践的な知識を習得できます。

マニュアルや座学だけでは身につきにくい知識やスキルを伝えられるのが大きな特徴です。

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OJTとOff-JTの違い

OJTとよく比較されるキーワードにOff-JTがあります。

「Off-the-Job Training」の略称で、OJTとは反対に実際の業務を離れておこなう教育手法のことを指します。
新入社員研修や管理職研修、個人のスキルを高めるための研修など、様々なOff-JTがあります。

対照的なOJTとOff-JTですが、実際の教育現場では2つを組み合わせておこなうことが多いです。

Off-JTを通じて基本的な知識をインプットしてから、OJTで実践するアウトプットの場を設けることで、業務に必要な知識の定着を促し研修効果を高められます。

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OJT研修とは

OJT研修は、実際に業務を進めながら育成をおこなう方法で、早期業務習得を目的に、新人研修として導入している企業が多くなっています。

指導役は同部署の先輩社員や上司が担い、新入社員や他部署から異動してきた社員が指導の対象者となります。

実務をおこないながら先輩や上司のアドバイスを受けられるため、効率よく知識や技術を身につけられると考えられています。

OJT研修における3つの原則

OJT研修は、3つの原則を念頭に置いておこなうことで、質を保てるとされています。その3つの原則についてご紹介します。

OJT研修での3原則
  • 意図的:トレーニングをおこなう目的や目標を明確にすること
  • 計画的:十分に企てられた育成計画に基づいてトレーニングがおこなわれること
  • 継続的:反復的、段階的に継続したトレーニングがおこなわれること

OJT研修をなぜおこなうのかを明確にすることで、指導する側も指導を受ける側も能動的に研修に参加するようになります。

また、単発な指導とならないよう、育成計画を十分に立て、反復的かつ段階的に継続したトレーニングをおこなっていくことが重要です。

OJT研修を実施する目的

OJT研修は、新人が実務を通じて成長する重要な手段です。
実施の目的は様々ですが、主なものとして以下の3つが挙げられます。

OJT研修を実施する目的
  • 新人の早期育成
  • 業務効率の向上
  • 職場への定着率向上

新人の早期育成

職場に早期に適応し、現場の戦力となってもらうために実施します。
実務を通じて学ぶことで、座学やほかの研修では得られない実践的なスキルが身につくためです。

また、上司や先輩社員との直接的なやり取りにより、自己学習では難しい現場での判断力や対応力が養われる効果も期待できます。

新人が早期に自信を持って業務に取り組めるようになることが、組織全体の成長にもつながります。

業務効率の向上

実際の業務で必要なスキルや知識を効果的に習得できるため、業務効率の向上に寄与します。

新人が早期に業務を理解し、担当する仕事をスムーズに進められるようになることで、全体の生産性向上が期待できます。

また、OJTは一度の指導で終わるものではないため、継続的なフィードバックによって業務の精度やスピードが高まり、全体のパフォーマンスが向上し、組織の競争力の強化も期待できます。

職場への定着率向上

OJT研修は、新人社員が職場に早く馴染むためにも重要です。
実務を通じた指導によって、職場の文化や業務の進め方をリアルに学ぶことができるため、職場環境への理解が深まります。

さらに、上司や先輩社員との良好な関係を築くことができ、職場への信頼感が高まることも定着率向上に寄与します。

早期に業務に自信を持てるようになれば、仕事へのモチベーションが高まり、長期的な就業意欲を引き出すことができます。

OJT研修の実施率

厚生労働省が2025年6月に公表した「令和6年度『能力開発基本調査』」によると、半数以上を占める64.7%もの企業が計画的なOJT研修を実施しています。

厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」計画的なOJTの実施状況(出典:厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」)

また、正社員に対して計画的なOJT研修を実施した企業は61.1%と、前回の調査と比較すると0.5ポイント上昇しています。

3年移動平均の推移をみても右肩上がりになっており、OJT研修を実施する企業が増えていることがわかります。

厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所割合の推移(出典:厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」)

OJT研修の実施対象を職層別にみると、正社員では「新入社員」が54.7%、次いで「中堅社員」が37.5%、「管理職層」が24.8%となっています。

「正社員以外」での実施率は27.1%と、管理職層より多い結果となりました。

厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」計画的なOJTを実施した事業所(職層等別)(出典:厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」

業種別にみると、正社員では全15業種中13とほぼすべての企業がOJT研修を実施しています。

中でも「金融業、保険業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「複合サービス事業」では、8割以上の高い実施率となっています。

加えて企業規模別にみると、規模が大きくなるほど実施率が高まる傾向にあり、最低でも46.0%以上の企業が実施しています。
厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」計画的なOJTを実施した事業所(産業・企業規模別)(出典:厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」)

この調査から、多くの企業でOJT研修が導入されていることがわかります。

OJT研修の実施期間

実施期間は企業や業務内容などによって異なりますが、3カ月〜1年程度が目安とされています。

業務の難易度、新人の習得スピード、企業が「独り立ち」と設定するレベルの違いなど、様々な要素が影響しているためです。

1週間程度でも問題がない業務や、1年以上を要する場合もあるため、現場の実情に即した期間を設定しましょう。

OJT研修では上司や先輩が教育担当となるため、教育担当者の業務負担も考慮する必要があります。

負担が過度に大きい場合は、研修期間を短縮するなどの調整も検討することもおすすめします。

OJT研修によって得られる5つのメリット

OJT研修をおこなうことによって、どのような効果が得られるのでしょうか。5つのメリットをご紹介します。

  1. 能率的に教育できる
  2. 管理職やリーダーの育成につながる
  3. 社内コミュニケーションが活性化する
  4. 即戦力となる人材を育成できる
  5. 業務内容やフローの可視化

メリット(1)能率的に教育できる

OJT研修では、指導者が1対1でアドバイスをするため、指導を受ける社員の状況に応じて内容やスピードを変更できます。一人ひとりに合わせて研修を進められるので、能率的な教育につながるというメリットがあります。

また、OJT研修は日常の業務の中で新入社員に指導をしていくため、低コストで実施できるもの大きなポイントです。新人研修と並行してOJT研修をおこなえるので、短い期間で効率的に育成できます。

メリット(2)管理職やリーダーの育成につながる

OJT研修の指導担当者は、自分の業務と並行して新人社員の指導をおこなうため、部下を育成するマネジメントスキルを自然と身につけることができます。

OJT研修をおこなう中で、効率的な業務の進め方などを考える機会が増え、指導者自身のスキルアップも期待できます。

OJT研修の指導者の中から、特出したマネジメント能力を見せた従業員に対しては、リーダーや職務を任せるなど、管理職として育成していくこともできます。

メリット(3)社内コミュニケーションが活性化する

OJT研修では、先輩や上司にわからないことを相談する場面や、先輩や上司から「わからないことはあるか」と質問をする場面が多く生まれます。

これらが繰り返しおこなわれることによって、社内のコミュニケーションはどんどん活性化していきます。社内が活性することで、新入社員の心理的安全性も保たれ、研修をより効果的に進めることができます。

また、OJT研修により「組織の一員として働く」という意識も生まれやすく、その過程で信頼関係や仲間意識なども育まれていきます。組織全体の連帯感の向上も期待できます。

メリット(4)即戦力となる人材を育成できる

OJT研修は実践を通して学ぶことができるため、研修後すぐに活躍できる人材を育成することができます。

変化のスピードが著しく早いビジネスの世界において、いかに早く実務でのコツをつかむかは、事業の生産性を向上させる上でも重要となっていきます。

実践を通した学びで、即戦力となるスキルや問題解決力を身につけられます。

メリット(5)業務内容やフローの可視化

新入社員に向けて研修をおこなうにあたっては、業務内容やフローを明確にし、わかりやすく伝えられるよう整理する必要があります。

その際、業務過程の習慣化により生まれた無駄や非効率な作業を見つけることができます。

さらに、属人化されていたタスクを可視化することもできます。業務内容やフローを改めて見直すきっかけにできます。

OJT研修のデメリット

多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。
ここでは、OJT研修におけるデメリットを、現場社員、教育担当者、教育の体系性という3つの観点から解説します。

  • 現場社員の負担が増加する
  • 教育担当者のスキルに左右される
  • 体系的な教育は難しい

現場社員の負担が増加する

新人教育のために現場の人的リソースを割くことになり、既存社員の負担が増加します。

教育担当の社員は、通常業務をこなしながら教育もおこなう必要があるため、時間的な余裕がなくなり、業務効率の低下につながりやすくなります。

教える側の社員が自分の業務に集中できない場合、全体の生産性に悪影響を及ぼすことも懸念されます。

教育と業務のバランスを取るためには、採用は繁忙期を避ける、部署内で業務量を調整する、教育担当をローテーションにするといった工夫が不可欠です。

教育担当者のスキルに左右される

OJT研修の効果は、教育担当者のスキルや経験に依存します。

優れた教育担当者は、学びやすい環境を提供し効率的に知識を伝えることができます。
一方、教えるのが苦手もしくは経験が少ない担当者だと、研修内容が不十分になる、理解が不完全なまま教育が進むなど、差が生じてしまうのが懸念点です。

OJT研修では、教育担当者の力量によって研修の質が左右されることに留意して、教育担当の適切な人選と育成をおこないましょう。

体系的な教育は難しい

実務に添って教育をおこなうため、新人がOJT研修で身につけるのは、配属先の業務に直結した内容に限定されます。

実務を重視するため、必要な基礎知識や概念など、業務全体の流れや本質を理解してもらうのは困難です。

業務によって研修内容が異なるため、社員全体に共通のスキルを習得させるのが難しいといった課題もあります。

OJT研修の効果を高めるには、必要に応じてOFF-JTも組み合わせることが大切です。

業務に関わる理論や基礎知識のような、OJTでは対応しきれない内容をあらかじめ確認しておき、講義形式やeラーニングなど、OFF-JTによる教育を検討してみましょう。

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OJT研修の導入フロー

OJT研修を実際に導入する際、どのようなフローで取り入れるとよいのか、気になる方もいるのではないでしょうか。具体的な導入フローをご紹介します。

OJT研修の導入フロー
  1. OJT研修の目標を設定し、計画書を作成する
  2. 指導者を選出し、目標達成の目安を立てる
  3. OJT研修の実施、中間面談を設定する
  4. 計画書における目標の達成度を計測する
  5. OJT研修の分析事項などを各部門にフィードバックする

ステップ(1)OJT研修の目標を設定し、計画書を作成する

はじめに、OJT研修における目標を設定します。中間地点や終了時点で「どのような社員になっていてほしいのか」を明確にしましょう。

目標は細かく設定することで、柔軟な対応へとつながります。

また、目標達成のために「どのくらいの期間を要するか」「どのくらいのペースで進めるべきか」など、具体的な計画を考えましょう。スケジューリングや進捗管理がしやすいツールを用いると、計画を立てやすくなります。

ステップ(2)指導者を選出し、目標達成の目安を立てる

OJT研修の計画が整ったら、指導者の選出をします。

指導者として力を発揮できそうな人物であり、入社して数年経過している社員を対象にすることをおすすめします。
立候補制にすれば、より能動的に活躍できる指導者を選ぶこともできます。

その後、指導者と人事、マネージャーたちと共に、OJT研修における目標や具体的な実施方法、注意事項などを共有して、指導者の意識統一をおこないます。

そこで、目標達成の進捗状況を把握するための具体的な測定方法を作成しましょう。
スキル一覧や手順などのマニュアルがあると便利です。

ステップ(3)OJT研修の実施、中間面談を設定する

ここで、指導を受ける者を配属してOJT研修を実施します。

研修期間中、上司やマネージャー、指導者と新入社員の3者で話し合う機会を設けましょう。
目標に対しての進捗状況や、問題点・疑問点などを丁寧にフィードバックします。

何度か話し合うことでより、研修の精度を上げることができます。

ステップ(4)計画書における目標の達成度を計測する

OJT研修が終了する際に、計画したスキル表や工程表を見ながら目標における達成度を計測します。

また、研修内容や指導側、指導を受ける側からアンケートを取ることで、よかった点や改善すべき点を見つけることもできます。

次回からのOJT研修の精度をより高めるために、両者の満足度や成果についても尋ねてみましょう。

ステップ(5)OJT研修の分析事項などを各部門にフィードバックする

最後に、目標の達成度から見えたものやOJTに関して解明したものなどを、各部門にフィードバックしていきます。

社内やチーム内でフィードバック内容を共有することで、受け入れ体制がどうだったのかやマネジメント面での課題を知ることができます。

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OJT研修がうまくいかない理由

OJT研修を実施してもうまくいかない場合、以下のような原因が考えられます。

OJT研修がうまくいかない原因
  • トレーナーの指導スキル・適性が低い
  • トレーナーとトレーニーの相性が考慮されていない
  • マニュアル化できていない
  • 時間や人手に余裕がない
  • 新入社員が放置状態になっている

ここでは、5つの原因について、うまくいかない理由と注意点を解説します。

トレーナーの指導スキル・適性が低い

OJT研修がうまくいかない理由の一つに、トレーナーの指導スキルや適性が低いことが挙げられます。

人に指導するスキルと業務をおこなうスキルは別物のため、必ずしも業務に関する経験や知識が豊富な人が指導者として適切とは限りません。

スキルや適性のない社員にトレーナーを任せてしまうと、OJT研修がうまくいかず、思うような成果が得られない恐れがあります。

指導スキルを持った適切な社員がいない場合、トレーナー研修で育成することも選択肢の一つです。

また、トレーナーの人選は慎重におこなう必要があります。
部下の育成に対して意欲的に取り組めるか、熱意があるかどうかも人選において重要な観点です。

社員の適性の有無を見分ける必要があります。
トレーナーのモチベーションを維持するために、OJT研修での成果を人事評価項目に加えるのも効果的でしょう。

トレーナーとトレーニーの相性が考慮されていない

トレーナーとトレーニーの相性が考慮されていない場合も、OJT研修の成果に影響が出ます。

基本的に1対1でおこなわれるOJT研修では、指導スタイルや価値観など双方の相性のよさも配慮した人選が不可欠です。

たとえば、一方的に教えるスタイルのトレーナーと、受け身で質問ができないトレーニーとの組み合わせの場合、トレーニーに疑問や不安があってもなかなか発言できず曖昧なまま進んでしまうでしょう。

そうなるとOJT研修の成果が得られないだけでなく、双方にとってストレスとなってしまうかもしれません。

OJT研修の成果を最大化させるためにも、トレーナーとトレーニーの相性に鑑みた人選をおこないましょう。

マニュアル化できていない

OJT研修をマニュアル化できていないと、属人化してしまい成果が得られないケースがあります。

「現場のことは現場に任せればいいだろう」と現場任せにしてしまうと、トレーナーによって指導内容や効果にばらつきが生じてしまいます。

また、何か問題があったとしても、解決しないままOJT研修が進んでしまう恐れもあるでしょう。

そのため、OJT研修を成功させるためには、導入時にしっかりとマニュアル化して、誰が実施しても同等の成果が得られる仕組みづくりが重要です。

前述した5つのステップに即してOJT研修に取り組みましょう。

導入時こそ手間と時間がかかりますが、一度マニュアル化できればその後の運用がしやすくなります。

現場に任せきりにせず、人事と連携を取りながら自社に適したOJT研修を実現しましょう。

時間や人手に余裕がない

OJT研修に時間やリソースを割けないケースも、うまくいかない理由の一つです。

研修の設計やトレーナーの人員確保などがままならないと、研修を実施しても成果は期待できません。

時間や人手が限られる中でOJT研修を意味のあるものにするためには、無理のない範囲で実施するなど工夫が求められます。

具体的な方法として、下記が挙げられます。

  • 実施期間を見直す
  • OFF-JT研修と組み合わせる
  • ツールやシステムを導入する など

実施期間の見直しや、ほかの研修との組み合わせるなど工夫をしても負担に感じる場合、効率化を図る人材育成ツールや管理システムの導入を検討するのもおすすめです。

新入社員が放置状態になっている

OJT研修とは名ばかりに、新入社員が放置状態になっていてうまくいかないケースもあります。

一般的に、OJT研修は1対1での実施となるため、トレーニーが放置されていても周囲が気づきにくい傾向にあります。

とくに新入社員のトレーニーの場合、誰にも相談できず、不安が募りモチベーションが低下する可能性があります。

OJT研修が意味をなさず、最悪の場合退職につながるリスクも高まるでしょう。

そうならないためにも、OJT研修は当事者任せにせず、双方に対して定期的な面談を実施するなどフォローが求められます。

効果的なOJT研修を実施するための6つのポイント

ここでは効果的な業務指導を実施するための6つのポイントを紹介します。
それぞれのポイントを押さえ、効果的なOJT研修を実施しましょう。

効果的なOJT研修をおこなうポイント
  1. 指導者が「やって見せて」業務の全体像を伝える
  2. 業務内容は具体的な言葉で伝える
  3. 実際にその業務を「1人でさせてみる」
  4. 毎回具体的なフィードバックを伝える
  5. 若手社員の傾向を把握する
  6. 指導者の内省を支援する

ポイント(1)指導者が「やって見せて」業務の全体像を伝える

まずは、業務の全体像を把握するところから始めましょう。
その際指導者が「やって見せて」あげることで、言葉だけでは伝わりづらい具体的な業務内容がイメージしやすくなります。

新入社員は業務を1から覚えるため、「わからないことが何かわからない」状況にあります。まずは、真似をしてもらうことから始めると覚えやすくなります。

ポイント(2)業務内容は具体的な言葉で伝える

具体的な業務内容は、言葉での説明が必要となります。業務の進め方だけでなく、目的や背景を伝えしっかり理解してもらうことが重要です。

また、誰が指導しても同じ内容のことを伝えられるよう、指導マニュアルなどを作成することもおすすめです。

ポイント(3)実際にその業務を「1人でさせてみる」

実際に業務を1人でおこなうことで身につくこともあります。
指導者も指導を受ける者も「1人でできるか」と不安を感じることがあります。

始めは隣で見守り、安心してできるようサポートします。
そこから徐々に1人でおこなう作業を増やしていきましょう。

また、参加者の学習定着率向上のため、研修内容にワークショップやケーススタディを取り入れるのもおすすめです。ワークショップは、研修で学んだ知識や経験を振り返るよい機会となります。

例えば、教育のゴール設定やそれに伴う業務の選定などをワークショップに取り入れることで、長期的な視点を持つことにつながります。

さらに、ケーススタディでは「実際に起こりうるケース」を用いてディスカッションやロールプレイングすることで、具体的にイメージできるため臨機応変に動けるようになります。

ポイント(4)毎回具体的なフィードバックを伝える

研修を受けている社員に対し、できていたこと・できていなかったことについて、具体的なフィードバックをしましょう。

具体的かつポジティブな言葉で伝えると、新入社員の自信や改善にもつながりやすいため、フィードバックの効果は高まります。

フィードバックのためのシートを事前に用意することで、指導を受ける側も理解がしやすく、振り返りを深めることができます。

ポイント(5)若手社員の傾向を把握する

OJTを実施する指導者は、対象者の若手社員の傾向をあらかじめ理解しておきましょう。

特に、昨今の若手社員は「言われたことは確実にできる一方、失敗を極端に恐れて行動できない」傾向があると言われています。

例えば、難しい業務を任せられたとき、対象者は指導者からの低評価を恐れて自身が不安を抱えていることを相談できないケースもあります。

もちろん個人差はありますが、積極的に対象者とコミュニケーションを取り、一人ひとりの傾向を把握した上でOJTを進める必要があります。

定期的に面談を実施するなど、対象者が気軽に相談できる環境づくりは必須です。心理的安全性を確保するだけでも、OJT研修の効果は大きく変わってきます。

ポイント(6)指導者の内省を支援する

指導者が実施したOJT研修を振り返る機会を設け、内省を支援することも大切です。

OJT研修を通じて指導者自身が何を学んだのかを見返すことで、よかった点や次の研修に向けての改善点などの気づきを促します。

このとき、指導者の上司や管理職は、指導者に対して考え方や見方を押し付けないように注意しましょう。
あくまでも指導ではなく支援を心がけてください。

また、指導者のスキルを底上げするためには、自己の振り返りだけでなく継続的な教育が必要不可欠です。指導に必要なスキルや心構えを事前に伝えて、指導力の向上を図ります。

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OJT研修を実施する際の注意点

OJT研修を実施する中で、起こり得る問題がいくつかあります。

「1人の指導者に任せきりになる」「指導者が多忙で新人が放置される」「指導者によってスキルややる気が違う」などがあります。

そのような課題が発生しないよう、注意が必要です。OJT研修のやり方に関する注意点を3つにまとめました。

  1. 指導者の負担を考慮
  2. PDCAサイクルの意識
  3. 組織一丸となって促進

(1)指導者の負担を考慮

指導者自身も業務を進めながら新入社員を見ていくため、業務に支障が出そうだと感じた場合は、研修がおろそかになる可能性があります。そのような場合には、指導者の変更や配置を変えるなど、調整をおこないましょう。

また、指導者としての業務が自身の評価につながらないことから、士気が下がってしまう指導者もいるようです。研修でのマネジメントがどのように評価されるのかを事前に伝えると、納得して取り組むようになります。

(2)PDCAサイクルの意識

OJT研修では研修の効果をより早く検証するために、PDCAサイクルを意識して実施しましょう。

まず、習得すべきスキルを明確にして目標を立てます(Plan)。OJT研修の指導者に目標を伝え、指導者から新入社員に適切なフィードバックをおこないます(Do)。上司やマネージャーと指導者、指導を受ける者で目標達成度の確認(Check)をし、達成度を踏まえた改善点を明らかにする(Action)という流れでおこないます。

PDCAをスピーディーに繰り返すことで、研修の内容をより深めることができます。

(3)組織一丸となって促進

指導者1人に負担がかかることを避けるため、上司や他の社員は「任せきりにしない」という意識を持つことが重要です。

指導者以外のフォロー体制を構築する、相談窓口となる社員を配置するなどの配慮をすることで、指導する側・される側双方の負担を軽減することができます。

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OJT研修・新入社員研修を実施するならカケハシスカイ採用・育成・定着を支援するさまざまなソリューションをワンストップで提供するカケハシスカイでは、OJT研修や新入社員研修など各種研修プログラムをご用意しております。

「新入社員研修|即戦力化プログラム」では、社会人として身につけておきたいスタンスとスキルを習得し、新入社員の即戦力化を目指します。

単なる技術や知識の習得に留まらず、自発的な行動や責任感、コミュニケーション能力、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の重要性など、実践重視の新人研修プログラムとなっています。

また、カケハシスカイではトレーナースキルを育成するための「OJTトレーナー研修」もおこなっています。

本研修では、「OJTトレーナーの役割理解」「OJTトレーナーに求められる育成スキルの習得」をテーマに、OJTの効果と効率性の最大化を目的にしています。

OJT研修やOJTトレーナー研修にお悩みの企業様はお問い合わせください。

まとめ

OJT研修とは、実際に業務をおこないながら指導をしていくことにより、業務取得を効率的に進められる人材育成法です。

「即戦力となる人材を育成できる」「育成コストがかからない」「マネジメントスキルを向上させられる」などといったメリットが期待できます。

導入の際には業務フローの確認やマニュアルの作成が欠かせませんが、それにより業務フローを見直すきっかけにもなります。
今回の記事を参考に、OJT研修を取り入れてみてはいかがでしょうか。

少しでもご興味をお持ちいただけましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。

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監修者情報
知恵袋編集部
「採用と育成の支援をとおして、人と組織の可能性を耕す。」というミッションのもと、人材施策の軸となる採用から育成までの支援をおこなうカケハシスカイならではの知見をお届けする記事を執筆・編集。社員研修の知恵袋では、人事担当向けに、社員教育全般に役立つノウハウを幅広く発信しています。
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